ルマン24時間レースで日本メーカー初の優勝を果たしたマツダ・787B!ロータリーサウンドを聞ける2019年のイベントや走行予定は?

ルマン24時間レースで日本メーカー初の優勝を果たしたマツダ・787B!ロータリーサウンドを聞ける2019年のイベントや走行予定は?
     
   

毎年、各国の自動車メーカーが威信をかけて臨むルマン24時間耐久レース。

そのレースで日本車として初めて優勝を果たした車をご存知でしょうか?現在ではスポーツカーのイメージを抱く方も少ないマツダ、そのマツダの作った787という伝説の車が、日本車初のルマン耐久レースの覇者であることはあまり知られていません。

今回はそんな伝説のレーシングカー、マツダ・787Bの魅力やその生い立ちについてご紹介します。

マツダ・787Bが登場するまでの歴史

マツダの歴史にその名を刻むマツダ・787Bですが、その起源はいったいどこにあるのでしょうか?

また、型式Bはいったいどのような意味をもっているのでしょうか?

ここではまず、マツダ・78B登場までの歴史を振り返ってみます・

3ローターR20B搭載のマツダ757

引用元:ウィキペディア(Wikipedia)

マツダ・787Bの先駆けとして登場したのは、ロータリー機構を3つ連結したいわゆる3ローターエンジンを搭載した757にまで遡ります。

ちなみに、ロータリーエンジンはピストン運動で動力を得るレシプロ式エンジンとは根本的な構造がことなり、レシプロエンジンでいうところの気筒数=ロータリー数といった解釈は通用しません。

ロータリーエンジンの構造やその仕組みについては省略しますが、ロータリー機構を3つ繋げる構造のエンジンは、マツダの757が世界で最初に採用した、画期的なエンジンモデルです。

話をマツダ・757に戻します。757はマツダが世界の自動車レースに本気で勝ちを目指して開発した、レース専用のプロトタイプマシンです。

当時はレシプロエンジンにターボチャージャーを搭載したライバル車がほとんどで、その多くは600馬力に及ぶハイパワーを武器に、レースの世界を席巻していました。その為マツダは、ロータリーエンジンの特徴でもある計量な車体を活かすために、車重制限の低いカテゴリーでの参戦を決め、その後もそのカテゴリーの中ではマツダだけが参戦し続けるという、いわばマツダのロータリー専用カテゴリーとも言われるほどに、計量クラスでの地位を確立していきます。

4ローターRE13改搭載の767/767B

引用:日下エンジニアリング

しかし、その後はどうしてもレシプロエンジン勢のハイパワーに対抗することができず、苦肉の策としてロータリーを1つ追加した4ローターの767を開発し、レースの世界に投入していきます。

この757の終盤にも採用されていた4ローターエンジンはその型式を13J/13J改/13J改改と進化させました。

最終型の13J改改は出力630馬力を誇り、レーシングエンジンではこれまで採用の無かった可変吸気システムを採用したことでも話題となりました。

また、熱対策も大幅に見直され冷却システムは後のロータリーエンジンでも採用され続けるなど、ある意味成熟期を迎えたエンジンと言える出来栄えでした。

しかし、レースの世界ではトラブルに見舞われ続け、結果としてはパッとしない状況が長く続きました。

カーボンモノコック採用のマツダ・787

レースの世界でマツダが本気の勝ちにこだわったマシンとして登場したのがマツダ・787です。型式の連番で言えば777となるのですが、日本語で発音が難しいとの理由で777をとばして787となったのは有名な話です。

これまでのロータリーエンジンの良いところを活かしながらも、斬新に生まれ変わったマツダ・787は結果として、ルマン24時間レースでの日本車初・レシプロエンジン以外での初の優勝など輝かしい戦績を残すことになります。

マツダ・787Bのスペック・特徴は?

引用:FANDOM

では、そんな歴史的な快挙をなし得たマツダ・787Bとは一体どんな車だったのでしょうか?ここからはレースの世界にその名を遺すマツダ・787Bのスペックについてもご紹介していきます。

700馬力の4ローターR26B

まずはエンジンです。767と同様お4ローターエンジンを搭載した787ですが、767までの13J型式を一新し、R26Bという新型エンジンとして開発されました。

排気量は2600ccながら700馬力を誇るこのエンジンは、前身となった13J改改からアペックスシールの材質変更など、細部の見直しを徹底して行い、ポテンシャルとしては800馬力を出すことも可能と言われました。

しかし、実際にはその出力と24時間という長時間の耐久レースに耐えうるミッションの開発がネックとなり、700馬力にデチューンされたほどの、優秀なエンジンです。

カーボンブレーキの採用

引用:SCOOPNEST

また、見直しはエンジンだけではなく高出力のエンジン性能をいかんなく発揮するべく、200項目にも及ぶ見直しと改良が加えられました。

その一つがカーボンブレーキの採用です。マツダ787にブレーキシステムを提供したのは、世界的ブレーキシステムのメーカーである「ブレンボ」です。当時ブレンボは各社に対してブレーキの性能を最大限引き出すための空冷システムの搭載を要請していました。

というのもカーボンブレーキは制動性能については他の素材と比較して抜群の性能がありながら、その素材特性故に熱に対して脆弱であるという大きな欠点を抱えています。しかしマツダ・787はエンジンの冷却システムの開発で培った技術で、その問題をクリアします。

初優勝を果たしたルマン24時間レースの後にブレンボは公式見解として「マツダのみが、自分たちの求める最大の条件を満たしていた」と発表し、その冷却性能を高く評価しています。

コーナリング重視にリアカウルを変更

ルマン24時間レースのコース変更に伴い、マツダはこれまで直線でのスピードを優先して設計していた車両を、新たに新設されたシケインに対応すべく、コーナリング重視の設計に変更します。この設計の見直しによって生まれたのがマツダ・787Bです。

これまでの空気抵抗を最大限抑制する構造のリアカウルをコーナー侵入時の安定性と立ち上がりのトラクションを重視した設計に変更し、コースに新たに設けられたシケインに対応しました。

マツダ・787Bのルマン24時間レースでのライバル車両

さて、マツダ・787Bが初優勝を果たしたルマン24時間レースではそれまでも、世界中の自動車メーカーが自慢のコンセプトカーを持ち込み、凌ぎを削っていました。

中でもヨーロッパ勢は、自社の威信をかけてレース車両を開発し毎年のように新型車を発表していました。

ここでは、マツダ787Bが乗り越えなければならなかった世界の強豪たちについてもご紹介します。

メルセデスベンツ・C11

引用:ウィキペディア(Wikipedia)

言わずと知れたドイツの優、メルセデスベンツが誇る当時としては最高のレーシングカーです。

排気量5000ccのV8ツインターボエンジンを搭載し、最高出力は当時の最高レベルを誇りました。また、開発に難航したものの、最終的にはカーボンモノコックのボディを完成させ軽量且つ高剛性なボディを体現していました。

メルセデスの本気がうかがえる逸話としては、レースで勝つことを最優先と考えた当時の担当者によって、最終的な車の調整や仕上げを、同じレーシング車両を製造しレースに参戦していたポルシェに委託していたことは有名な話です。

ジャガー・XJR-12

メルセデスベンツとは対照的に、耐久レースでの信頼性を優先し自然吸気の大型エンジンを採用したのがジャガーです。

12気筒の大型エンジンで低速から高速までのびやかに、しなやかに加速するこのエンジンを搭載したジャガー・XJR-12はルマン24時間レールやデイトナといった主要レースで、軒並み優勝を飾り一躍世界のトップに立ちます。

ジャガーの戦略は緻密かつ攻撃的で、ルマンにとデイトナといったレースごとにエンジンの排気量の違うモデルをエントリーさせるなどした戦略が見事に結果をよび、ライバルたちがトラブルで苦しむ中数多くのレースで上位を独占しました。

ポルシェ・962C

引用:ウィキペディア(Wikipedia)

代名詞とも呼べる水平対向エンジンを搭載し、ひときわ異彩を放っていたのがポルシェ・962Cです。エンジンの排気量は3.2ℓと小さめながら、組わせたターボユニットとの相性は抜群で直線でも十分な能力を発揮しました。

また、水平対向のメリットである低重心構造とそれを支えるしなやかなサスペンションで、コーナーリングマシンとしては当時の世界最速とうたわれた名車です。

トヨタ・91C-Vと日産・R91CK/CPは不参戦

マツダ・787Bが優勝を決めた年のルマン24時間レースは実は日産やトヨタといった他の日本車勢は出場義務が課せられるようななた前哨レースに参加できなかったことを理由に、この年の参加を見送っている。

マツダ・787Bが登場する可能性がある2019年のイベントや走行会は?

さて、そんなマツダの名車787Bを実際に見ることができる可能性があるイベントをいくつかご紹介します。これらのイベントは過去にマツダ787Bを実際に展示したり、787Bに関するイベントが開催された実績のあるイベントです。

現在では公式発表はされていませんが、今後発表される情報には要注目です!

「モーターファンフェスタ in 富士スピードウェイ」

公式サイト:モーターファンフェスタ

「マツダファンフェスタ」

2018年 公式サイト:https://www.mazdafanfesta.com/

ぜひ、往年の名車に触れてその魅力を感じてください。

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