現在テレビCMなどで「ホンダ シビック」を見かけることはありませんよね。
実はホンダシビックは販売不振のため8代目をもって、2010年9月に日本での販売が終了した車です。
ところが2017年1月、ホンダは突如10代目ホンダシビックを実に7年ぶりに日本国内で発売することを発表します。
発売の大きな理由は、10代目にバージョンアップしたホンダシビックが、アメリカで爆発的な大ヒットを叩き出したからです。
つまり今回の日本での発売開始は、アメリカでの大ヒットを引っ提げての凱旋帰国といった形です。
では10代目ホンダシビックとは一体どんな車なのでしょうか。
今回は10代目ホンダシビックについて詳しくご紹介します。
10代目ホンダシビックのカテゴリー
10代目ホンダシビックは次の3つのタイプのカテゴリーのモデルが発売されました。
・4ドアセダン(全長×全幅×全高:4,650×1,800×1,415mm 排気量:1,496cc)
・5ドアハッチバック(全長×全幅×全高:4,520×1,800×1,435mm 排気量:1,496cc)
・2ドアクーペ(北米・南米市場のみ)
シビックは元々は日本仕様車もありましたが、10代目は完全なグローバルモデルに統一されています。
主にアメリカでは4ドアセダン、ヨーロッパでは5ドアハッチバックがユーザのメインターゲットになっています。
〇カテゴリーはCセグメント
10代目ホンダシビックは、サイズや排気量をヨーロッパのカテゴリーで分類すると「Cセグメント」になります。
セグメントとはヨーロッパ式の車のカテゴリー分けです。
A〜Eの順に大型化、高級化します。超高級車はFセグメント、SUVはJセグメント、クーペはSセグメントに当たります。
「Cセグメント」は世界的に最も人気があり、激戦区です。
「Cセグメント」のサイズは、セダンが全長4350mm〜4600mm、ハッチバックが4200mm〜4500mmのサイズが対象になります。
10代目ホンダシビックは世界を相手にグローバルモデル化したことから「Cセグメント」を採用したと思われます。
10代目ホンダシビックのボディデザインの特徴
日本で発売されている10代目ホンダシビックは「4ドアセダン」「5ドアハッチバック」とハッチバックをベースとした「スポーツグレード タイプR」の3タイプです。
10代目ホンダシビックのボディデザインは「ボディデザインの共用」「クーペスタイルの採用」「フロントとリアデザインで違いをアピール」の3つの特徴があります。
①ボディデザインの共用
実は9代目以前は、セダンやハッチバックは、エリアごとにそれぞれ異なるプラットフォーム(ベース車体)で造られていました。
ところが10代目ホンダシビックはグローバルモデルとして展開することになり「4ドアセダン」「5ドアハッチバック」「スポーツグレード タイプR」は全て統一したプラットフォームで造られることになりました。
そのため「シルエット」「フォルム」などの基本的なボディデザインが共用されています。
②クーペスタイルの採用
10代目ホンダシビックはセダンやハッチバックですが、ベースは「クーペ」のスタイルが採用されており、流れるようなスポーティなデザインが特徴的です。
③フロントとリアデザインで違いをアピール
10代目ホンダシビックはベースは「クーペ」のスタイルです。
違いをフロントバンパーとリアドアからバックにかけてのデザインを変えることで「4ドアセダン」「5ドアハッチバック」のそれぞれのデザインの違いを明確にアピールしています。
10代目ホンダシビック発売の経緯
日本で初代ホンダシビックが発売されたのは、昭和47年(1972年)、今から約半世紀も前に発売されています。いわゆる「昭和の名車」です。
1972年発売の初代が約69万台の販売台数をあげ大ヒットします。
その後1987年発売の4代目が約61万台、1991年発売の5代目も約50万台とこの辺りまでは堅調な売れ行きでした。
現在40~50代の人たちであれば、街中でシビックが走っている姿はよくみていたことでしょう。
ところがその後時代は変わり、日本ではセダンやハッチバックの人気が廃れ、軽自動車やSUVやミニバンが持てはやされるようになります。
かつて約50万台近くをキープしていた販売台数も年々その数を減らし、ついには人気モデルだったハッチバックは販売不振から7代目で国内での販売を終了します。
残ったセダンも2010年9月に、8代目で国内での生産を終了して人知れず静かに日本での販売を終えます。
これ以降日本のユーザには、シビックは完全に生産が終了したと思われていました。
ところがシビックには「日本での顔」とは別に「アメリカでの 顔」がありました。
実は日本からのアメリカへ初代シビックの輸出が始まったのは、日本で発売された翌年の1973年からです。
よってシビックはアメリカでも約半世紀の歴史があります。
実はアメリカでのシビックの人気は、日本では想像できないほどのものなのです。
アメリカ人ユーザからみたシビックは「絶対的ブランド」に位置づけられています。
そのためシビックから上位モデルに移行するときには、同じホンダの「アコード」を購入します。
またシビックの愛用者は、次の買い替えもシビックの次のモデルへの買い替えを行うのです。アメリカ人ユーザのホンダやシビックに持つ信頼や愛情は並々ならぬものがあります。
そして10代目シビックが2015年秋にアメリカでの発売を皮切りに、ヨーロッパ、アジア、南米と次々に販売を展開、ついに2016年の世界販売台数が約67万9000台を達成します。
アメリカでは実に半数の約36万7000台を販売して、Cセグメントクラスではセグメントナンバーワンを獲得、爆発的な大ヒットになります。
アメリカを中心にした世界的な大ヒットにより、10代目ホンダシビックは実に7年ぶりに日本に凱旋帰国という形で発売されることになったのです。
10代目ホンダシビックのパワートレイン
日本国内で販売される10代目ホンダシビックのボディタイプは「4ドアセダン」「5ドアハッチバック」「スポーツグレード タイプR」の3タイプですが、エンジンは1タイプのみです。
エンジンは「排気量1500ccの直列4気筒 直噴DOHCターボ」のみです。
エンジンの特徴はダウンサイジングターボが採用されています。
※ボディタイプによってエンジンの仕様は若干異なります。
また現在のところ10代目ホンダシビックは、ハイブリッドモデル、ディーゼルモデル、EVモデル、プラグインハイブリッドモデルは発売されていません。
10代目ホンダシビックのインテリアの特徴
10代目ホンダシビックのハッチバックモデルのインテリアの特徴は「ストレスレスなドライビングポジションの実現」「人のための室内空間の拡大」「大容量・大開口のラゲッジルーム」の3つです。
①ストレスレスなドライビングポジションの実現
10代目ホンダシビックはドライバーシートのヒップポイントが下がるようにシートを設計、これにより腰がシートにしっかりと固定されます。
またコックピットからのフロントビューを向上させるため、ボンネットが視界の妨げにならないようにデザインされています。
これによりストレスレスなドライビングポジションが実現しました。
②人のための室内空間の拡大
10代目ホンダシビックには「M・M思想」が採用されています。
「M・M思想」とは、メカスペースは最小、人のためのスペースは最大にというコンセプトです。
「M・M思想」で、広々した室内空間を実現しました。
③大容量・大開口のラゲッジルーム
10代目ホンダシビックのハッチバックモデルのラゲッジルーム(トランクルーム)は、最大420Lの大容量の荷物を積載することが可能です。
またハッチバックドアが広いことから、大開口仕様になっており、荷物が手早く積むことが可能です。
10代目ホンダシビックのサイズ・スペック
こちらではホンダシビック2017年9月モデルのハッチバックボディタイプのサイズとスペックについてご紹介します。
全長×全幅×全高 |
4520×1800×1435mm |
車両重量(kg) |
1350kg |
室内長×室内幅×室内高 |
1910×1465×1160mm |
最高出力 |
182ps(134kW)/6000rpm |
最大トルク |
22.4kg・m(220N・m)/1700~5500rpm |
最小回転半径 |
5.5m |
10代目ホンダシビックのマイナーチェンジ情報
10代目ホンダシビックのマイナーチェンジの予定は、2020年1月10日にマイナーチェンジし、同月23日から発売を開始すると言われています。
マイナーチェンジポイント(予定)
・フロントバンパー、アルミホイールのデザイン変更
・ボディカラーの変更
・ハッチバックタイプのトップサンルーフの追加
・ホンダセンシングの装備
・ETC2.0へのバージョンアップ
10代目ホンダシビックのライバル車
10代目ホンダシビックは現在欧米を中心に販売されていることから、ライバル車はフォルクスワーゲン「ゴルフ」、プジョー「308」、ボルボ「V40」などです。
日本車では50年来のライバル車であるトヨタ「カローラ」です。
ところで日本では現在セダンやハッチバックは売れ筋のカテゴリーではありません。
10代目ホンダシビックは、売れ筋のNーBOXやフィットとは別のマーケティング(売り方)をとっているものと予想されます。
おそらくは世界的に大ヒットしている10代目ホンダシビックをプレミアムカーとして、どうしても手に入れたいユーザに向けての販売を考えているのではないでしょうか。