「失敗作」の烙印を押される、スカイラインGT-R R33型の秘めたる魅力に迫る

「失敗作」の烙印を押される、スカイラインGT-R R33型の秘めたる魅力に迫る
     
   

1957年から現代に至るまで、日産車の代表格として世間の人々の羨望を集めたスカイライン。2014年にV37型スカイラインが登場するまで幾度もモデルチェンジを繰り返してきましたが、その中でもスポーツカー好きな顧客層から不人気であったのが、R33型スカイラインです。1993年に発売されてから20年以上経った今、その魅力について振り返ってみてはいかがでしょうか。

ボディの大型化が不人気を招く…..

photo by CC Tennen-Gas(表示-継承 3.0)

1993年から1998年まで、最上位グレードであるGT-Rを含めて20万台以上生産されたR33スカイラインは、発売当初から市場の評価は芳しくありませんでした。その主な原因は、ボディの大型化によるスポーティーさの欠落という点です。

1991年にバブルが崩壊し、失われた20年へと突入したR33型の時代、自動車メーカーはコスト削減に迫られていました。そのため、同じ日産の高級セダンであるローレルとシャシーを共有して作られたのがR33型。そのため、ボディが大きくなってしまったのです。

先代のR32型スカイラインは、スカイラインの系譜の中では最後の5ナンバーサイズのスカイライン。その軽快なドライビングは現代でも絶えない人気を誇っていることからも分かるように、R33型の大型化は顧客の期待を裏切るものなのでした。

旅行やドライブに最適なスカイラインR33型

photo by 日産自動車株式会社

しかし、大型化は悪いことばかりではありません。むしろそれこそが、R33型の魅力となっているのです。

第一に、大型化によって居住空間が広くなっていること。スカイラインには4ドアセダンモデルと2ドアクーペモデルの二つがあります。そのクーペモデルについて、他のその時代の代表的なクーペ(マツダのRX-7や日産のシルビア等)と比べてみると、後者は後部座席の狭さが際立ちます。脚をリラックスさせるスペースの狭さや、ルーフが低くて頭が当たる等、とてもドライブに快適とは言えません。

その点R33型スカイラインは、脚もストレスなく置けて、ルーフも他車に比べて余裕があります。これは誰かを乗せてロングドライブするのには欠かせない良さです。

第二に、トランクも他のクーペに比べて広いです。スーツケースが二つは余裕で入る容量は、車旅行には欠かせません。第三に、車体が大きく重いため、直進安定性に優れています。高速道路などで普段よりも高い速度で走る際に、その安定したR33型の走りの魅力に気付けると思います。

R33型は不人気がゆえ相場が低い

photo by 日産自動車株式会社

R33型は確かに、スポーツカー好きの顧客からの人気が高くありませんでした。スポーツカー漫画として有名なしげの秀一の著作『頭文字D』でも、R33型に対する評価は高くありません。そのため、中古車市場を見てみると、先代であるR32型や後継であるR34型に比べて、価格の相場が低いことがわかります。

上記のように十分に魅力を備えたスカイラインを、お手頃な値段で購入できるというのは非常にお得だと思いませんか?スカイラインのエクステリアの魅力として、その独特な丸4灯のテールランプが挙げられると思います。筆者自身も、そのテールランプに少年時代に魅了されたことを今でも鮮明に覚えています。そうした憧れの車を、比較的安価に購入することが可能な車こそが、R33型スカイラインなのです。

R33型は、大人な落ち着きをもつスポーツカー

R33型スカイラインの魅力は、軽快でアグレッシブなドライビングではなく、落ち着いた風格を持ちながらもしっかりとパワフルな走りをしてくれるのが魅力なのです。居住性の良い車内環境、ドライブ先でのショッピングにも耐えうる容量の大きいトランク、車体が重いからこそ実現できた安定性、そして乗り心地の落ち着き。そして、日産の名機であるRB型エンジンによるマイルドかつパワフルな加速。

これほどまでに大人なスポーツカーを楽しむことができるのは、「卓越した走りの本流グランドツーリングカー」がコンセプトであるR33型スカイラインであればこそなのでしょう。

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