ラオス国内のクルマ事情はどうなのか?日本人がラオスで仕掛ける「中古車オークション」のこれから【後編】

     
   

ラオスで中古車オークションの運営会社「LAOCAM」を設立し、1年で5回ものオークション開催に成功した大橋賢治氏。前編では、ラオスの地で中古車オークションをはじめた経緯について語ってもらいましたが、後編では、ラオス国内のクルマ事情、さらにはLAOCAM大橋氏が描く今後の展望について迫りたいと思います。

文化や習慣の差を乗り越えて今に至る

「我々の仕事は、まずラオス国内に中古車の相場を作ることだと思っています」と語る大橋氏。LAOCAM社の設立以前のラオスには、大規模な中古車の個人売買の場は存在せず、個人個人がそれぞれの価値観で中古車の相場を決めていました。それから1年が経過し、今ではオークションでの相場が1つの市場指標となっています。

しかし、そこにたどり着くまでには数々の苦労もあったと、大橋氏は言います。

「ラオスの人たちは非常に親切で、治安もそこまで悪くはありません。ですが、やはり日本に比べるとラオス国内ではとくに教育に対しての不十分さが目立ちます。」

ラオス政府は、途上国からの脱却を目標に掲げ、教育の普及・改善を優先課題としています。しかし、ラオス国民の識字率は79.9%(総務省統計局より)。まだまだ十分とはいえず、依然として都市部と地域での格差も大きいという状況です。

実際にラオスの国内企業も組織のトップにはタイやシンガポールの出身者が多いとのこと。日本で数々のビジネスのノウハウを培ってきた大橋氏といえど、社員教育で思うようにいかないことが多くあったようです。

また、文化や習慣の差も大きかったと続けます。

「英語は通じるので言葉の壁はそこまで感じませんでした。しかし、文化の差は今まで感じたことがないくらいに大きかったですね。そこでストレスを抱えることは多かったです」

ラオスで人気の車種は道路事情にマッチしている

初めは会員限定で開催されていたオークションも試行錯誤の結果、現在では誰でも参加可能な形態に落ち着きました。

ところで、ラオスでは具体的にどのようなクルマが人気なのでしょうか。

「ラオスの道路事情はまだまだ不十分。首都から30分も車を走らせると舗装されてない道路が数多くあります。そのため、ラオス国内では『トヨタ・ヴィーゴ(ハイラックス)』のような4WDのピックアップトラック型が人気です。街中を走る『ヴィーゴ』の荷台に人が乗っている光景もよく見かけますね」

道が整っていない道路ではセダンのような車種はすぐにパンクしてしまいます。やはり耐久性に優れ、荷物も多く運べるパワフルな車両の方が人々の受けが良いようです。

ラオスでの地盤を固め、その先を見据える

安定したオークション運営を執り行ってきたLAOCAM。ラオスの首都ヴィエンチャンでは、街を歩くと声をかけられることもあるそうです。

「設立から1年が経ち、顧客リストも徐々に増えてきました。またラオス国内では、私が中古車オークションを行っている日本人ということで有名にもなってきました。しかし、オークションがいつ開催されているのか知らない人もいます。そういった点ではまだまだ告知の訴求や認知を高める動きが必要です。この辺りの普及・啓発はこれからの課題ですね」

大橋氏は今後の目標として、ラオス国内での中古車オークションの定期開催を掲げます。

「毎月1回、もしくは2回のオークションを行いながら、ラオス国内で中古車オークションを根付かせていきたいですね。できればプロモーションがなくても自然と人が集まってくる形を作っていきたいと思っています。また、ラオスでの基盤が安定したその先は、ASEAN諸国やスリランカへの進出も視野に入れています。まずは、ラオスのでの地盤固めが第一。このビジネスモデルを足掛かりに他国へと進出していけたらいいですね」

日本から遠く離れた異国の地で高名を上げるLAOCAM、そして大橋氏の今後の活躍に、これからも期待がかかります。

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