クルマの取引現場での「事故車」とは?
そもそも事故車とはなんなのか?過去に交通事故をおこしたクルマは全て事故車なのか?
答えはNOです。
クルマの取引現場での「事故車」の定義は「クルマの骨格やフレーム部に損傷があるもの」であり、それを修正した履歴を「修復歴」といいます。
例えば大粒の雹が降ってきて、クルマのいたる部分に凹みやキズをつけるとします。その中でボンネット・フロントガラス・ルーフ(屋根)に損傷を与えた場合、どれが事故車や修復歴有りのクルマになると思いますか? 正解は「ルーフ」です。ボンネットやフロントガラスは交換修理してしまえば原状回復されたとみなされるので、修復歴としても残りません。一方のルーフはオープンカーでもない限りクルマのボディから切り離して交換できる部分ではないので、事故車に該当しますし修復歴としても残ります。
その他 火災や水没も骨格やフレームに歪みや腐食をもたらす要因であるため、事故車および修復歴となります。また自分で社外製サンルーフを取り付けた場合も「既存のルーフ部に穴を開けた重大な損傷」と見なされますので、修復歴と見なされます。
事故車や修復歴有りのクルマって売れるの?
「そもそもそんなワケ有りのクルマが売れるわけが無い」「むしろ処分費用を請求される」と思われるかもしれません。実際そういう例もありますが、その多くが「そのクルマの利用価値などを知らない業者に頼んだから」です。
日本は自動車関連の分野においては世界トップクラスです。日本車というブランド力は世界で通用します。つまり 国内外を問わず、その事故車・修復歴車にはほぼ間違いなく値が付くのです。以下がその売れていく流れです。
・どんなにボロボロでも「分別して溶かしてしまえばまた金属として価値が出る」という業者があります。空き缶なんかも集めればお金になりますよね?分別作業が大変ですがアレと同じです。
・「凹んでないドアとか、ボディから切り離せば板金での修理パーツになるよね?」ドアに限らず、エンジン関連の部品なんかも取り外してパーツ販売できます。
・「修復歴? そんなの海外じゃ気にしないよ!むしろコンテナに詰め込むためにボディ切断して現地で溶接し直すなんてこともあるんだよ?今よりヒドイ姿になるよ(笑)」海外輸出する場合には外見とか気にしないってことも多いですね。むしろ「エンブレムも大事だけど“日本語”(株式会社~ のような日本の企業名など)が車体に入ってるクルマは価値が高いね。間違いなく日本で作られて、日本で整備され続けた“メイド・イン・ジャパン+ジャパンクオリティの証”になる」という理由で、その企業にとってはまったく宣伝効果のない中東辺りでも日本企業の名が見られることもあるようです。
実はクルマの中古取引というのも古物商許可がないとできないものなのです。古物商って聞くと壷や掛け軸なんかをイメージしますよね? 人によっては価値が分からなくても、その筋の人たちからすると価値がでるなんて世界です。ビンテージカーなんかじゃなくても、目利きにかかれば値付けされるものなのです。
事故車を高く売るにはどうすれば良いか?
「そうかそうか。例え事故車でも買取価格がつくんだ」と思っていただければ幸いです。実際に「事故車 買取」とネット上で検索するといろんな買取業者がヒットします。
では、数ある買取業者に連絡して査定してもらう……その前に、車検証を確認してください。クルマは「所有者」の名義と住所が正しく表記されてなければ売買できません。車検証に記載された人物だけがクルマの所有権を有しており、その譲渡・売買・処分に関しての権限があります。もし異なっている部分があれば車検証の内容を一致させるために移転登録・変更登録・記載変更(軽自動車などの場合)をするための書類が必要になります。
また、事故によって損傷した箇所を修復した「修復歴有りのクルマ」を査定してもらう場合には、虚偽や隠蔽などせず知っている限りの事を相手に伝えましょう。告知する義務は査定および売買契約書内の規定に明記されており、民法における「民法第1条2項 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」という信義誠実の原則という考えがあるためです。悪質な虚偽や隠蔽は後々の民事訴訟における損害賠償請求や詐欺罪での刑事訴訟へと発展する可能性があります。
以上を踏まえた上で……さて、買取査定をしてもらおう! となるわけですが、どの業者にすれば良いのでしょうか?
査定は一社だけではなく複数の業者と比較するのが良いとはいえ、査定する業者が増えれば増えるほど査定時の立会いの回数は増えるので面倒といえば面倒です。
そこで全国の業者に公開されるネットオークション会場に出品するという方法もあります。クルマのオークションといえばUSSなどが有名ですが、事故車を主な対象としたオークションとしては「リンカーダイレクトオークション」があります。通常この手のオークションは登録業者限定であり、出品するには代行業者を通す必要がありましたが、リンカーでは個人での出品も可能となっていますので、気になる方はチェックされてみてはいかがでしょうか。
【関連項目】