出典元:https://www.photo-ac.com/
車に乗っていると思わぬトラブルに遭遇することはよくあること。そんな時、対処法を知っているのといないのでは大きく違いますよね。
ここでは、深刻なエンジンダメージになりかねないオーバーヒートが起こってしまった際の対処法についてご紹介します。
エンジンのオーバーヒートとは?オーバーヒートの原因は?
オーバーヒートとは?
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オーバーヒートとはエンジンが正常な範囲を超えて、異常な高温状態に陥ってしまうことです。
エンジンは運転状態にあると、そのままではどんどん加熱されて温度が上がって故障してしまいます。
それを防ぐために冷却水や冷却システムによって温度を下げるようになっています。
何らかの理由でエンジンがうまく冷却されない状態になると、エンジンの熱が排熱されず、オーバーヒートしてしまう、ということになります。
その原因には次のようなものが考えられます。
冷却水漏れ
車のエンジンは稼働すると熱を発し、そのままではどんどん高温になって焼けついてしまいます。
これを防ぐ為に冷却水をエンジン内に循環させてエンジンを冷やし、適温に保っています。
そのため、ラジエーターホースの劣化やラジエーターキャップの破損などによって冷却水が漏れてしまうと、十分にエンジンの熱を逃がすことができず、オーバーヒートに繋がってしまうのです。
オーバーヒートの原因で一番多いのが、この冷却水漏れといわれています。
走行中にサーモメーターが高温を示していたり、水温警告灯が赤く点灯、もしくは点滅している場合は特に危険な状態です。
ウォーターポンプや電動ファンなど冷却システムの不具合
ラジエーターに送風してエンジンを冷却させるファンに原因があることも。
適度な速度で走行している時は、ラジエーターに自然に送風されるのでいいのですが、長時間低速で走っている場合は風が送り込まれなくなるので電動でファンを動かして空冷します。
このファンを動かしているモーターに異常が生じたり、ヒューズが飛んだりしてファンが停止、もしくは正常に作動しなくなると効率よくエンジンを冷やせなくなり、これもオーバーヒートの原因に。
渋滞など、低速で長時間走ってる場合などにオーバーヒートが起こる可能性が高くなってしまいます。
サーモスタット及びサーモメーターの不具合
サーモスタットは温度に応じ弁を開閉して冷却水を循環させる大切な役目を担っています。
ダムの弁と同じ役割といえば分かりやすいと思いますが、ダムと違うところは水量でなく冷却水の温度で開閉するところですね。
このサーモスタットが劣化すると弁の開閉がうまくいかなくなり、冷却水がスムーズに循環できず、オーバーヒートしてしまうことがあります。
また比較的珍しいケースですが、サーモメーターが故障しているという場合も。
こまめにチェックし、エンジンをかけてもサーモメーターが全く反応しないようであれば故障を疑ってください。
そのままにしておくと、冷却水の温度変化に気付けないことになり危険です。
エンジンオイル不足やオイルの劣化
エンジン内部は、複数の金属部品によって成り立っています。エンジンが始動すると、それらの部品が動き、摩擦が起きます。
その摩擦熱や摩耗でエンジンが劣化するのを防いでいるのがエンジンオイル。
エンジンオイルがエンジンの動きをスムーズに保ち、不純物を取り除いたり摩擦による劣化からエンジンを守っているのです。
オイルも長期間の使用によって劣化していく(汚れていく)上、微量ではありますがだんだん減っていきます。
劣化、そして減少したオイルは十分にその機能を発揮することができず、エンジン内部が摩耗してしまうことに。
またエンジン内部の劣化などでオイルが外部に漏れてしまっている場合もあります。
そのままにしておくとオーバーヒート、場合によってはオイルに引火して火災に発展してしまうことも考えられます。
オーバーヒートするとどんな症状が出る?予兆は?
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初期段階
サーモメーターが高音を示す”H”側に傾いていれば、冷却水の温度が上昇していることを示しています。この段階ですぐに対処すればまだ軽症で済むことが多いでしょう。
オーバーヒートの初期症状としては、アクセルを踏んでもいつもより加速が鈍く感じたり、ノックするような”コン、コン”という音を感じることがあるようです。
中期段階
サーモメーターが”H”を越し、エンジンの回転数も不安定なのをはっきりと実感、そしてエンジンから水蒸気が立ち上るようになり、甲高い異音がしたら初期症状を越しています。
最終段階
サーモメーターは振り切った状態になり、”C”マークを指します。”ガラガラ”といった異音がし、エンジンが焼き付き煙が出たり、焦げ臭い匂いを感じます。
この状態が進むと、最終的にはエンジンが停止し走行不能になることがほとんどです。
予兆はあるの?
こまめにサーモメーターをチェックするようにしましょう。”H”に達していなくても、”H”側に傾いていれば何らかの異常がある可能性があります。
また運転時の感覚も大切です。特にアクセルを踏み込んだ時の反応が普段と違っていたり、かすかな異音を感じたらそれがオーバーヒートの予兆かもしれません。
面倒がらずに手遅れになる前に修理やメンテナンスしておくと、大きなダメージを避けられることになります。
オーバーヒートが発生した場合の対処方法は?
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安全な場所に停車
異常を感じたら出来るだけすぐに安全な場所に停車することが第一です。
煙が出ている状態になっている場合などは驚いてしまうかもしれませんが、パニックにならず前後左右をしっかりと確認し、他の車の走行を妨げない位置に停車しましょう。
アイドリング状態でボンネットを開ける
停車したらエンジンを停止させず、アイドリング状態にしておきます。
ボンネットを開け、風を通して熱を逃がします。水蒸気が出ている状態の場合は特に熱くなっていて危険です。よく注意して開けるようにしてください。
冷却水の残量をチェックします。冷却水がある場合はそのままアイドリンク状態を保ちます。
もしも冷却水の残量が確認できない、もしくは極端に少ない場合、ファンが回っていない場合はエンジンを停止させてください。
リザーバータンクから冷却水を補充
オーバーヒート状態になったエンジンルーム内はかなり高温です。特に金属部品は危険ですのでボンネットを開けてすぐには触らず、十分に冷えるまで時間を置いてください。
不足している冷却水をリザーバータンクから補給します。
可能な限り適度に希釈されたクーラント液を使用してください。どうしても無理な場合に、応急処置的に使用する以外水道水やミネラルウォーターは使用しないようにしてください。
後々に内部が錆びてしまったり、冬場や寒冷な土地だと凍結の原因となることがあります。
また、ラジエーターからは決して冷却水を補給しないでください。
ラジエーターキャップが高温になっているのもありますが、ラジエーター内が高温になっている状態でキャップを外すと熱湯や蒸気が噴出する恐れがあり、大変危険です。
JAFや保険のロードサービス
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ボンネットを開けることができなかったり、リザーバータンクの場所がわからない、という場合もあるかもしれません。
自分で対処できないと感じたら、加入している保険会社のロードサービスやJAFへ速やかに連絡を取りましょう。
素早く対処してくれます。
特に中期以降の症状を呈している場合はプロに任せたほうが安全です。
オーバーヒートが発生した場合の修理費用は?
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オーバーヒートの原因や状態、また車種やメーカーによっても異なってきますが、おおよその目安を記載します。
・冷却水補充・交換 数千円
・ウォーターポンプ交換 2万円~4万円
・ラジエーター交換 2万円~10万円
・冷却ファン交換 1万円~8万円
・エンジンオイル補充・交換 数千円
・サーモスタット交換 1万円前後
エンジン交換となると30万円程度~高級車になると100万円を超えることもあります。
日頃のメンテナンスを忘れずに
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オーバーヒートはよく耳にする車のトラブルの内の一つですが、最悪の場合は車両火災にも結び付く可能性があります。
原因や対処法を把握しておくことで、万一の際にも適切な判断ができると愛車のダメージも最小限で済むのではないでしょうか。
普段からサーモメーターを確認する癖をつけたり、定期的にエンジンオイルや冷却水の確認をしていることで防げる部分もあるので、こまめにチェックするようにしましょう。
少しのメンテナンスを怠って、大きな故障や事故につながることは避けたいですよね。
愛車をオーバーヒートから守って、快適なカーライフを送りましょう!