いよいよ今年より、国土交通省が2020年東京オリンピック仕様のナンバープレートの交付を行います。デザイン案は既に1月に応募受付が終了し、夏までにデザイナーやハンマー投げ金メダリストの室伏広治さんらで構成される選考委員が1作品を選び、国民からの意見を交えて最終的に決定されるとのことです。
さてここでは、ナンバープレートの持つ意味、世界や日本で交付される少し変わったナンバープレートを取り上げていきたいと思います。いったいどのようなものがあるのでしょうか。
そもそも、ナンバープレートとは?
一般的にナンバープレートと呼ばれるものは、正式には「自動車登録番号標」といい、軽自動車や二輪車では「車両番号標」を指します。個々の自動車や二輪車を識別するために取り付けられ、例えるならば「クルマ版マイナンバー」といったところです。
それでは、ナンバープレートを具体的に見ていきましょう。まずは上段の地名についてです。これは基本的には使用地を直轄する運輸支局や、自動車検査登録事務所の所在地域を表しています。その横に並ぶ数字ですが、これは「分類番号」と呼ばれ、装着されるクルマの種別を表したものです。例えば登録車の場合、上1桁が「1」の場合は「普通貨物車」で、上1桁が「2」だと「普通乗合車」、また上1桁が「3」であれば「普通乗用車」などというふうに区別されます。
続いて、左下にあるひらがなは、自家用/事業用/レンタカー用の3種で分類され、その中で順に振られていきます。もっともわかりやすいのは、レンタカー用の「わ」や「れ」といったものでしょう。ちなみに「お」「し」「へ」「ん」「ゐ」「ゑ」といったひらがなは、発音しにくかったり縁起が良くないとされているため採用されていません。
最後に、下に大きく表示される数字である一連指定番号(軽自動車の場合は、車両番号)について見てみましょう。「…1」から「99-99」まで9,999通りの番号があり、基本的にすべての番号が順番に払い出されます。しかし42/94などは、やはり縁起が悪いといったことから除外されています。
人気が高い「希望ナンバー」って、何?
街中をクルマで走っていると「11-22」や「・555」、「・777」といったユニークな番号のナンバープレートを見ることがあると思います。これらは「希望ナンバー」と一般的に呼ばれており、登録車では1999年5月(分類番号3桁先行地区では1998年5月)から、軽自動車では2005年1月より採用されています。特に人気の高い番号は「抽選対象希望番号」と呼ばれ、毎週月曜日に行われる抽選で当選した場合のみ取得可能になっている点がポイントです。現在、全国一律の抽選対象希望番号は「・・・1」「・・・7」「・・・8」「・333」「・555」「・777」「20-20」などがあります。このほかにも地域により人気の番号があるため、定期的に抽選対象となる番号は追加や見直しが行われています。ちなみに人気の高い希望ナンバーは、3ナンバー登録車では「・・・1」「・・・3」「・・・8」や「88-88」、5ナンバー登録車では「25-25」や「11-22」、軽自動車では「25-25」や「・・・1」などのようです。
最近増えてきた「ご当地ナンバー」って、どんなもの?
「仙台」「つくば」「世田谷」「富士山」「金沢」「豊田」「堺」「奄美」……。最近、このような表示がされているナンバープレートを見かけることが多いかと思います。これらは、いわゆる「ご当地ナンバー」と呼ばれるものです。先述したように、ナンバープレートの地域名は運輸支局などの名称や所在地などが表示されてきましたが、2006年より地域振興、観光振興の観点から運輸支局などの新設をせずに新たな地域名称が表示できるようになりました。
クルマより早かった、原付のデザインナンバー
クルマに先駆け、原動機付自転車および小型特殊自動車では2007年からデザインナンバープレートの導入が進められています。たとえば愛媛県松山市では、司馬遼太郎氏の小説「坂の上の雲」をモチーフとした雲形のナンバープレートが、山形県天童市では同市の名産品である将棋の駒をかたどったデザインのナンバープレートが、東京都調布市では同市に在住していた水木しげる氏にちなんで「ゲゲゲの鬼太郎」デザインのナンバープレートが発行されました。財団法人日本経済研究所では、全国のすべての市区町村にこういった「ご当地プレート」が広がるよう普及活動を行っています。
海外では、どんなナンバープレートがある?
さてここからは、海外のナンバープレートを少し見ていきましょう。まずは日本のお隣、韓国からです。韓国では2006年11月以前に発行されたものは、日本のものによく似ていました。しかしそれ以降に発行されたナンバープレートは横長となり、ヨーロッパで使用されているようなものになりました。ちなみに乗用は白地で、事業用は黄色地となります。
次に、カナダです。基本的には白地のもので、自家用と事業用はアルファベットや数字の並びで区別されます。変わっているのはデザインで、ノースウェスト準州やヌナブト準州では通常の長方形ではなく、ホッキョクグマの形をしたデザインのナンバープレートを採用しています。このほかにも、2010年に冬季オリンピックが開催されたバンクーバーでは、オリジナルの図柄があしらわれたナンバープレートが交付されていました。
アメリカのものはどうでしょうか。アメリカでは一般的なナンバープレートのほかに、特別料金を払って自分がサポートする観光地や州の行政プロジェクトなどをデザインした特殊プレートを購入することができます。文字や数字も追加料金を支払えばプレートに打刻でき、たとえば「I♡NY」などというふうにハートマークを入れることも可能です。最近は、日本由来の「ANIME(アニメ)」や「DOUJIN(同人)」といったワードも人気のようです。
欧州を代表して、自動車大国ドイツのものも見ておきましょう。ドイツには「Hナンバー」という制度があります。これは製造から30年以上経過し、かつ大幅な改造が行われていないクルマに対し交付されるものです。これを装着したクルマは優遇税制が受けられるなど、製造から13年が経過すると増税となる日本とはまったく違いますね。クルマが文化として根付いている、いかにもドイツらしいナンバープレートといえるでしょう。ちなみに「H」は「Historisch」の略です。
どんなナンバーが日本にふさわしいか?筆者が考察
さて、いよいよ今年から日本でもクルマ用のデザインナンバープレートが発行されます。まずは2020年の東京オリンピック・パラリンピックに先駆けて行われる、2019年ラグビーワールドカップデザインのものです。2015年の大会では、五郎丸歩選手をはじめとする日本代表の大活躍でラグビーブームに火が付きました。再来年は日本でその興奮が味わえるということで、このナンバープレートも装着が広がるといいですね。
イキクル編集部でもナンバープレートのオリジナルデザインを考えてみました。
デザイン案①:「富士山」や「桜の花」をあしらう
やはりまず思いつくのは、富士山や桜の花をあしらったデザインです。どちらも日本の象徴であり、すぐに外国人も理解してくれるでしょう。そういった意味では、東京スカイツリーなどのランドマーク的存在もデザインに織り込んでみると面白いかもしれません。
デザイン案②:着物の模様などを薄くプリントする
こちらは、日本古来の伝統文化ですね。鶴や亀、鳳凰などの模様は「吉祥文様(きっしょうもんよう)」と呼ばれ、縁起が良いとされています。また立涌(たてわく)や花菱などは「有職文様(ゆうそくもんよう)」といい、こちらも格調高い文様として知られています。
デザイン案③:人気の根強い漫画のキャラを織り込む
版権的にOKなら、普遍的な人気を誇る漫画のキャラクター(「ドラえもん」や「サザエさん」、「ちびまる子ちゃん」など)をナンバーの端に添えるというのもいいのではないでしょうか。キャラクターに五輪のコスチュームを着せれば、さらに雰囲気が出るでしょう。
皆さんなら、どういう図柄のナンバープレートが欲しいですか?東京オリンピック仕様のナンバープレートは、いよいよ10月より交付される予定です。どんなデザインになるのか、実際にクルマに装着するとどんな感じに見えるのか、実に興味深いですね。
【関連項目】