さて、昨日の「1回目・事故車・廃車の定義とは?」に引き続き2回目となる事故時の解説マニュアル。今回 は事故車・廃車に関する手続きについて、具体的な方法や届出を行う場所などを徹底的にお教えしていきます。
事故を起こした時に必要な 手続き
まず事故車、つまり事故を起こした時に必要な手続きについて解説しましょう。第1回で伝えたように、事故歴に関しては残す制度はありません。ここでは、事故を起こした時に必要な手続きや対処方法について解説したいと思います。
事故を起こした時の対処方法
事故を起こした際、当然といえば当然ですが、まず安全を確保し、けが人の救助を行います。そして救助が終われば次に警察への連絡です。けが人の救助と警察への連絡は義務であり、交通事故時には必ず行わなければいけません。できればこの時に相手の身元を確認し、事故の現場を目撃した第三者の方を確保しておくと、示談交渉などを行う場合に役立ちます。
警察との現場検証が終わったら保険会社への連絡です。事故の状況により示談交渉などで準備が必要な場合もあるので、警察への対応後すぐに連絡したほうが良いでしょう。車が自走可能ならその足で修理工場へ、難しいなら車両を取りに来てもらいます。修理費の支払いで保険会社と修理工場はやりとりを行うので、修理工場への連絡先を保険会社へ連絡することになります。
最後に自分も病院へ行き、医師の診察を受けます。その時は異常がなくてもむち打ちや骨折が起きている可能性があるからです。その場合は医師に診断書を書いてもらい、それを持って警察署へ行き「事故証明」(交通事故証明書)を人身事故(けが人などがない場合は物損事故として扱われる)へと変更する手続きを行うことになります。
車両の修理費は、示談交渉後の過失割合に応じた金額が双方の保険会社から支払われます。足りない場合は自身で修理工場に支払うことになります。もしも車が修理不能な場合には、車の廃車手続きを行うことになります。廃車手続きは業者に委託もできますが、自分で書類を用意し届出を行うことももちろんできます。では、次に廃車に関する手続きについて見てみましょう。
廃車の 手続き は3種類、重量税の還付の可能性もあり
永久抹消登録の手続き
前回廃車の方法には「永久抹消登録」「一時抹消登録」「解体届出」の3種類があることをお伝えしましたね。事故車を下取りに出さず廃車にする場合は、永久抹消登録が必要になります。まずはこの永久抹消登録について見てみましょう。
永久抹消登録の場合は、まずリサイクル業者へ連絡を取り、車両を引き取ってもらうところからスタートします。後日リサイクル業者から解体終了の報告後、15日以内に普通車なら最寄りの陸運局、軽自動車なら最寄りの軽自動車協会で永久抹消登録の手続きを行います。一時抹消登録・解体届出も届出先は同じです。
ナンバープレート(前後2枚)、車検証、車検証記載の印鑑登録証明書を用意します。代理人が手続きを行う場合は、車両所有者の委任状も必要です。
陸運局などは車検を始めこういった手続きを毎日何十件も行うので、手続きに応じた流れがすでにできています。永久抹消登録にきたことを窓口で伝えれば、書類に不備がなければ適時指示に従うだけで、スムーズに手続きを終えることができるでしょう。
永久抹消登録の場合「第3号様式の3」という書類を記入する時にリサイクル業者から解体終了の報告を受けた時に伝えられる「移動報告番号」と「解体記録日」を記入するのがポイントです。また、永久抹消登録を行った場合は車検の残存期間(1ヶ月以上)に応じて自動車重量税の還付を受けることができるので、残存期間がある場合は「還付金の振込先」を記載するというのも押さえておきましょう。
所定の書類を購入・記入し提出、ナンバープレートを返納し、持参した書類とともに不備がなければ、永久抹消登録は完了です。還付を受ける場合には「自動車重量税還付申請書付表1」を受け取ります。
一時抹消登録の手続き
永久抹消登録と手続き先も用意する書類も基本的に同じですが、解体をせず登録を抹消するだけですので「移動報告番号」と「解体記録日」は必要ありません。陸運局などで所定の書類を購入・記入し、ナンバープレートを返納して不備がなければ終了、窓口で「一時抹消登録証明書」を最後に受け取ります。自動車重量税の還付は車両を解体した場合に受けられる手続きですので、一時抹消登録の時点では自動車重量税の還付はありません。
解体届出の手続き
一時抹消登録後、車を使用せず解体する場合にはこの「解体届出」を行います。永久抹消登録と同じくリサイクル業者に車両の解体を依頼し、解体終了の報告を受けたら、最寄りの陸運局か軽自動車協会で手続きを行います。永久抹消登録と用意するものは基本的に同じですが、解体届出の場合は「一時抹消登録証明書」が必要になります。必要書類を購入・記入し提出、不備がなければ手続きは終了です。車検の残存期間がある場合は自動車重量税の還付を受けることができるので、用紙に振込先を記載します。
永久抹消登録や解体届出では車検の残存期間に応じて自動車税の還付が受けられますが、一度手続きを終えてしまうと、さかのぼって還付を受けることができなくなってしまうので注意が必要です。
事故車 ・ 廃車 の 手続き についてまとめ
事故車については基本的には事故を起こしてからの手続き、廃車については3種類の手続き方法について解説しました。廃車の手続きについては業者に委託する方法もあるのですが、陸運局や軽自動車協会では誰でも簡単に手続きができるようになっているので、必要書類さえきちんと用意できていれば、案外簡単に手続きができてしまいます。
次回は「事故車の見分け方」について、お伝えしたいと思います。
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