1970年代は、ホンダの軽モデルが多くラインアップされた時代でもあります。特に70年代前半は、多くのモデルが登場しています。ホンダ独自の技術やディテールが盛り込まれたモデルも多くありました。ここでは、当時販売されていた軽モデルを4車種ご紹介していきます。
①バモス ホンダ(初代)
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
バモス ホンダは、1970年から製造・販売されていた軽オープンタイプのトラックモデルです。当時のレジャーブームにあわせて企画されたといわれています。また車名は、「バモス ホンダ」となっていて、ホンダの歴代モデルの中でも車の名前が先に来るのは、このモデルだけです。これは、バイクモデルで行われた手法を車にも適用させたアイディアといわれています。北米を連想させるネーミング≒レジャーとなる企画であったとも考えられますね。
エクステリアは、ファニーなスタイルでオープンキャンパスという遊び心が与えられたディテールであるといえます。特にフロントライトを丸目仕様にし、スペアタイヤを前に設置することで、どことなく「顔」に見える点が特徴です。
バモス ホンダの主要諸元など
- 販売期間 1970年から1973年
- 乗車定員 2又は4名
- ボディタイプ オープンカータイプのピックアップトラック
- エンジン 空冷直列2気筒SOHC360ccエンジン 30ps
- 総排気量cc 354cc
- 駆動方式 MR方式
- 変速機 4速MT
- サスペンション フロント/マクファーソンストラット+コイルスプリング・リア/ド・ディオンアクスル+リーフスプリング
- 全長×全幅×全高 2,995㎜×1,295㎜×1,655㎜
- 荷台寸法 2名乗車の場合1.435㎜×1.140㎜×270㎜(幌なし)
とにかくファニーでかわいいトラックという印象です。ドアの設置がなく、可動式のバーがドア代わりという斬新なアイディアなどは、この時代だからこそ企画出来たモデルであるといえるのではないでしょうか。
②ホンダ ライフ(初代)
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
ホンダ ライフは、1971年から製造販売されていたモデルです。4ドアモデルと2ドアハッチバックモデルの2車種が、当時ラインアップしています。横置きフロントエンジンでフロントドライブは、先駆者であるN360と同じ形式であったが、エンジンは空冷から水冷へと置き換えられています。またホンダは、このエンジンで初めてタイミングベルトを採用していました。
エクステリアでは、ホンダのスタイリングを位置づけるほど洗練された仕上がりになっています。丸みを帯びながらすっきりしたデザインは、先駆者のZなどをモチーフに企画され、のちには普通車などにも適用されたデザインですね。
パワートレインでは、ジアコーザ式レイアウトというエンジンとトランスミッションを直列に横置きした方式を採用しています。この方式になったことで居住空間の確保が改善され、快適性がアップさせることを可能にしました。エンジンは、N360と同様の直列2気筒タイプですが、空冷から水冷EA型へとアップデートしています。水冷になったことで、暖房能力が飛躍的に向上したユニットです。
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
ホンダ ライフの主要諸元など
- 販売期間 1971年から1974年
- 乗車定員 4人
- ボディタイプ 2ドア&4ドア
- エンジン 水冷直列2気筒SOHCバランスシャフト付4サイクルエンジン
- 総排気量cc 356cc
- 駆動方式 FF
- 変速機 4速MT・5速MT・3速AT
- サスペンション フロント/マクファーソンストラット・リア/車軸式
- 全長×全幅×全高 2,995㎜×1,295㎜×1,340㎜
- 室内空間 1.660㎜×1.120㎜×1.130㎜
筆者が幼少のころ、家族の車として初めて登場した車が、このホンダ ライフでした。小さくてかわいい、でもキビキビ走るといった印象でした。またこの時代は、車のトラブルも少なからず発生することも織り込まれていたのか、父親は普通にキャブレターなどの調整なども行っていました。
③ホンダ Z(初代)
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
ホンダ Zは、1970年に製造・販売開始になったモデルです。ホンダ軽自動車のスペシャリティー部門を担うべく登場しています。ハッチバッククーペスタイルをコンセプトに開発された車両でもあります。
クーペスタイルであっても大人4人が乗車できるスペースを確保していたことも注目です。当時のホンダのインパネは、飛行機の計器類をオマージュしたデザインとなっていました。Zでもこの方針は継承され、ホンダのアイコンデザインとなっていたようです。
発売当初は、空冷直列2気筒SOHC360ccエンジンを搭載していましたが、マイナーチェンジ後には、水冷直列2気筒SOHCバランスシャフト付4サイクルエンジンに換装されています。これは、先述の初代ライフのプラットフォームを使用することによってホイールベースも80㎜拡大され、エンジンも置き換えられたことによる進化であったといえます。
ホンダ Zの主要諸元など
- 販売期間 1970年から1974年
- 乗車定員 4人
- ボディタイプ 2ドア クーペ
- エンジン 空冷直列2気筒SOHC360ccエンジン・後期から水冷直列2気筒SOHCバランスシャフト付4サイクルエンジン
- 総排気量cc 空冷タイプ354cc/水冷タイプ356cc
- 駆動方式 FF
- 変速機 4速MT/5速MT/3速AT
- サスペンション フロント/マクファーソンストラット・リア車軸式
- 全長×全幅×全高 2,995㎜×1,295㎜×1,275㎜
- 室内空間 1.490㎜×1.135㎜×1.045㎜
同モデルは、リアゲートの形状から「水中メガネ」という愛称がついていたようです。当時のホンダスタイルを貫きながら、クーペフォルムに仕上げていた点が最大の特徴となっています。
④ライフ ステップバン
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
ライフ ステップバンは、1972年に軽自動車規格のボンネットバンとして登場したモデルです。ディテールを見ると、現代のミニバンや商用モデルの原型となったモデルであると考えます。ライフの派生モデルとして登場していますが、当時からステップバンという愛称で親しまれたことから、ユーザーは、ライフとは別の乗り物という印象であったことがうかがえます。
エンジンは、ライフと同様の水冷直列2気筒SOHCバランスシャフト付4サイクルエンジンが前置きに搭載されています。当時は荷物を運ぶ車という位置づけが多かったため、前置きエンジンによる荷室の狭さが問題になったこともあるようですが、可愛らしくスクエアなデザインが、のちに中古車市場等での人気高騰に拍車をかけたようです。
エンジンだけでなくプラットフォームもライフを使用しています。その上にスクエアなボディを載せた仕様なのですが、当時としては非常に珍しい技法でありました。後に各社も含めこういった技法がトールワゴンなどに取り入れられていますね。また乗用モデルのライフプラットフォームを使用したことで、最低地上高を低くすることが出来たのも特徴の一つです。
ライフ ステップバンの主要諸元など
- 販売期間 1972年から1974年
- 乗車定員 2又は4名
- ボディタイプ トールボーイ型軽ボンネットバン
- エンジン 水冷直列2気筒SOHCバランスシャフト付4サイクルエンジン
- 総排気量 356cc
- 駆動方式 FF
- サスペンション フロント/マクファーソンストラット+コイルスプリング・リア固定車軸+半楕円リーフスプリング
- 全長×全幅×全高 2,995㎜×1,295㎜×1,620㎜
- 荷室空間 2人乗り1,270㎜×1,100㎜×1,260㎜/4人乗り640㎜×1,100㎜×1,260㎜
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
当時販売されていた軽自動車バンの中で、非常に低床な作りであったステップバンは、リアドアの開閉方法などにも特徴があり、上下に開くことで荷物の積み下ろしが非常にしやすい仕様です。スクエアなボディにファニーな顔立ち、そして荷物も積めるといった特徴が、販売終了になってからも人気が高まった大きな要因といえるでしょう。
まとめ
1970年代のホンダ軽モデルをご紹介!バモス、ライフ、Z、ステップバンをまとめると
- 1970年代初めごろは、ホンダが多くの軽モデルを投入していました。
- 水冷エンジンやタイミングベルトの採用など、技術的にも革新した時代です。
- ホンダ自動車部門のデザイン性や性能を大きく飛躍させたモデル達ちとなっています。
ホンダ軽モデルは、70年代前半に製造販売が中止になったモデルが多い状況です。これは普通乗用モデルへの転換などによるものであったといえます。また当時はオイルショック時代であり、シビックの販売好調がホンダ軽部門を一旦製造中止にした一因であったのではないでしょうか。
バモス・ライフ・Z・ステップバンは、現在でも非常に希少価値が高く人気のあるモデルとなっています。中古車市場では、非常に高値のつく車両も多く存在している状況です。ホンダの当時の想いが込められたもモデルを4車種ご紹介しました。