海外での先行リリースにより事故が懸念されていたポケモンGO
日本よりも18日早い7月4日にポケモンGOがリリースされたアメリカでは、ポケモンGOに夢中になり、学生が崖から転落する事故やテレビ番組の放送中にスタッフがポケモンGOをプレイしながらカメラ前を横切るという放送事故、ポケモンGOに夢中なあまりカナダとの国境線を越えてしまう珍事など、突飛な事故や事件が話題に上り、日本でもポケモンGOのリリース前からポケモンGOが発端となる事件や事故が懸念されていました。また、総務省からもリリース前にポケモンGOに関する注意喚起が公開されるなど、ポケモンGOの社会的影響力、危険性はネット上を中心に何かと話題に上っていたのです。それでは、日本でポケモンGOがリリースされてからの実態はどうなのか、事前の注意喚起は功を奏したのか振り返ってみましょう。
7月29日時点で東京都内の交通違反や補導は74件
NHKの発表によると、東京都内でポケモンGOが原因と思われる交通違反や補導の件数は74件に達しています。内訳は交通事故が3件、交通違反(運転中のゲームプレイ)が35件、バッテリーの万引きが11件、痴漢・スリ・夜間の不審者などの疑いによる補導が25件確認されています。リリースから1週間後にユーザー数がもっとも多いと思われる東京都内の交通事故は3件と意外にも少ない数字です。反面、35件もの交通違反を検挙していますので、ポケモンGOへの注意喚起や警察の対応が上手くいったと言えるのではないでしょうか。
実態として交通事故などの取り締まり関連が38件、残りの36件が不審者や万引きといったモラルハザードに起因する取り締まりとなっていますので、自己の利益を優先する非常識な行いが問題となっているようです。
ポケモンGOの影響で外に出る人が多いから、統計的には前年度より熱中症になる人と交通事故に遭う人の数って上がるかな
— とれのん (@strueno_ncp10) 2016年7月31日
全国での交通事故は36件中20件が自転車事故
さらに東京都内だけでなく全国へ目を向けてみると、リリースから6日後の7月27日時点で交通事故の件数は36件、交通違反での取り締まりは401件にも上っています。36件の交通事故の内半数以上の20件が自転車による事故というのが特徴で、ポケモンGOをプレイしながら歩行者や他の自転車にぶつかる事故が発生しています。交通違反の取り締まりに関しては運転中にポケモンGOをプレイしていたという事例がほとんどで、自動車やバイクに対しての取り締まりが都内と同じく効果をあげているようですが、自動車に比べて安全意識がどうしても低くなりがちな自転車への対応が今後の課題と言えそうです。
自転車漕ぎながらスマホいじってる人がいて
「ポケモンGOやってるのかなー。事故らないように気をつけてくださいねー」
なんて思いながら見てた。— み と (@ama_no_oto0808) 2016年8月6日
山梨で起こった自転車と自動車の衝突事故
またポケモンGOが原因とされる交通事故で印象的だった出来事が、この山梨で起こった自転車と自動車の衝突事故ではないでしょうか?ポケモンGOをプレイしながら自転車を運転していた15歳の男子高校生がT字路で出会い頭に軽自動車と接触事故を起こした事件です。幸い男子高校生は軽いケガだけで済みましたが、もしぶつかった相手が歩行者だったらと考えると恐ろしい事件ですね。
接触事故で自転車側が歩行者にケガを負わせた場合は、自転車側に賠償責任が生じます、ケガの程度によっては数千万円もの治療費や慰謝料を請求される場合も考えられますので、自転車を運転される方は十分に配慮した運転はもちろんのこと保険への加入を強くおすすめします。また既に自動車保険に加入している方は付帯として自転車保険に加入することもできますので、自転車を使用するお子さんがいらっしゃるご家庭で自動車に加えて自転車にも保険をかけておくことがおすすめです。
去年、自転車事故の被害者になったが、近所でポケモンGOやりながら自転車運転している人が多いのが怖い。年寄りとか轢いて打ちどころが悪くて死んだら高額賠償でマジで人生終わるよ。子どもがやれば親に賠償がくる。自転車保険は必須。
— 株・個人投資家の喫茶店 (@kabudream) 2016年7月25日
高速道路で起こったポケモンGOに関するトラブル
高速道路で起こったポケモンGOに関する事件では、日本でのリリース前にアメリカで起こった玉突き事故が今のところ最大の交通事故といえるでしょう。アメリカの26歳男性がポケモンを捕まえるために高速道路に車を停車させ、多数の自動車を巻き込んだ玉突き事故の原因となりました。幸い日本ではここまでの事故はまだ発生していませんが、高速道路にまつわるトラブルは日本でもすでに発生しています。
7月24日に24歳の日系ブラジル人男性がポケモンGOをプレイしていて東海北陸自動車道に侵入した事件で、人身事故にもつながりかねない事故として、本件を重くみた国土交通省はアメリカでポケモンGOを運営する「ナイアンティック」に高速道路上にゲームのキャラクターを出現させないよう要請をしたことが報じられています。高速道路で車を停車させたり車外に出ないようにしたりするのはもちろんですが、それと同時に高速道路を走行するときは歩行者や停車している車両がいるかもしれないことを頭に備え、あまり飛ばしすぎないことが大切です。
高速道路の情報案内表示に「運転中のスマホ操作取締強化中」
ポケモンGOをやりながらの運転中事故が相次いでいるのを反映していると思います。
— 吉本(きちもと)蝶右衛門 (@aosenga18) 2016年7月31日
ポケモンGOは自転車との組み合わせが最も危険!
今回のポケモンGOに関する交通事故で浮き彫りになったのが、自転車とスマホが組み合わされたときの危険性ではないでしょうか?免許制度と明確な罰則規定があり、警察の早期からの取り締まりも功を奏したため、自動車の交通事故は未然に防がれていますが、その分、自転車の交通事故が目立っているようです。
俺氏自転車乗りながら
ポケモンgoで事故った。携帯は無事でした。
コイキングに逃げられた。 pic.twitter.com/zvpCUxRSb5— こりく(こさかさん (@the_koriku) 2016年7月30日
アメリカではリリースの1週間後から徐々にユーザー数は減少傾向であると報じられていますので、日本でもポケモンGOのユーザー数自体はリリース当初の過熱に比べ徐々に減少していくものと思われますが、自転車に乗りながらスマホを操作する事例がなくなるわけではありません。
ポケモンGOで事故を起こす人は、ポケモンGOが無くても事故を起こすよ。
— 山根大地(Daichi Yamane) (@daichi76y) 2016年7月31日
自動車や自転車を運転される方、そして歩行者の皆さんも“ながら操作”でのポケモンGOの楽しみ方にはくれぐれもご注意ください。
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