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負債総額1兆円超。優良企業タカタを襲った大企業病

2017.07.08

2017年6月26日に民事再生法を申請するに至ったタカタ。かつてはエアバッグの世界シェア第2位にまで登り詰めた優良企業でしたが、相次ぐリコールとその対応に追われ、ついには日本の製造業における戦後最大規模の破綻にまで発展しました。一体、タカタは何を間違えたのでしょうか? 問題発生から破綻までの経緯をまとめてお送りします。

リコールの大本は搭載された火薬にあり

エアバッグはペレット状に成形した内部の硝酸アンモニウムからガスが発生し、エアバッグを一気に膨らませる仕組みとなっています。この硝酸アンモニウムのペレットに異常があったため、エアバックの異常破裂が起こり、死亡事故にまで発展したと言われています。それを引き起こしたのが、硝酸アンモニウムが持つ吸湿性です。硝酸アンモニウムは吸湿製が高く、特に高温多湿地域に長く置いていると、吸収した湿気によりペレットにひび割れなどの形状変化が起こります。こうした形状変化が怒ると、硝酸アンモニウムは急速に圧力が高まると言われています。

エアバッグを製造している他のメーカーはどうかと言うと、ガス化率は低いが安定性が高い硝酸グアニジンを使用していました。硝酸アンモニウムは安定性が低い代わりにガス化率が高く、環境性能にも優れていたため、実用化にこぎつけたタカタの技術力は高く評価されていました。

この硝酸アンモニウムの吸湿製について問題を早期に発見し、乾燥剤を添付するなどの対応を行っていれば、ここまで大きな問題に発展することはなかったと言われています。

 2004年時点でタカタはエアバッグの不良を認識?

問題となったエアバッグは2000年~2008年ごろに米工場で製造されたものです。搭載車種がホンダやトヨタをはじめとした国産車だけでなく、BMWの3シリーズなどにも搭載されていたためリコールが相次ぎ、全世界で約1600万台まで対象車種がふくれあがりました。

タカタのエアバッグについてのリコールは2008年11月に初めて届出が出されましたが、タカタは2004年時点ですでにエアバッグの不良に気づいていた可能性が指摘されています。2014年に伝えられたニューヨーク・タイムズにより、それは伝えられました。当時タカタは米・アラバマ州でエアバッグの破裂事故の報告を受け、秘密裏にエアバッグの試験を行い、事故時にエアバッグを膨張させるインフレーターにひびが入ることを確認。しかしタカタの幹部はこの部品を廃棄しデータを削除。エアバッグの不良について隠蔽を図ったのではないかという内容です。2014年の公聴会において、タカタ側は隠蔽について否定しています。

2008年:ホンダから世界規模のリコールに発展

2008年11月に、ホンダは米国でタカタ製エアバッグの異常破裂について、リコールの届け出を行いました。その後の2009年にはタカタ製エアバッグが原因とみられる死亡事故が北米で発生。その後もエアバッグが原因とみられる事故が多発したことを受け、トヨタなどホンダ以外の企業でもタカタ製エアバッグのリコールを開始しました。

2014年9月にニューヨーク・タイムズによりホンダ及びタカタがエアバッグの欠陥を早期から認識していたと報道し、米国で大きな話題となり、同年10月には集団訴訟へと発展しました。このニューヨーク・タイムズによる報道から、タカタの苦境ははじめります。

2014年:不信感拡大。米公聴会でのタカタの対応

photo by The Wall Street Journal

2014年、タカタは米国の上院及び下院で2度にわたる公聴会への出席を命じられました。この時、当時会長兼CEOだった高田重久氏は出席せず、出席したのは清水博・品質保証本部シニアバイスプレジデントのみ。上院では先に取り上げた欠陥の隠蔽についてタカタ側は否定しました。続く下院の公聴会では部品製造メーカーとしては異例のリコール対応をタカタ側は命じられますが、タカタ側は原因が特定されていないとこれを拒否。この対応が取引先の各自動車メーカー、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)、そして自動車ユーザーからさらなる反発を招くことになりました。

タカタには当時ステファン・ストッカー社長兼最高執行責任者も在籍していましたが、こちらも公聴会に出席せず、2014年12月に自ら辞任しています。

トヨタがアクセル問題で公聴会に招致された時、豊田章男社長自ら出席し、説明と謝罪を行ったのとは対象的です。ここまでのタカタの対応からは、問題に対する潔さはみられません。この不誠実な対応が、リコール問題を拡大させたと言われています。

2015年:欠陥を認めるが時既に遅し……

photo by FORTUNE

2015年、NHTSAはエアバッグの欠陥について適切なリコール対応や情報開示を怠ったとして、高谷最大2億ドルの民事制裁金を課しました。同年5月にタカタはエアバッグの欠陥を全面的に認め、全米でのリコール対応に合意しました。

しかしながら、ここに至るまで及び腰だったタカタに対する自動車メーカーの不信感は根強く、タカタと「蜜月関係」とまで言われてきたホンダが、同年11月にタカタ製エアバッグを今後一切使用しないと米国で発表。取引停止となりました。

2017年:経営破綻後は中国系企業の参加に

その後も新たなリコールが次々に追加されていきました。2017年1月にはタカタは隠蔽を認め、それを受け元幹部3人が詐欺罪で刑事告訴、タカタ側は罪を認め、和解金約10億ドルで米司法省と合意しました。

2017年6月26日、タカタは破綻。負債総額が1兆円を超えるという、製造業における戦後最大規模の経営破綻となりました。

現在は中国の電子部品大手「寧波均勝電子」参加の米自動車部品メーカー、KSS(キー・セイフティー・システムズ)が会社分割により主力事業を抜き取り経営継続。リコール費用の支払いは、分割したもう1社が請け負うこととなります。

保身は身を滅ぼす

タカタのリコール問題を追いかけてみると、大企業病とも言える責任逃れ体質がタカタからは滲み出ています。2004年の時点でタカタ自らが対応に乗り出していれば、ユーザーや取引先の自動車メーカーから、これほどの不信を買うことはなかったでしょう。恐ろしいのは、こうした隠蔽体質がタカタだけでなく、他に日本企業にもみられること。その場しのぎの対応が、後々以下に響いてくるか。タカタから学ぶ点は多いのではないでしょうか?

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文:イキクル編集部



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