皆さんは車を買う時、何を基準に選びますか?セダンがいい、ワゴンがいい、クーペがいい、などのようにボディの形で選ぶ人もいるでしょう。トヨタがいい、日産がいい、ホンダがいい、スバルが好きだ、などのようにメーカーにこだわる人も多くいます。
あるいは、4人乗り、5人乗り、8人乗り、などのように乗れる人数で選ぶ人もいるかもしれません。はたまた、値段も大切な要素になってきますね。いくら格好よくても予算オーバーだったとしたら意味がありません。このようにいろいろな条件がある中で、今回はある国産車にフォーカスして紹介していきたいと思います。
その車とは、トヨタのアルファードです。有名な車なので名前は聞いたことがある、という人が多いと思います。
言わずと知れた、トヨタの高級ミニバンです(価格は約352万〜約760万円。高級とは言っても、予想よりは手の届きやすい価格かもしれません)。その迫力あるフロントデザイン、高級感のある内装などから憧れている人もいるのではないでしょうか。そんなアルファードが今回モデルチェンジし、パワーアップして登場しました。
そんなアルファードについて、どこが変わったのか、そしてお買い得と言えるのかどうかをお伝えしたいと思います。
ここが変わった!新型アルファード
① エクステリア編
エクステリア(外装)で変わったところが何点かあります。と言っても、その多くは新旧のモデルを比べてみてやっと分かるくらいのものなので、それほど大きな違いではありません。
1つ目がフロントのデザインです。トヨタのホームページに比較の写真が載っていますが、これを見るとフォグランプやフロントリップの一部のデザインが変更されていることが分かるかと思います。
しかし、アルファードの特徴であるフロントマスクの迫力は全く変わっていません。もし普通のデザインでは物足りないという人がいたら、エアロタイプを選べば、もう誰にも負けることのないド迫力のフロントマスクが手に入ります。
またリアのブレーキランプとその周辺にも変更が施され、ブレーキランプが線ではなく面で光るようになったため視認性が向上しました。悪天候下などでも自分がブレーキを踏んだことを後続車に伝えやすくなりますから、追突事故を起こされるリスクが軽減され、安全性の向上に寄与すると言えるでしょう。
追突されてしまうのは自分では回避しようがありませんが、少しでも自衛することはできます。
ここまではそれほど大きな変更点ではありませんが、1箇所、大きな変更が施されたところがあります。それは「シーケンシャルウインカーの採用」です。そのシーケンシャル何とかってのは何だ、と思う人が多いと思いますが、これは「流れるウインカー」のことです。普通のウインカーは右に曲がるなら右側のランプが、左に曲がるなら左側のランプが点きますが、シーケンシャルウインカーの場合はただ点くのではなく「左に流れるように」「右に流れるように」点くため、これもまた視認性の向上に一役買っています。
少し前に法令が改正されてシーケンシャルウインカーが認められ、徐々に広まりつつあります。まだ町中では少ないので、いろいろな人たちの目を惹くことでしょう。
ただし、これは設定のあるグレードとないグレードがあるので購入の際には注意が必要です。オプションでも装備できないグレードがありますのでご注意ください。
② インテリア編
エクステリアに比べ、インテリア(内装)は大きく刷新されています。
まずシートの素材について説明します。まず、最上級グレードのエグゼクティブラウンジは内装のレザーが本革からより高級なナッパレザーへと変更されました。ナッパレザーというのは通常よりも柔らかさ・しなやかさを向上させたレザーで、メルセデスベンツやBMW などといった多くの高級車の内装にも取り入れられている素材です。
ある意味、エグゼクティブラウンジというそのグレード、また値段(なんと約750万円!)にふさわしい装備だということができるでしょう。
また、それよりも下位のグレードでは、合成皮革のシートが標準装備となりました。これまではレザーとファブリックが部位によって使い分けられたシートでしたが、今回のマイナーチェンジでシートが全面に渡って合成皮革となりました。このレザーはかなりの評判を獲得しています。
レザーシートについては乗車中に体が滑りやすいことから嫌う人も一定数いますが、やはりレザー(それが本革であれ合皮であれ)のもつ雰囲気というのは車を一気にグレードアップしてくれるものでしょう。アルファードのシートの素材は上から順にナッパレザー、合成皮革、ファブリックと設定されています。グレードによって選択できる素材に違いがありますので、購入の際はよく気をつけましょう。
ここからはシートの素材ではなくシートのタイプについて解説していきます。
アルファードには大きく分けて7人乗りと8人乗りが設定されていますが、この人数によってシートが大きく変わります。7人乗りのシートは「エグゼクティブラウンジシート」「エグゼクティブパワーシート」「リラックスキャプテンシート」の3種類が、8人乗りのシートは「4分割チップアップシート」の1種類が設定されています。それぞれどのグレードにどのシートが装備されるのか、あるいはオプションで選択可能になるのかについてはディーラーに直接確認するのが良いでしょう。車というのは知らぬ間に仕様変更が行われることがあるので、最新の情報は常にディーラーに確認することをオススメします。
また、意外なところではメーターのデザインも変更されており、「エグゼクティブラウンジ」「ハイブリッド車」「ガソリン車エアロボディ」「ガソリン車標準ボディ」それぞれに専用のデザインが与えられています。マイナーチェンジ前はメーターのデザインは3種類のみだったので、種類は増えたということになります。
③ 安全装備
今の自動車にほぼ必須と言えるのが安全装備ですね。特にアルファードはVIPを後部座席に乗せたり、あるいはファミリーカーとして子どもを含めて大切な人を乗せたり、といった使い方をする車なので安全装備はこだわる人も多いでしょう。
それほど心配しなくても、アルファードには今一般的に浸透している安全装備はほとんど装備することができます。トヨタのHPでもショートムービーを用いて解説されていますから、ここでわざわざ詳細を文章で紹介する必要はあまりないと思うので軽く説明することにします。驚くほどいっぱいありますよ。
1. レーントレーシングアシスト→車線中央を走るようにハンドルをアシスト
2. プリクラッシュセーフティ→レーダーにより進路を監視し、衝突を予防
3. インテリジェントクリアランスソナー→踏み間違い時の急発進を抑制
4. インテリジェントパーキングアシスト→駐車時の衝突を防ぐためのアシスト
5. レーダークルーズコントロール→先行車を認識し、自動で追従走行
6. アダプティブハイビームシステム→先行車・対向車に配慮し自動で遮光
7. オートマチックハイビーム→先行車・対向車に配慮しハイビーム・ロービームを自動で切り替え
8. ロードサインアシスト→道路標識を認識し、ドライバーにお知らせ
9. リヤクロストラフィックオートブレーキ→バック時に左右から接近する車両をお知らせ
10. パーキングサポートブレーキ→9と同じ
11. デジタルインナーミラー→後方のカメラ映像をミラーに表示し後方確認をサポート
12. ブラインドスポットモニター→死角に車両がいる時にインジケーターでお知らせ
13. パノラマミックビューモニター→車両を真上から見下ろす映像を表示し安全運転をサポート
14. エアバッグ、ニーエアバッグ、サイドエアバッグ、カーテンシールドエアバッグ→様々なところにエアバッグを装備、万が一の時に乗員を保護
このように、14種類もの安全装備を装着することができます。ただし、グレードによってはオプションとなるものもありますので、購入の際はディーラーで必ず確認するようにしてください。また、これらの安全装備はシートベルトを装着して初めて効果を発揮するものもあります。
自動車に乗る時は必ず、後部座席も含めて全ての乗員がシートベルトを装着し、また子供は必要に応じてチャイルドシートを使用してください。
また、各種安全機能には限界がありますので、必ず自ら周囲の安全確認をすることを怠らないようにお願いします。現行の安全装備は自動運転システムではありませんので、全ての事故の責任は自動車ではなく運転者が負うことになっています。くれぐれも安全運転を心がけてください。
結局、アルファードはお買い得?
ここまでは、新型のアルファードについて、その機能の面を解説してきました。ここからは、ではその新型アルファードは果たしてお買い得と言えるのかどうかについて説明していきます。「結論はこうです!」とハッキリ断言できれば一番良いのですが、残念ながら「グレード・オプションによるので一概には言えない」ということになります。
まずは、アルファードを自分で使ったのちに売却する時のことから説明します。売却するときの価格を「リセールバリュー」(Resale Value)と言いますが、これを少しでも高くするためには購入時に工夫をする必要があります。
まずはグレードについて説明します。リセールバリューを少しでも高くしたいならば、SCパッケージ(2.5L・2WD)が一番のオススメです。全体的な傾向として、2WDよりも4WD、ガソリン車よりもハイブリッド車の方がリセールバリューは高くなる傾向にあると言えます。なお、最上級のエグゼクティブラウンジはその新車価格の高さが影響しているのか、あまりリセールバリューはよくありません。
次にオプションについてです。これも、やはり選択によってリセールバリューに差が出てくる大切な要素です。例えば、「両側パワースライドドア」「ツインムーンルーフ」などの人気のオプションを装着している車両は比較的リセールバリューが高くなるのに対し、これらのオプションを装着していない車両についてはあまり高いリセールバリューは残念ながら望めません。また、先ほど説明したような安全装備についても、それが装備されているかいないかでやはりリセールバリューに差が出てくることが多いです。
購入価格に対してリセールバリューが低ければ、その分だけ損をすることになりますから、少しでも値落ちを避けて乗りたいという人は、ここまで説明したように購入時のグレードとオプションの選択に気を遣う必要があります。ただ、グレード・オプションごとにリセールバリューに差があるにはありますが、他の車種と比べるとその差は小さく、ほとんどの車種で3年後のリセールバリューは新車価格の80%を超える水準を維持していますのであまり気にする必要はないのかもしれません。そのあたりは、自分の予算、考え方と相談ということになるかと思います。
ここまではリセールバリューに注目してきましたが、最後に、そもそもアルファードの装備は価格と釣り合ったものなのかについて説明してこの記事を終わりにします。この点については、釣り合っているといって問題ありません。他のライバル、例えば日産のエルグランドやメルセデスベンツのVクラスと比較してもコストパフォーマンスに優れている車と言えるでしょう。
これらの車種よりも圧倒的に多いその販売台数が品質の高さを証明しています。エルグランドは日産の高級ミニバンとして売り出されていましたが、モデルチェンジがあまり行われず(最後のモデルチェンジは2010年)、完全にアルファードに大差をつけられてしまっています。モデルチェンジが行われないということはデザインもそうですが、安全装備なども陳腐化してしまうということですから、わざわざ車を買うときにそれを選ぶ必要はないでしょう。
安全性能とブランド力ではVクラスに若干劣ると言えるかもしれませんが、そもそも車両価格が違うのでアルファードを購入する多くの人はVクラスとの間で迷うということはあまりないように思います。
このように考えると、やはりこのクラスのミニバンを買うときにはアルファードが一番のオススメと言えます。もしあなたが車を買おうとしているなら、ぜひ選択肢の一つに入れてみてください。ここまでお読みいただきありがとうございました。それでは素敵なカーライフを!