クルマで2016年を振り返ろう! イキクルが選ぶ自動車業界ニュースベスト10

クルマで2016年を振り返ろう! イキクルが選ぶ自動車業界ニュースベスト10
     
   

「ゲス不倫」「熊本地震」「生前退位問題」「東京2020/豊洲市場問題」「アメリカ大統領選」…2016年も、多くのニュースがありました。自動車業界も同様、業界を揺るがすような様々なことが起こった年となったことはご存知のとおりです。ここでは、そんな自動車業界で起きた今年の出来事を10テーマほど挙げて、来年の展望も織り交ぜながら振り返っていきたいと思います。皆さんの記憶に残っている自動車ニュースは、どんなものがあるでしょうか?

10位:日本カー・オブ・ザ・イヤー、スバル・インプレッサが獲得!

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その年の「年グルマ」を選出する日本カー・オブ・ザ・イヤーにて、スバル・インプレッサスポーツ/G4が栄えあるイヤーカーに選ばれました。2位のプリウスを大きく引き離しての受賞となり、スバルとしては2003年のレガシィ以来の快挙となります。

インプレッサがこの歴史ある賞を獲得できた理由は、新開発のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)によって「動的質感の向上」という新たな領域に踏み込んだことに他なりません。また歩行者エアバッグの採用など、高い安全性も評価されました。

9位:新小型ハイトワゴン、相次いで発売。「1強」を崩せるか?

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11月、ダイハツから新型小型ハイトワゴン「トール」が発表されました。トヨタやスバルからもOEM車である「ルーミー」「タンク」「ジャスティ」が相次いで発売され、これまでスズキ・ソリオがほぼ独占していた小型ハイトワゴンクラスの勢力地図が大きく塗り替わるかもしれない事態となりました。もちろんスズキ側も黙っておらず、これまでマイルドハイブリッドのみであったソリオに待望のストロングハイブリッド車を追加。「小排気量ターボvsハイブリッド」の争いは、このカテゴリーをさらに面白くするでしょう。

8位:アウディ、突然の撤退。WECはどうなる?

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10月26日、モータースポーツファンに衝撃のニュースが飛び込んできました。アウディ、WEC(FIA 世界耐久選手権)撤退。1999年にル・マン24時間に参戦以来、歴代2位となる13勝という金字塔を打ち立てたアウディですが、昨年のフォルクスワーゲンの「ディーゼルゲート」によって方針転換を迫られていました。そんな中でのアウディの回答が「フォーミュラE本格参戦」というもの。すでにLMP1-Hクラスにはグループであるポルシェも参戦しており、大きな問題にはならないという経営側の判断だったのでしょう。

しかし、来期のLMP1-Hクラスはトヨタとポルシェの2メーカーのエントリーしかはっきりしておらず、観る者にとってはあまり魅力的なカテゴリーとは考えられません。ポルシェがプジョーに参戦の打診をしているという噂もありましたが、真相は闇の中です。

7位:走りを変えた? マツダの新技術「G-ベクタリングコントロール」

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今夏にマイナーチェンジを行ったアクセラより搭載された新技術が「G-ベクタリングコントロール(以下、GVC)」と呼ばれるものです。これは「エンジンでシャシー性能を高める」というまったく新しい発想のもとで生まれた技術で、ドライバーのハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを変化させるというところがポイントです。従来は別々に制御されていた前後と横方向の重力(G)をコントロールして、タイヤの接地荷重を最適化することによりスムーズな挙動を実現しました。GVCのメリットは、何といってもクルマが思い通りのラインを走ることでしょう。これにより、クルマとの一体感がより増します。そして疲労が軽減され、ドライブがより快適になるという点も見逃せません。走ることを何より愛する方にこそ、是非一度GVC搭載車に乗って頂きたいと思います。

6位:全世界待望のクルマ番組「The Grand Tour」いよいよ配信開始

あの「世界一愛すべき三馬鹿トリオ」が帰ってきた!ということで、配信開始以来クルマ好きの心を鷲掴みした番組が「The Grand Tour(グランド・ツアー)」です。BBCのクルマ番組「Top Gear」の番組収録中に起こした暴力事件で、同番組の司会をクビになってしまったジェレミー・クラークソン。そして彼とともに番組を降板した、リチャード・ハモンドとジェームス・メイ。彼ら3人がamazonで新しいクルマ番組を制作する動きがある、というのはクルマ好きの間では去年から話題になっていました。そして今年、amazonプライムでいよいよ配信が開始されたのです。エピソード1の3人の登場シーンは圧巻で、製作費は何と日本円で3億3千万円も費やされたとか。ちょっとした映画のようでした。もちろん内容も充実しており、従来の「Top Gear」からのファンも、そうでない人にもとても楽しめるクオリティに仕上がっていますので、年末年始のお供に是非いかがでしょうか?

5位:ニコ・ロズベルグ、ワールドチャンピオン獲得! そして引退

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今年も何かと話題の多かったF1界ですが、最も大きなニュースはやはりニコ・ロズベルグのワールドチャンピオン獲得でしょう。2015年終盤3連勝の勢いは今シーズンに入っても止まることなく、今シーズンは開幕4連勝を達成。7連勝は歴代4人目の快挙で、ロシアGPではグランドスラム(ポールポジション、優勝、ファステストラップ、全ラップリード)も成し遂げました。そこからはチームメイトであるルイス・ハミルトンの猛追を受けますが、何とか5ポイント差を守り抜き、1996年のデイモン・ヒル以来2人目の親子二代のワールドチャンピオンに輝いたのです。

しかし12月2日、突如引退を発表。ワールドチャンピオンという目標を達成できたこと、レースによって犠牲にした家族との時間が欲しいということが主な理由ですが、まだその美しい走りが見たいというのがファンの率直な気持ちでしょう。

4位:高齢ドライバーの相次ぐ事故、対策はあるのか?

ここ数年の交通事故死亡件数は減少しつつありますが、今年問題として浮き彫りになってきたのが高齢ドライバーによる事故です。アクセルやブレーキの踏み間違いといったものから、道路の逆走、果ては認知症の疑いのあるドライバーによる者の事故など、事態は深刻化してきています。これを受けて、免許証を返納する高齢の方も徐々に増えつつあるとのことですが、いずれにせよ簡単な問題ではありません。地方ではより過疎化が進み、公共交通機関網が機能しているとはいえない状態です。介護や自らが病院などに通院する都合上、どうしてもクルマが必要な場合が出てきます。そのような人々への対策をどうするかが、今後の行政の課題となってくるでしょう。ドライバーが認知症かどうか診断の機会を増やすなどの新制度が来春から始まりますが、きちんと機能して悲惨な事故が少しでも減ることを祈るばかりです。

3位:新型セレナ発売! 日本の技術は世界に近づけたか?

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8月、5代目となる日産・セレナが発売されました。売りは何といっても、同一車線での自動運転を実現した「プロパイロット」の搭載です。これにより自動運転のレベルは「2」(加速・操舵・制動のうち、複数の操作をシステムが行う状態)となり、日本の自動運転技術はようやく世界標準のレベルまで到達したことになります。しかし、その前の5月にはテスラの自動運転車で死亡事故が発生しており、まだまだ完全自動運転への道のりはどのメーカーにとっても険しいものといわざるを得ません。そしてもちろん我々ユーザー側も、自動運転とはいっても現在の技術は完璧なものではなく、あくまでもドライバーを支援するためのシステムであるということを再認識する必要があります。とはいえ、この技術はクルマの歴史を大きく変える一助となることは確実です。今後の技術の熟成に、大いに期待したいところです。

2位:誰にも止められない? トヨタのグローバル戦略

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今年も勢いを見せたのが、トヨタです。ダイハツを完全子会社化するという記者発表を1月に行いました。1967年の業務提携から約半世紀、連結対象子会社から約20年と、時間をかけての完全子会社化となりました。ダイハツというブランドはこれからどうなっていくのかと危惧する声に、ダイハツの三井社長は「ダイハツというブランドを、(BMWの)ミニのような小型車ブランドにしたい」と答えかける一面もありました。

そしてトヨタは11月には、何とスズキとの業務提携を検討していると発表。世間をあっといわせました。どちらも創業家が強い発言力を持っている点は共通しており、(スズキは国内二輪メーカーでは唯一、水素バイクの実証実験を行っていることから)来るべき水素社会をリードするための技術的な面まで考え抜いた提携ともいえるでしょう。

これで国内の自動車メーカーは、トヨタ、日産、そして完全独立系のホンダという三大メーカーを軸に技術や販売競争が展開されることになります。今後が楽しみですね。

1位:最大のニュースは、やはり三菱自動車の燃費不正問題

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今年最大のニュースといえば、何といっても三菱自動車の燃費不正問題ではないでしょうか。ことの発端は4月20日、日産自動車との合弁会社であるNMKVで生産した軽自動車4車種において国交省への届け出数値と乖離していながらも、虚偽のデータを同省に提出していたことを記者会見上で発表しました。のちの調査で1991年以降に同社が製造したクルマにおいても不正が発覚し、ブランドイメージは著しく低下。結局10月、日産自動車の出資を受けてルノー・日産アライアンスの一員となりましたが、信頼回復にはまだ相当の時間が必要でしょう。

また今年はスズキでも燃費問題が発覚。こちらは三菱とは逆にカタログ燃費より高い数値を記録するという珍事となりましたが、不正であることに変わりはありません。ユーザーのためにも、正しい燃費を常にメーカーには公表して欲しいものですね。

2017年は、クルマ業界でどんなことが起きる?

今後のクルマ業界を占うキーテクノロジーである「自動運転」の姿が、今年ある程度具体的になってきたことで、ますますメーカー・サプライヤーを問わず開発競争が激化することでしょう。またアメリカではトランプ新政権が誕生することで、為替リスクへの強さが企業にはより一層要求されます。自動車業界も例外ではありません。そして欧州では、いよいよRDE(実路走行試験)が現実味を帯び、さらに激しい燃費競争が始まるでしょう。ガラパゴス化したハイブリッド王国である日本メーカーに勝機はあるか、2017年はこの「自動運転の進化」「為替リスクへの対応」「燃費競争での生き残り」がクルマ業界を見るポイントになってくるかもしれません。

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