2015年5月「ホンダシャトル」が発売されました。発売初月に目標の3倍の約1万台の受注を獲得、最高のロケットスタートを切ります。
その後も「シャトル」は、2016年に年間4万2514台、2017年に年間2万8111台、2018年に年間2万8789台と安定的な売れ行きを見せます。
また2019年上半期の新車販売台数ランキングでも総合で第34位となり「シャトル」と同じカテゴリーでは上位に位置づけています。
さらに2019年5月のマイナーチェンジ後、8月の対前年同月比は何と378.4%の異例の伸び率を上げます。
では「シャトル」とは一体どんな車なのでしょうか。
今回は2015年発売の初代シャトルについて詳しくご紹介します。
シャトルのカテゴリー 5ナンバーサイズステーションワゴン
シャトルのエクステリアの特徴 鋭いフロントマスクの採用
シャトルのカテゴリーは「5ナンバーサイズステーションワゴン」です。
5ナンバーサイズというのは、小型車、またはコンパクトカーのことです。
コンパクトカーの特徴は
・ボディサイズが全長4.700mm×全幅1.700mm×全高2.000mm以内(おおよそであり明確ではありません)
・5ドア
・5人乗り
・ハッチバック
・排気量が約1.000~1.500cc
ステーションワゴンの特徴は、
・2BOXカー ボンネットあり、「エンジンスペース」「乗車、積荷スペース」が別々
・乗用車 乗員数を増やし大人数移動に適している
・車高が低い
これらコンパクトカーとステーションワゴンの特徴を兼ね備えていることから、シャトルは「コンパクトカー」の中の「ステーションワゴンタイプ」の車ということになります。
※ホンダ車ではコンパクトカーのことを5ナンバーサイズカーと呼んでいます。
シャトルのエクステリアの特徴 鋭いフロントマスクの採用
シャトルのエクステリアの特徴は「鋭いフロントマスク」「フィットより40cm以上リア長」「全高1545mm」の3つです。
①鋭いフロントマスク
シャトルのフロントマスクの大きな特徴は「ソリッドウイングフェイス」です。フロント正面のホンダの「H」のロゴを中心にして、鳥が羽を広げているようなデザインです。
そしてシャトルの鋭い切れ長のヘッドライトが強い印象を与えます。
またライトの光をリフレクターで反射させ、ヘッドライトを「面」として光らせるというユニークな機能が採用されています。
②フィットより40cm以上リア長
シャトルはベースモデルのフィットよりも、40cm以上リアシートから後ろを延長させています。
その理由は、フィットは乗員を運ぶことが目的ですが、シャトルは乗員の移動だけでなく、たっぷりと荷室空間を確保しているということをアピールする為です。
またリアが長くなることで、一般的なステーションワゴンのデザインに一瞬でわかるようにという配慮も見られます。
③全高1545mm「G」タイプ車のみ
シャトルが全高1545mmに設定した理由は「立体駐車場」仕様にする為です。
シャトルの歴史 シビック シャトルのDNAを受け継いだシャトル!
ホンダ「シャトル」のベースモデルとして「フィットシャトル」が有名です。
ところがホンダ車に「シャトル」という名称が初めて登場したのは、1983年発売の「シビックシャトル」が元祖です。
「シビックシャトル」の発売期間は、1983年から1996年のおよそ13年間もの長期に渡ります。
車名の「シャトル」の由来は、当時アメリカの宇宙ロケット「スペースシャトル」から命名されました。
「先進の技術で安全に運ぶ」というコンセプトが込められていました。
ところでホンダが「シャトル」という車名を、何度も使っているのには、ある理由があります。
それは1980年代後半から1990年代前半が、ホンダにとって「倒産」を覚悟しなければならないほど苦しい時代だったことが関係します。
当時、折からの「RVブーム」が日本を席巻、ホンダの主力車であるセダンやクーペは苦境を強いられていました。
その苦しい時代に孤軍奮闘していたのが「シビックシャトル」でした。
「シビックシャトル」は「ショートワゴン」「セミトールワゴン」というこれまでのホンダにはなかったカテゴリーでホンダの窮地を救います。
そして1994年「オデッセイ」が発売され、大ヒットをします。これによりホンダは窮地を脱し、業績は回復基調に入ります。
1996年2月21日「シビックシャトル」の後継モデルとして、6代目ミラクルシビックワゴン版オルティア、ライトバン版パートナーが発売されます。
そして「シビックシャトル」はその役目を終え、静かにホンダのラインナップから消えていきます。
ところがその後「フィットシャトル」の派生モデルとして再登場します。
そして今回は「シャトル」という完全オリジナルモデルとしてデビューを果たします。
実は「シャトル」という名前が何度も登場している最大の理由は、ホンダの苦境を救ってくれた「シビック シャトルのDNA」を引き継いでいこうと考える、当時のホンダの技術陣の熱い想いがあるからなのです。
シャトルの年表
①2015年5月シャトル発売。
・ハイブリッド車「HYBRID」「HYBRID X」「HYBRID Z」の3タイプが発売
・ガソリン車 「G」の1タイプが発売
全タイプにFFと4WDが設定されます。ボディカラーは全8色です。
☐2019年5月マイナーモデル発売。
シャトルのパワートレインの特徴
シャトルのパワートレインの特徴は「 i-DCD」「L15B 1.5L 直列4気筒 i-VTECユニット」
「CVT」の3つです。
① i-DCD
i-DCDとは「インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ」の略称のことで、2019年現在ホンダにある3つのハイブリッドシステムのうちの1つです。
i-DCDとは、コンパクトカー用の小型のハイブリッドシステムのことです。
特徴は、ギアの変速にあります。次段ギアが接続を完了してスタンバイをしている状態をキープできます。
簡単にいうと「ギアのつなぎ代えが不要」になるシステムということです。
これによりギアつなぎ代え時の「もたもた感」がなくなり、駆動効率が格段にアップします。
②L15B 1.5L 直列4気筒 i-VTECユニット
「L15B 1.5L 直列4気筒 i-VTECユニット」とはハイブリッド車に使われているエンジンです。
1.5Lエンジンに採用されている「i-VTEC」とは、2本ある吸気バルブを「低回転時は少なく開き」「高回転時は多めに開く」システムのことです。
これにより「低燃費」と「ハイパワー」を使い分けすることができます。
まとめると「1.5L 直列4気筒エンジン」に「i-VTECユニット」が搭載されることで、吸気側バルブが、エンジンの回転数に応じて、バルブの開きの切り替えをしてくれ「低燃費」と「ハイパワー」最適に使い分けてくれます。
③「CVT」
「CVT」とは「Continuously Variable Transmission」のことです。
日本語に訳すと「無段変速機」「連続可変トランスミッション」という意味になります。
「CVT」はガソリンモデルの「G」モデルにのみ使われています。
「CVT」のポイントは、歯車以外の機能を使って、変速比を連続的に変換していくシステムのことです。
「CVT」を使うメリットは変速時のショックが軽減でき、なめらかに加速してくれることにあります。
シャトルのインテリアの特徴
シャトルのインテリアの特徴は「マルチインフォメーションディスプレイ」「ソフトパッドの採用」「プライムスムース×ファブリックシートの採用」の3点です。
①マルチインフォメーションディスプレイ
マルチインフォメーションディスプレイとは、メータの表示を変更してくれるディスプレイです。
エコティーチング機能があり、色を変えながら、直感的に認識しやすく、ドライビングを快適に変えてくれます。
②ソフトパッドの採用
柔かい素材と形状のソフトパッドをあらゆる部分に採用しています。
触れても柔かく、見た目でも柔かい質感を演出できます。
③プライムスムース×ファブリックシートの採用
ハイブリッドモデルの「X」と「Z」モデルには「プライムスムース×ファブリックシート」が採用されます。
座り心地が良く非常に快適です。
シャトルのサイズ・スペック
こちらではシャトルの「ハイブリッドX(2015年5月モデル)」のサイズ・スペックをご紹介します。
全長×全幅×全高
4400×1695×1570mm
車両重量(kg)
1290kg
室内長×室内幅×室内高
1925×1450×1290mm
最高出力
110ps(81kW)/6000rpm
最大トルク
13.7kg・m(134N・m)/5000rpm
最小回転半径
4.9m
シャトルのセールスポイント
シャトルのセールスポイントは「ラゲッジスペース」の広さです。
ラゲッジスペースとは「荷室」のことです。
シャトルの荷室サイズが「荷室高840mm」×「奥行き1,930mm」×「最大横幅1.510(最小横幅970)㎜」もあります。また荷室には深さ200mmのアンダーボックスがあります。
荷室とアンダーボックスを容量に直すと、荷室540Lとアンダーボックス30L、合計570Lも収納できます。
また後席をフラットにすると最大1141Lまで収納可能です。
車中泊や引っ越しも余裕でできます。
シャトルのマイナーチェンジポイント
シャトルのマイナーチェンジポイントは「全タイプにHonda SENSINGを標準装備」「エクステリアの変更」「インテリアの変更」の3点です。
①全タイプにHonda SENSINGを標準装備
Honda SENSING(ホンダセンシング)とは、フロントガラスに小型単眼カメラ、フロントグリルのエンブレムにミリ波レーダーが搭載されています。
カメラとレーダーにより、車に近づく人や車、物などに反応する安全システムです。
②エクステリアの変更
エクステリアの変更は、フロントバンパー、リアバンパーのフォグライトのデザインの変更、テールゲート、リアコンビネーションランプのデザインの変更、アウタードアハンドルのクロームメッキパーツへの変更などです。
③インテリアの変更
インテリアの変更は、ピアノブラック装飾の追加。シートのデザインのリニューアル、本革シートの導入、リアシートセンターのアームレストへのカップホルダの設置などです。
シャトルのライバル車
一般的にはシャトルのライバル車は、トヨタ カローラフィールダー、スバルレヴォーグ、マツダ6ワゴンといわれています。
ただし他の車種がモデルチェンジをしてもシャトルの売り上げは安定しているので、実際はライバル車ではないと思われます。
基本的に現在の日本市場ではステーションワゴンは、ほとんどRV車にシェアを奪われ減少傾向にあります。
それらの理由もありステーションワゴンを販売している他社は、あまりこのカテゴリーには力をいれていません。
またほとんどのステーションワゴンがシャトルよりも大きいサイズであり、ユーザへのアピールポイントも異なります。
シャトルはカテゴリー的にはステーションワゴンに入りますが、ユーザはシャトルの持つ独自のアピールポイントに惹かれて購入されていると予想されます。