トヨタが自動車販売台数で5年ぶりに首位陥落。日本人がフォルクスワーゲンを好きなわけ

トヨタが自動車販売台数で5年ぶりに首位陥落。日本人がフォルクスワーゲンを好きなわけ
     
   

昨年の自動車世界販売台数では、トヨタが5年ぶりに首位陥落、フォルクスワーゲンが販売台数世界一となりました。排ガス問題が世界的な大ニュースとなり、一時はメーカー存亡の危機さえささやかれたフォルクスワーゲンですが、見事な対応と素早い変革によって見事に危機を脱しました。なぜはフォルクスワーゲンは復活することができたのでしょうか。今回は国内で最も売れている輸入車フォルクスワーゲンがなぜ売れるのか、日本人はやっぱりフォルクスワーゲンが好きなのかどうかを探ってみました。

日本人はドイツ製が好き

車に限らず、工業機械や医療機器、家庭では高圧洗浄機など、日本国内ではドイツの製品が多く見られる傾向にあります。これは技術大国ドイツの元々の信頼性が大きいと言えるでしょう。つまり、「ドイツ製なら安心できる」というブランドイメージが、実際に性能が良いか悪いかに限らず一種のステータスとなっているのです。実際に自動車の耐久品質において、日本とドイツは同等のものという調査結果も米国の調査会社により発表されています。(参考:日本とドイツのメーカーが同率1位 2017年「アメリカ自動車耐久品質調査」

特に車に関しては、メルセデス・ベンツやBMW、そして本題フォルクスワーゲン(アウディ含む)は輸入御三家と言われ、古くから日本の輸入車市場を独占してきました。国産車がまだ国際水準の性能を持っていなかった時代に、ドイツ製という旗印のもと、ブランド力とプレミアム感を高めた輸入業者の功績でもありました。

メルセデス・ベンツやBMWは、いわゆるプレミアムブランドですから、今でも人々の憧れの対象です。もし同じ価格ならクラウンよりベンツに乗りたいと思う人も多いでしょう。しかし、フォルクスワーゲンとなると事情が少し変わってきます。日本でも高級な輸入車という路線は傘下のアウディに任せ、他の国ではあたりまえの路線である、もっとも多く売れる安価な大衆車として徐々に浸透しています。

フォルクスワーゲン車と国内メーカー車を比較してみよう

フォルクスワーゲンが多くの日本人に好まれ、輸入車の中で最も売れている要因は、一流のブランドでありながらも、比較的安く購入出来る輸入車であることが一番の要因だと言われています。しかし、国産車と低くすると販売価格は、割高であるのは間違いありません。

これはジャパンプレミアムと言われる日本だけ不当に高い価格なのか、日本人は車にステータスを求めるので価格を下げると輸入車は売れないなどの理由があると言われています。

しかし、フォルクスワーゲン車がかつてほどのプレミアム感がなくて国産車より割高であっても、一部の不人気の国産車より多くの台数が売れているのには、車本来の魅力があり、それを理解するからこそ安くない車であっても選ばれるはずです。
国産同クラスモデルとの価格を中心に比較してみました。

UP!(アップ) 175万6000円~ (※4ドア)

全長3545mmのコンパクトなボディに1.0Lエンジンを搭載となれば、トヨタのパッソが該当します。

トヨタ・パッソ 115万200円~

Polo (ポロ) 199万9000円~

全長3,995㎜、1.2Lエンジンは22.2㎞/Lの低燃費性能。燃費とともに価格の安さがポイントとなり、国産車が得意とするクラス。ヴィッツやスイフトが該当します。

トヨタ・ヴィッツ1.3(25.0㎞/L) 148万1760円~

スズキ・スイフトハイブリッド(27.4㎞/L) 162万5400円~

Golf(ゴルフ) 249万9000円~

最もベーシックなタイプは1.2Lターボ、105psで21.0㎞/L。低燃費性能が重要視されるクラス帯で、国内車種でいえばノートやアクアなどと、これも国産車の強い分野です。

トヨタ・アクア(37.0㎞/L1.5L+ハイブリッド) 176万1312円~

日産・ノートe-Power(37.2㎞/LEV) 177万2280円~

Tiguan(ティグアン) 360万円~

1.4Lターボエンジンを搭載するSUV。今、世界で最も熱いジャンルのクルマです。このクラスの国産車はバラエティーにとんだパワーユニットを特徴としており、その中でもマツダのクリーンディーゼルエンジンが注目されます。

マツダ・CX-5(2.2Lディーゼル) 277万5600円~

Sharan(シャラン) 360万円~

ティグアンより約35㎝長いボディの7人乗りミニバン。セレナ、そしてノアが該当する日本独自の車種が存在します。

日産・セレナ 243万5400円~

Passat(パサート) 329万9000円~

堂々たるサイズの高級セダンながら、他のフォルクスワーゲンの多くに採用される1.4Lターボを搭載しています。該当する国産高級セダンはSAIかアテンザなど。

マツダ・アテンザ 336万4200円~

トヨタ・SAI 330万3818円~

他にも「ゴルフ」の各種バリエーションや「ビートル」、「トゥアレグ」の車種などもありますが、単純に価格だけでみるとコンパクトカークラスでは、国産車の価格は非常に安く、燃費性能に優れているために、フォルクスワーゲンのコストパフォーマンス性の高さは発揮されません。高額車種になるとその差は縮まり、比較する車種によってはフォルクスワーゲン車の方が安いケースも出てきます。

ただし、実際に売れているフォルクスワーゲン車はポロやゴルフといったコンパクトクラスなのです。価格差のないセダンやSUVはあまり売れているとは思えません。例えば、最も人気のあるゴルフは、価格帯でいえばプリウスと同程度。もちろんプリウスの方が10倍以上売れていますが、それでも多くの方が同じ価格でコンパクトカーのゴルフを選んでいるのです。

じゃあ、なぜ日本人はフォルクスワーゲンを選ぶの?

多いな理由はエクステリアとインテリアの「見た目のデザイン」ではないでしょうか?「プリウス」や「アクア」を見た後で「ゴルフ」を見てみると、確かに「これは違う」と思われるはずです。輸入車、フォルクスワーゲンというブランドから来るサブリミナル効果が多くの評価に刷り込まれていないとは言い切れません。しかし、シンプルで飽きの来ないであろうデザインは、国産車の流行のデザインよりも日本人好みなのではないでしょうか?

「見た目」が良いというだけでは芸がないので、もう一つ重要なポイントである「シート」のことを加えましょう。デザインや素材ではなく座り心地です。国産車のシートも非常に進歩していますが、フォルクスワーゲンを始めとする欧州車のシート造りは根本的に異なります。ショールームで座っただけでは感じなくても、長時間を過ごすとその差は歴然とします。

日本人は高品質のドイツ車が好き。フォルクスワーゲンはもっとも好き。なぜなら手の届くところにある価格と日本人好みのデザインだから。という結論です。

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