夏が近づいてきたある日、「エアコンの風が冷たくならなくて」というご相談を頂きました。筆者は軽い気持ちで「エアコンガス不足かな!」と思い、安請け合いで「見てみます!」と返事をして、訪問することにしました。
最近エアコンガスの補充作業が多かったので、ガス不足と考えて「補充して終了!」と思っていました。実際に行ってみると、ガス不足ではないことに・・・。
ここでは、ガス不足でないカーエアコン修理を推理しながら作業したのでご紹介します。
エアコンガスの検査をしてみる!?
引用:筆者撮影画像
今回の作業を行う車は、4トントラックです。乗用車とは違い、比較的作業のしやすいトラックでした。
エンジンをかけて、エアコン全開にし内気循環にしてみます。そして1500回転ぐらいの状態にしてしばらく様子を見てみますが、エアコンの吹き出し口からは、生ぬるい風しか出てきません。
ん~、やはりガスが入っていないのかなと思い、次はガスの量をチェックしてみます。すると上の画像のようにガスは、既定量入っているじゃないですか・・・。
という事はエアコンガス不足ではないといえます。エアコンシステムのどこかが、故障しているという事になります。
エアコン故障の場所を推理
エアコンシステムの中で簡単そうなところからチェックしてみます。
- ヒューズのチェック→異常なし
- エアコン用フィルターのチェック→このモデルは、外気導入用のフィルターしかないのですが問題なさそう
- エアコンコンプレッサーチェック→クラッチが入ると異音もなしに回っているので初期段階では、異常なし
- サイトグラス→透明になっているので、流量などは異常なしと判断
- エアコンコンデンサー→泥汚れが詰まっているので洗浄してみる、、、。というかコンデンサーファンが回っていない。
この他エアコンスィッチのミクスチャーなどの疑いもあるのですが、とりあえずエアコンコンデンサーファンが回っていないという事で、このパーツが一番怪しいという事になりました。
パーツを注文してもらう
引用:筆者撮影画像
コンデンサーモーターと言うパーツが、故障しているであろうという点を持ち主に確認してもらい、現時点で判明している故障原因がコンデンサーファンモーターの可能性が高いという事で、パーツを注文してもらうことにしました。
数日後パーツが届き、いざ交換作業に入ります。直ると良いのですが。
筆者がいつもドキドキする部分なのですが、原因が「絶対にこれ!」と判った場合は、比較的安心してパーツ注文をしてもらうのですが、「これかな!?」というときは外れていた時のことを考えてしまいます。
最近では、パーツ代も高いものが多いので、すごく緊張してしまいます。
コンデンサーファンモーターの交換作業
引用:筆者撮影画像
コンデンサーとファンは、助手席側に付いています。作業スペースは広いので、比較的作業しやすいのではないでしょうか。コンデンサーに詰まっていた泥汚れも洗浄していたので、綺麗になっています。
引用:筆者撮影画像
コンデンサーファンを止めているブラケットを外すため、12㎜のナット6個を緩めて外してしまいます。
引用:筆者撮影画像
コンデンサーファンを止めている4か所の10㎜ナットを撤去します。
引用:筆者撮影画像
コンデンサーファンが外れたら、落ち着いて作業ができるようにテーブルの上に置いて、作業方法を考えながら進めていきます。まずは、真ん中のファンが止まっている8㎜のナットを外します。
ファンカバーとファンはきちんと洗浄しておきます。
引用:筆者撮影画像
ファンが取れたら、モーターを止めているプラスネジを三か所外すのですが、サビてしまっており、中々外れません。今回は、ザウルスという工具を利用して外しました。
じつはこの商品はすごく便利な工具です。ネジはダメにしてしまいますが、ドライバーなどで回ららないときに重宝します。考えた人に感謝です。
外したモーターをチェック
引用:筆者撮影画像
トラックは、24Vなのですが、とりあえず12Vでも稼働するはずなので、予備のバッテリーで検査します。つなげてみて、動かないという事は、内部で故障が起きているという結論です。
逆の手順でモーターを取り付けして、ファンを元に戻して作業終了しました。さて、直っているでしょうか?
エンジンをかけて、1500回転をキープしながら、エアコンを全開オンにしてみます。「冷たい風が出てくるではないですか!」無事に修理完了です。
カーエアコンの不具合で考えられる原因
- エアコンコンデンサーの故障
- エアコンコンプレッサー不良
- エアコン関連での目詰まり
- エアコンスィッチの不良
- エアコンガスの不足や過多
- ヒューズ切れ
- エアコンコンデンサーファン不良
などになります。古い車の場合だと、原因が一つでない場合もあります。
まとめ
エアコンガス不足でない・・・、エアコン故障を推理&修理してみる!をまとめてみると
- エアコンガスの不足と思っていたら、思わぬ落とし穴があるかもしれません。
- 修理は、推理です。できるだけ故障個所を特定することでパーツ交換も少なく済むかもしれないです。
- 今回は、コンデンサーファンモーターの故障でしたが、カーエアコンの故障原因は様々です。
ここでは、エアコン修理するための原因究明などを解説してみました。皆さんもエアコンが効かないと思ったら、エアコンガス不足を最初に疑うかもしれません。
場合によっては、ガス不足でない場合も考えられます。慌てず原因を調査してみましょう!