みなさんは、自動車保険のことに詳しいでしょうか?自動車保険には、基本契約以外にも多くの特約がありますよね。いろいろ存在する特約の中で『弁護士特約』・『弁護士費用特約』というのがあるのを知っているでしょうか。
「そんなの当然知っているよ!」という人も多いと思います。もしかしたら「保険のことは、代理店さんに任せているから細かくはわからない」なんて人もいるかもしれません。
ここでは、弁護士費用特約のあれこれについてご紹介していきます。
弁護士費用特約の必要性って?
引用:https://www.photo-ac.com/main/detail/4192278?title=%E4%BA%8B%E6%95%85%E5%87%A6%E7%90%86
一番重要なことを先に!
自動車事故で、自身の過失がなく相手の過失が100%の場合、自身加入の保険会社では、加害者側(保険会社含め)に交渉できない仕組みになっています。弁護士法第72条の非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止に当たる行為になるからです。
例えば、こちら側に過失のない事故なのに、「相手が自動車保険に加入していなかった、相手に全く支払う姿勢がない、相手保険会社がこちらが妥当と考える賠償金を支払ってくれない」といった事象が起きた際に、自身で解決を図っていかなければならないという事態が起きるということをさしてもいます。
実際に自身の努力で損害金を回収できる人は良いかもしれませんが、多くの人が仕事をしていたり、家事や育児で忙しかったり、またはご両親の介護で忙しいことと思います。では、損害金を「泣き寝入り」できますでしょうか?こう言った時に弁護士費用特約に加入していたことがベターであるといえます。
※弁護士が、自身や保険会社の代わりに相手との交渉などを行うことが可能になります。
弁護士費用特約って?
同特約は、自動車事故などの際に相手方に損害賠償を請求する交渉などを、弁護士に委任・相談し、その費用を一定額まで保険会社が負担する特約です。
先程は、ご自身の過失がゼロの際のお話をしましたが、過失がゼロでない場合でも特約約款の「保険使用できない項目触れなければ」使用できる特約です。
一般的に弁護士費用として保険会社が支払える項目は?
- 弁護士や司法書士報酬訴費用
- 訴訟費用、仲裁、和解、調停に係わる費用
- 権利の保全、行使に必要な費用
- 弁護士・司法書士との法律相談費用
- 司法書士・行政書士との書類作成費用
弁護士費用特約でいくらまで補償されるの?
保険会社の一般的な弁護士費用特約は、1事故に際して、被保険者1名あたり300万円を限度としている会社が多いです。また法律相談や書類作成などの場合は、10万円を限度と設定している保険会社が多いです。
ご自身が加入の自動車保険に、『弁護士費用特約』が付帯されているか一度チェックするとよいでしょう。さらに補償内容なども調べておくと安心ですね。
弁護士費用特約の補償範囲や免責などは?
引用:https://www.photo-ac.com/main/detail/4188301?title=%E4%BF%9D%E9%99%BA
一般的な補償対象になる方は、記名被保険者と家族、またはご契約のお車に搭乗中の方となる場合が多いです。また記名被保険者と家族は、歩行中に自動車事故にあってしまった場合も対象となる設定になっています。
保険会社によっては、補償範囲の違う2種類の弁護士費用特約が設定されている場合があります。
- 自動車事故の際に適用・・・自動車事故の被害にあった場合にのみ、弁護士費用特約が使用できる。
- 自動車+日常事故の2つが適用・・・自動車事故だけでなく、日常生活などで被害にあった際にも、弁護士費用特約でカバーできる。例えば、散歩の犬にかまれた、マンションの屋根から植木鉢が落ちてケガしたなど。
補償の範囲が広いということは、保険料も上がるということになります。どちらの特約がベターなのかも一度検証するとよいでしょう。
「弁護士費用特約のみを使用した場合は、翌年の等級は下がらないです!」
最初にお話ししましたが、補償対象者の範囲は、記名被保険者と家族、またはご契約のお車に搭乗中の方となっています。ご家族で複数台車を所有している場合は、補償被りの場合もありますのでチェックしてみましょう。
弁護士費用特約で免責となる事項など
弁護士費用特約を使用したいときは、加入保険会社に弁護士費用を使用したいことを事前に伝え、承認を受ける必要がある場合が多いです。弁護士費用の一部、全部が対象にならないなんてことの起きないようにしたいですね。
また免責事項もあります。下記に一般的な免責事項を記載します。
- 被保険者の故意または重大な過失で生じた本人の損害
- 無免許運転、麻薬、酒気帯び運転などの影響で正常な運転ができない状態の事故での本人に生じた損害
- 闘争行為、自殺行為、犯罪行為の結果、本人に生じた損害
- 台風、洪水、高潮、地震もしくは噴火またはこれらによる津波などの自然災害による損害
- 危険行為とみなされる状態で搭乗中の場合
- 日常生活の事故など、自動車にかかわる事故ではない場合(保険会社によって見れるものもある)
被保険者が下記の方に損害賠償請求を行う場合
- 記名被保険者と配偶者、記名被保険者またはその配偶者の同居の親族・別居未婚の子への請求
- 被保険者の父母、配偶者または子
- ご契約のお車の所有者
上記の免責事項は、一例です。ご自身の保険会社に免責事項などを一度確認しておくのが良いでしょう。
弁護士費用特約を利用する目的
引用:https://www.photo-ac.com/main/detail/4380112?title=%E5%92%8C%E8%A7%A3
最初にお話ししましたが、「自車が過失ゼロなのになんで、こんなことに」という場合は、弁護士費用特約は非常に助かる存在です。それ以外にもどう言った時に利用することが良いのでしょうか。
- 大けがをする被害事故にあってしまった。治療は終わったんだけど、相手の保険会社の賠償額が妥当なのかわからない。
- 過失は自身にもある事故なのだけど、自車が被害事故の立場になった。保険会社同士の交渉が中々進まず時間だけが過ぎていく。
- 信号無視の車にぶつけられ、残念なことに亡くなってしまった。相手や相手保険会社と話せる気持ち的ゆとりがない。
など弁護士費用特約が付いていて、助かったというケースは結構あります。
現代社会は、多様化が進んでいますね。多様化はよい事でもある一方で、人々の思考も多様化したことによるそれぞれの価値観違いも大きくなっているということです。
当事者間では解決できない問題も多く発生するということでもあります。自動車事故の場合においても当事者同士で話し合うことは非常に少なくなってきているのではないでしょうか。弁護士に依頼をする必要性も高まっているといえます。
まとめ
保険会社の特約でよく聞く「弁護士費用特約」って?をまとめると。
- 弁護士費用特約は、自身加入保険会社が動けないケースでは、大事な役割を果たす。
- 弁護士費用の補償範囲は、300万円(内容によって10万円)が限度の場合が多い。
- 補償範囲は、保険会社各社によって違いがあることがあるので一度確認しましょう。
今回は、自動車保険の特約である『弁護士費用特約』についてご紹介してみました。自動車保険の特約の中でもあったら安心な補償の一つではないでしょうか。より良いカーライフになるように一度ご自身の保険証券などをチェックするのも良いでしょう。