ロータリーエンジンに詳しい方から「面白い車を整備するよ」と電話がありました。早速行ってみると、そこにはRX-8があり、さらに後期型が置いてありました。
車は、ソコソコ傷んでいるように見えました。どうやらエンジンが、カーボンロックして不動になってしまっているようです。
このRX-8は、従業員さんがロータリーエンジンに乗りたいらしく、いろいろな所に見に行って不動車を15万円で譲ってもらったようです。
ここでは、ロータリーエンジンのオーバーホールや、最新ロータリーであるRX-8での注意点などを解説します。
RX-8の情報と状態
引用:筆者引用画像
- RX-8は、平成23年製(2011)です。
- 走行距離は、約14万キロ
- 車検は、2年近く残っている状態
- ショックは、車高調に変更済み
- 内装は普通の使用状態
- 外装は、フロント・リアバンパーともに傷が多い状況(要:板金塗装)
- エンジンは、カーボンロックによって不動
現在、RX-8の後期型は、状態にもよりますが200万円前後はすると考えます。15万円で購入した車体をお安く直せたら、ユーザーもお得感があるということでしょう。
RX-8のカーボンロック(エンジンブロー)とは?
引用:筆者撮影画像
RX-8は、ロータリーエンジンです。ロータリーエンジンは、ロータリーハウジングの中をロータリー(おにぎり)が回ることで、動力を得ています。
RX-7のときよりも、RX-8として進化したモデルの方が、スラッジのたまりが多いと言われています。これは、排気システムの違いによって起きているようです。
またレシプロエンジンよりもガソリン濃度が濃いという点が、カーボンが溜まりやすい車となるとといえます。さらにエンジンオイルをハウジング内に噴射する必要性から、もともとスラッジやカーボンの蓄積しやすいエンジンです。
ロータリーエンジンのカーボンロックとは、簡単に言うとアペックスシールやサイドシールにカーボンが溜まり(レシプロでいうピストンリングなど)、エンジンが掛からなくなってしまう現象です。
カーボンロックすると、エンジンをオーバーホールするか新品に載せ替えないとならなくなります。
やはりオーバーホールを頼むと相当高い・・・
上記の方の情報を見ても、オーバーホールを依頼したら、すごい金額になっていることがうかがえます。これをお安く済ませて、お得に乗ることを今回目的にしています。
エンジンを車から降ろして、内部を・・・
引用:筆者撮影画像
エンジンをRX-8から降ろすことから始めます。RX-8は、補機類を外して、下からフレーム事外すのが一番楽なようです。今回は、ミッションの状態も確認したかったので、ミッションも降ろしました。
エンジンを降ろしたら、内部チェックするために裸にしていきます。裸にしていき内部チェックした瞬間、「ありゃ~」という声が全員から出てくる状態でした。あまりの酷さに写真を撮り忘れるという失態です(すみません)。
とにかく現在のパーツがどのくらい使えるかを確認したいため、洗浄開始です。洗浄している段階から多くの部品が×である可能性が高いと判断はしていました。
今回オーバーホールのパーツ費用は、50万円位!
引用:筆者撮影画像
ローターハウジングは、2枚とも新品を購入しています。再使用できる状況ではなかったです。
そのほかサイドハウジングやセンターハウジングは、再利用できるものと、在庫で使えそうなものを研磨して使用したりすることになりました。ローターは、在庫していたものを使用する予定です。
とにかくお安く、しっかり修復することを今回の目的にしています。
案外高くついたのは、小物類の交換パーツ
引用:筆者撮影画像
エンジンオーバーホールは、エンジン内部だけでなくいろいろな所のスモールパーツを新品にしていくことになります。こういったパーツの代金は、「チリも積もれば山となる」という言葉が良くあてはまると思います。
RX-8がカーボンロックする最大の原因を発見!
引用:筆者撮影画像
エンジンを組む前に、実際にパーツを並べて重量計測します。一番良い状態の組み合わせにセットしいきます。もちろんこの作業は、熟練の方が今回行っています。
その時「RX-8のカーボンロックって必ず起こるじゃん」と声がしました。純正パーツで購入した新品サイドシールは、非常に短いです。
上画像の赤丸部分が、純正サイドシールの場合、2.5㎜前後隙間が空いてしまいます。このクリアランスは、マツダでの推奨値のようですが、この隙間からカーボンなどが堆積する仕組みになっているのではないでしょうか?
通常のRX-7などでは、このような広いクリアランスは絶対にないです。カーボンロックの原因には、いろいろな理由があると考えますが、このパーツの問題も大きいと考えます。
社外で、長いサイドシールが売っている
引用:筆者撮影画像
社外サイドシール販売は、行われています。もちろん純正よりも長いサイズです。これをちょうど良い長さにカットして使用していきます。
RX-8のオーバーホールを検討している方は、純正のサイドシールを高く購入するくらいなら、社外の長いサイドシールを購入するのが良いと思います!
今回のオーバーホールでの大収穫は、
「RX-8のサイドシールは、社外で長いのを使うべし」
ということです。
今やロータリーエンジンは、希少なエンジンです。勉強するにも、専門的な学校などでしかできないのかもしれませんね。筆者は、ロータリーエンジンに精通している先輩のおかげで多く作業できています。
RX-8のロータリーエンジンをくみ上げる
引用:筆者撮影画像
パーツが揃い調整などが完了するまでに、約1か月を要しました。それでもRX-7の時よりは、新しい年式などの関係でパーツ入手などは、早かったと思います。
そしていつも思うのですが、ロータリーエンジンを組み上げるときは、レシプロよりもすんなり組めるという印象があります。
作業開始して、約3時間できれいに組みあがりました。
ロータリーエンジンは、マツダの技術です。ただ現在ではマツダしか作っていなかったエンジンともいえます。ロータリーを末永く乗るためには、パーツ供給が続くことが必要ですね。
組み上げたエンジンを車に搭載する
引用:筆者撮影画像
くみ上げたエンジンをメンバーに載せ、再度車に載せる作業をしていきます。ミッションは、不具合なかったのですが、クラッチシステムが使用限界になっていたので、社外の強化クラッチが在庫であったのでそれを使用することに!
社外クラッチの使用注意点
社外クラッチシステムを使用するときは、クラッチレリーズやその他のパーツも社外にあったサイズに交換しないとなりません。クラッチシステムだけ交換しても、クラッチ切れ不良などが起きることに注意しましょう。
じつは今回の作業で経験しています(笑)。
こうして作業する事、3日間無事にエンジンが始動しました。クラッチも良好です。試験走行も良好です。いったん車を洗車し、バンパー前後を板金塗装出来たら完了となります。
今回RX-8でかかった費用は、一体いくらに?
引用:筆者撮影画像
RX-8の車体代金 15万円(不動のため、ただ車検がほぼ2年ある)
オーバーホールするのに購入したパーツの費用合計 50万円前後
作業工賃は、ゼロ(ゼロかは、わかりませんが格安とのこと、たぶん20万未満かなと)
前後バンパーの板金塗装が、約5万円ほど(上画像参照:中古購入のバンパーを再塗装予定)
全部で90万円位で仕上がったのではないでしょうか。これは、あくまで大体の話ですが。
かりに100万円前後になったとしても、RX-8の後期型であれば、かなりお得であるのではないでしょうか!
引用:筆者引用画像
後日中古の前後バンパーの再塗装が終わり、ボディーに無事取り付けすることができました。しっかりエンジンも掛かり、メーター内のエラーコードも出ず、エクステリアもしっかりしたので全体的な仕上がりは良いのではないでしょうか。
まとめ
RX-8のエンジンがカーボンロック、オーバーホールしてみた!をまとめると
- RX-8は、歴代ロータリーの中でも非常にカーボンの溜まりやすいエンジンです。
- カーボンロックしたエンジンは、オーバーホールか載せ替えになるでしょう。
ここでは、格安でロータリーエンジンをオーバーホールし、RX-8を街乗りできるようにするという目的で作業しました。基本的にはチューニングは行わず、ノーマルエンジンを復活させました。