JAXA×トヨタの有人ローバの名称決定!「ルナクルーザー」とは?

     
   

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)とトヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)は、現在共同研究を進める燃料電池車両技術を活用した月面モビリティ「有人与圧ローバ」の愛称を2020年8月28日に決定しました。愛称は、「LUNAR CRUISER(ルナ・クルーザー)」です。

「LUNAR CRUISER」という愛称の起源は、共同研究活動の中で試作車の製作などのモノづくりを進行させている中で、関係者や一般の方々に親しみを持ってもらえる名称にしたいという想いからです。トヨタのSUVであるLAND CRUISERのコンセプトである「必ず生きて帰ってくる」という精神や、過酷な環境である月面でも品質、耐久性、信頼性のある有人与圧ローバに仕上げることを目標にしています。

ここでは、「LUNAR CRUISER」と命名された有人与圧ローバの目的や特徴などを解説していきます。

「LUNAR CRUISER」開発の目的

引用:https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/26986678.html?_ga=2.172997667.1052949041.1601674013-1735261291.1601674013

JAXA側としては、国際宇宙探査への参加に向けて実際に月面で活動する計画を進行させています。最初の打ち上げ予定は、2029年を目指しているとのことです。このミッションを成功させ、具体的な国際宇宙探査への道筋をつけるためにも、トヨタと協業して月面を長距離で走行できる車両開発は重要であると考えています。その際に、すでに地球上で活躍しているトヨタと協業することを決めたということでしょう。

トヨタ側としては、地球上で持続可能なモビリティ社会実現に向け、HV、PHV、EV、FCVといった電動車の推進をしています。これを月面という未知なる世界分野に向けて開発していくということが、トヨタにとっても重要であるといえます。その中でもFCVは、空気に含まれるPMなどの有害物質を削減して排出することが出来る、マイナスエミッションを可能にするシステムです。宇宙に向けた技術向上は、地球上でも非常に重要であるといえるでしょう。

「LUNAR CRUISER」は、両者が課題としているものを解決し、進化させていくために重要な有人与圧ローバであるといえます。月面に向けて開発していくことで、地球環境をさらに向上させる技術革新もできるのではないでしょうか。

「LUNAR CRUISER」の諸元など

引用:https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/26986678.html?_ga=2.172997667.1052949041.1601674013-1735261291.1601674013

  • 全長×全幅×全高=6.0m×5.2m×3.8m(マイクロバス約2台分)
  • 居住空間13m3(4畳半ワンルーム程度)
  • 2名滞在可能(緊急時は4名滞在可能)

トヨタ次世代燃料電池によって、トータル1万キロの月面走行を可能にし、水素・酸素 満充填で1,000kmの走行が行える車両に仕上げていく予定です。クルーが、安全に確実に移動できる走行性能と自働運転機能が装備されるでしょう。月は、地球の1/6の重力がある重力天体です。その地表には、クレータ、崖、丘が点在し、地球と比して過酷な放射線環境や温度環境、極高真空環境でもあります。安全かつ長距離の移動を可能にすることは必須条件であるといえます。

「LUNAR CRUISER」による宇宙探査

引用:https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/26986678.html?_ga=2.172997667.1052949041.1601674013-1735261291.1601674013

将来的に発電による生成水は、冷却水や飲料水に活用できる仕組みまで進化していくとのことです。これは、将来、月の水資源を使用して宇宙で水素社会を実現するための実証でもあります。

「LUNAR CRUISER」の稼働サイクル

太陽光発電+水(月面の水)➡電気分解(酸素と水)➡発電によって、電気と水に分かれる➡電気は「LUNAR CRUISER」に活用、水は発電に再利用。排出された水は、飲料水などの活動水にも利用できるようにする。

捨てることのない資源となり、さらに水を追加で利用できるというマイナスエミッション効果も出てきます。月面だけでなく、地球上の環境を改善するのにも重要な開発であるといえますね。

まとめ

JAXA×トヨタの有人ローバの名称決定!「ルナクルーザー」とは?をまとめると

  • 両者の技術を進化させ、月面を安全に走行できるローバの開発に、地球環境を改善するという側面から協業しています。
  • 2029年までには、第一号の打ち上げを可能にするために現在開発中です。

JAXAとトヨタは、“チームジャパン”として様々な業界の技術力や知見を結集させながら、持続的な月面活動の実現を可能にしていくとのことです。地球上で親しまれているホームタウンやホームカントリーを月面まで広げ、ホームプラネットとなるように開発が進んでいくことでしょう。将来人類が月面で暮らす日も近いかもしれないですね。

 

ニュース・コラムカテゴリの最新記事