国交省発表!2016年燃費ランキングから燃費の良いクルマベスト10をまとめてみた

国交省発表!2016年燃費ランキングから燃費の良いクルマベスト10をまとめてみた
     
   

今やクルマを購入する上で重要なファクターとなっている、燃費。国土交通省は3月29日、2016年末時点で新車として国内販売されている自動車の燃費性能ベスト10を発表しました。どんなクルマがノミネートされているのかは後述しますが、ここでは燃費とは何を根拠に示されているのか、今注目の低燃費技術にどういうものがあるのかなども見ていきましょう。これを読めば、あなたのクルマ選びの基準が変わるかもしれません。

まずは燃費について正しく理解しよう!

さて、そもそも皆さんは燃費について詳しくご存知でしょうか。一般的に燃費とは「1リットルの燃料で何km走行できるか」というを指す言葉です。基本はこれで説明が終わってしまいますが、燃費測定という話になるとそういうわけにはいきません。自動車のカタログなどの巻末に掲載されている燃費の数値は公正を期すため、定められた測定方法での計測が義務付けられています。現在のところ「JC08モード」と呼ばれる測定方法が最も知られており、この数値が基準となっているのです。

燃費の測定方法は、どのようにしている?

燃費の測定は「シャシーダイナモ」と呼ばれる、路面の代わりに埋め込まれたローラーを備えた装置の上で行います。まず、その前にクルマを実際のコースで走らせて、クルマの走行抵抗を計測します。これにより、シャシーダイナモ上でクルマにかける負荷を算出できるというわけです。シャシーダイナモ上では、8.172kmの距離を1,204秒間かけてさまざまな速度や変速パターンを行うことにより燃費が導き出されます。要するにJC08モード燃費は、実際に道を走らせて得られた数値ではないというわけです。

 「実燃費=JC08モード燃費」ではない!

最近は燃費が良いクルマが増え、各メーカーもそれをアピールしようと躍起になっています。そうした中で増えているのが「カタログに書いてある燃費と、私のクルマの燃費が全然違う!」といった類のクレームです。カタログ上の燃費は、前述したように一定の条件で走らせた上でのものになっています。これに対して実際はというと、渋滞などの道路環境の違いやエアコンの使用などによる電気的負荷、ドライバーによる運転方法の違いがあります。燃費計測においては、これらのものは加味されていません。よって、よほど条件が合っていない限り、「実燃費=JC08モード燃費」とはならないのです。

 今注目の省燃費技術①:シリーズハイブリッド

photo by 日産自動車株式会社

昨年の発売以来、好調なセールスを記録し続けている日産・ノートe-POWERで注目を集めたのが「シリーズハイブリッド方式」です。「一般道中心の近距離移動」という条件にターゲットを絞り、エンジンと駆動系の間に機械的な接続要素を持たないシステムとなっているのが特徴です。エンジンはアクセルの負荷に影響されないため、常に高効率領域で回転しながら発電が可能。モーターを駆動することで37.2km/lという優れた燃費性能を実現しました。また基本はハイブリッドなので、将来的に増えるとみられるPHEV(プラグインハイブリッド)との親和性が高いところも注目されています。

 今注目の省燃費技術②:48Vシステム

年々厳しさを増す排気ガスや燃費規制。フルハイブリッド車で対応する自動車メーカーもありますが、コストの制約からなかなか一歩踏み出せないところがあるのも事実です。こうした中、欧州の自動車メーカーを中心に開発が進んでいるのが「48Vシステム」。いわゆる「マイルドハイブリッド方式」と呼ばれるものに代表される技術です。マイルドハイブリッドの燃費改善効果は、クルマが大きくなればなるほど向上します。つまり大型セダンやSUVなどのクルマで高い効果を発揮するというわけです。また開発が進んでいる電動スーパーチャージャーなどと組み合わせれば、さらに高効率が狙えるでしょう。

 注目の燃費ベスト10! まずは軽自動車から

photo by スズキ株式会社

それでは、国土交通省が発表した燃費ベスト10のクルマを見ていきましょう。まずは軽自動車からです。

1位:スズキ・アルト(37.0km/l)

1位:マツダ・キャロル(37.0km/l)

3位:スズキ・ラパン(35.6km/l)

4位:ダイハツ・ミライース(35.2km/l)

4位:トヨタ・ピクシスエポック(35.2km/l)

6位:スズキ・ワゴンR(33.0km/l)

6位:マツダ・フレア(33.0km/l)

8位:スズキ・ハスラー(32.0km/l)

8位:マツダ・フレアクロスオーバー(32.0km/l)

8位:スズキ・スペーシア(32.0km/l)

8位:マツダ・フレアワゴン(32.0km/l)

マツダの軽自動車はスズキのOEM車ですので(同時にトヨタの軽自動車はダイハツのOEM車)、そう考えるとスズキが上位を独占していることがわかりますね。スズキには「エネチャージ」と呼ばれる省燃費技術があります。そして何より、軽量化技術も優れたものを持っています。これらをうまく組み合わせたことが、今回の結果を生み出したのでしょう。

今年はダイハツ・ミライースがモデルチェンジを控えています。打倒スズキに燃えるダイハツが、どのようなクルマで勝負に出るのか興味深いところです。

燃費ベスト10普通・小型自動車編!

photo by マツダ株式会社

販売のボリュームが高い、コンパクトカーのランキングはどのようになっているでしょうか。ここでは、ハイブリッドを除いたクルマをランク付けしています。

1位:マツダ・デミオ(30.0km/l)

2位:ダイハツ・ブーン(28.0km/l)

2位:トヨタ・パッソ(28.0km/l)

4位:フィアット・500、500C(26.6km/l)

5位:日産・ノート(26.2km/l)

6位:ホンダ・フィット(26.0km/l)

7位:フォルクスワーゲン・up!(1.0/55kw・ASG)(25.9km/l)

8位:フォルクスワーゲン・cross up!(ASG)(25.2km/l)

9位:マツダ・CX-3(25.0km/l)

9位:トヨタ・ヴィッツ(25.0km/l)

デミオとCX-3については、ディーゼル車の数値となります。ガソリンエンジンを見ると、ダイハツ・ブーン(トヨタ・パッソ)の燃費が優れているのがわかります。しかし搭載される1KR-FEエンジンは、コスト制約のためか燃費の面で有利な直噴ではなくポート噴射式を採用。そのかわりに熱効率を高めるなどの地道な努力を重ねてきました。あとは62.5kgというエンジン単体の軽さも効いているのでしょう。

ハイブリッドを含めるとトップはやはり…

photo by トヨタ自動車株式会社

最後に、ハイブリッド車を含めた普通・小型自動車の燃費ベスト10も押さえておきましょう。

1位:トヨタ・プリウス(40.8km/l)

2位:日産・ノート(37.2km/l)

3位:トヨタ・アクア(37.0km/l)

4位:ホンダ・フィット(36.4km/l)

5位:ホンダ・グレイス(34.4km/l)

6位:ホンダ・シャトル(34.0km/l)

7位:トヨタ・カローラアクシオ(33.8km/l)

7位:トヨタ・カローラフィールダー(33.8km/l)

9位:スズキ・ソリオ(32.0km/l)

10位:ホンダ・アコード(31.6km/l)

ズラリと見事にハイブリッド車が並びました。トヨタとホンダが4台づつ挙がっているのが興味深いところです。ハイブリッドとひとことでくくられていますが、メーカーによって考え方(システムの構築の仕方)が大きく異なります。特に変速機においては違いが顕著にあらわれており、無段変速を採用するトヨタに対してホンダはDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を使っています。燃費だけを見た場合は確かにトヨタ式が優れているという結論になりますが、ドライブフィールは普通のクルマと同じようなホンダ式が良いという方もいるでしょう。今後の技術競争から目が離せません。

今後の計測法は「JC08モード」から「WLTP」に

上記の燃費の数値は、いずれもJC08モードで算出されたものです。しかし、2018年10月を目途にこの計測方法は廃止され、代わりに「WLTP」と呼ばれる計測法に移行します。WLTPとは「Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure」の略で、国連で定められた新しい乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法のことを指します。これによってより実態に即した燃費の表示が可能になり、自動車メーカーとしては必要なデータを一度のテストで取得できるようになります。しかし、やはり気になるのは「今度こそ実燃費に近い数値になるのか?」ということ。国際基準の燃費計測方法ですので、例えば昨年世間を騒がせた三菱自動車の燃費不正問題のようなことがひとたび起これば企業のダメージが今まで以上に大きくなります。そういった点から見ると、このような不正が起こりにくくなるかもしれません。激しさを増す燃費競争はいったいどこまでいくのか、どんな技術革新があるのか、今後も注意してウオッチしていく必要がありそうです。

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