今回修理する車は、スズキのワゴンRです。ユーザーの話を聞くと段差などで「ガコン」と異音がするとのことでした。筆者が想像する故障原因の場合、なるべく早く修理した方が良いと思い訪問しました。
車をジャッキにかけてタイヤをゆすぶってみると、「ものの見事にカタカタ」と上下左右に・・・。今回は、足回りの中でも早期に修理した方が良いと思うパーツ交換を解説します。
不具合箇所の確定
引用:筆者撮影画像
まずは、実際に乗ってみて異音を再現していきます。チョット走っただけで異音は発生しました。左前からの異音です。ということで、早速ジャッキにかけてみて状況をチェックしていきます。
- タイヤのついた状態で揺すぶってみる
- 揺すぶったら、通常はガタがないのにガタつく。
- ゆすぶりながら、裏側を覗いてみる。ハブのガタ、ロアアームのガタ、タイロッドエンドのガタ、スタビリンクのガタの確認
- 結果、ロアアームとナックルアームの接合部付近でのガタと判明(ロアアームボールジョイント不良)
- そのほかは、問題なさそうなのでこのパーツの交換をしていく
※本来であれば、タイロッドエンドなどの修理も一括して行う方が良いのですが、所有者様のお財布の状況もあるので、とにかく異音の原因である箇所を直すことにしました。また後から説明しますがこの部分は、走行不能になるほど重要なパーツです。
足回りにひどい故障が生じると、走行不能なだけではなく、事故などに発展してしまいます。足回りの点検・整備は非常に重要であるといえます。
ロアアームの交換手順及びパーツ購入など
引用:筆者撮影画像
ワゴンRのロアアームは、大きく分けて4か所のネジで止まっています。そのネジを外すことで交換する事が可能になります。まずは、ロアアームの付け根にあるボルトを外すのですが、フレーム強化のためのバーが邪魔になるのでこのバーを外してしまいます。
横から止まっている10cmくらいのボルトを外して、前側の付け根は完了です。
今回使った工具など一覧
- 10㎜~17㎜までのメガネレンチ
- サンダー
- ブレーキクリーナー
- 潤滑油スプレー&ウェス
- ドライブシャフトが抜けると、オートマオイルが出るので補充用オートマオイル
引用:筆者撮影画像
つぎに付け根側奥の下から入っているボルトを外します。こちらは、インパクトがあれば楽に外せます。
引用:筆者撮影画像
ある程度フリーになりました。このワゴンRは、スタビライザーリンクがロアアームに接合されています。スタビライザーリンクを外さないとロアアームの交換ができません。またこのスタビリンクなのですが、とにかく外そうとすると折れてしまうという印象が筆者にはあります。
最初に所有者様から了解を得て、壊す覚悟で外します。まずは、スタビライザーとロアアームを止めているナット+ボルトが、速攻で折れました。
そして、案の定スタビライザー側も六角が舐めている状態で、外しようがないのでサンダーで切ってしまうことになりました。
引用:筆者撮影画像
上記の画像が、スタビライザーリンクです。国産車のほとんどが外そうとすると折れたり、外せなかったりするので最初から交換する気持ちでパーツを注文しておいた方が良いでしょう。
ガタのきているロアアームは、かなりひどい状態に!
引用:筆者撮影画像
無事にロアアームは、外すせました。ここで、このロアアームの重要性を話していきます。
今回は、ロアアームとナックル部(ブレーキローターやハブが付いている部分)でのガタでした。もしこの異音を放置してしまい、このパーツが破損して外れてしまったらどうなるでしょうか?
ナックルとロアアームが外れてしまうと、走行不能・事故になります!
ナックルとロアアームが外れることで、ドライブシャフトがエンジン側から抜けてしまいいます。ドライブシャフトが抜けると、構造上オートマオイルも噴出します。結果走行不能なだけでなく、事故発生の可能性も高まります。
引用:筆者撮影画像
赤〇3か所の中でも、特にナックルアーム側の破損は、事故や走行不能に直結しますので、早期に交換する事が望ましいといえます。残りの2か所に関しては、走行中にかなり大きな異音が発生しますので、異音が確認出来たら早めに交換しましょう。
- 新品のロアアームは、約10,000円
- 新品のスタビライザーリンクは、約1,000円
ロアアームは、中々交換しないパーツです。ネジが固着したりゴムブッシュが供回りして外れなかったりと、結構大変な場合もあるようです。
引用:筆者撮影画像
新品のロアアームを組付けていきます。外したやり方と逆の手順で行うとよいでしょう。奥の後ろ側は、少し知恵の輪みたいな構造になっていますが、慌てずに行えばしっかり入ります。あとは、逆の手順でボルトを締めていきましょう。作業時間は、1時間ほどです。
ワンポイント注意!
足回りを組付ける際には、各箇所を均一に締めていき、最後は、1Gをかけた状態で締めこむことが重要です。1Gとは、4輪が平行な地面に設置している状態です。
実際には、ジャッキアップしているので路面に設置できません。そのため、1Gを作るためにロアアームとナックル部の付け根に別のジャッキをかけて、上げてGをかけることで、1G付近を作ってあげるのが良いでしょう。
まとめ
【修理記事】足回りから「ガコン!ガコン!」と異音発生!?をまとめると
- 足回りの異音は、走行不能や事故に直結する可能性が高いので早々に修理しましょう。
- スタビライザーリンクを外す必要のある修理の場合は、スタビライザーリンクも購入すると良いです。
ここでは、ロアアームの修理と足回りの異音発生の際は、早めの対策が肝心であることをお話ししました。車は機械です。使用していくと、少なからず故障もします。快適に過ごすために日頃から整備することが望ましいでしょう。