ホンダ VTECエンジンの強さと歴史に迫る!

ホンダ VTECエンジンの強さと歴史に迫る!
     
   

ホンダと言えば、やはり「エンジン」という方も多いのではないでしょうか?

ではどうしてエンジンといわれるようになったのでしょう。

ホンダが開発したエンジンの中でも、VTECを例にとって、ホンダエンジンの強さやエンジンの歴史的な革新を解説します。

ホンダVTECエンジン開発の理由とは?

当時の4サイクル4バルブガソリンエンジンは、高回転で高出力という点に重心がおかれていました。

このため特に小排気量エンジンでは、低回転と高回転での出力やトルクバランスの妥協点が見出せていない状況にあったといわれています。

簡単に表現すると、日常の使い勝手を優先すると、スポーツ性能が追いつかず、スポーツ性を重視すると、日常の使い勝手が悪くなるといった、どっちつかずの状況だったといえますね。

エンジンは、吸気→圧縮→燃焼→排気を繰り返すことで、車を動かす動力となっていますよね。

VTEC登場前までは、この吸気と排気の開きの役割をするバルブが一定の開度となっていました。

各メーカーのエンジンは、低速で丁度良い開き方(少なめ)だと高回転に対応できず、高回転で丁度良い開き方(多め)だと低回転では乗りづらい特性となってしまう状況(不器用)であったといえますね。

ホンダVTECエンジン開発の歴史

ホンダは、1984年3月にエンジンの不器用な特性を打開し、次世代のエンジンを開発するためにNEW CONCEPT ENGINE計画を打ち立てました。

これが、VTECエンジン開発のスタート基点です。今から35年以上前の出来事ですね。

開発一年後、VTEC開発前に1985年のシビック、インテグラのDOHCエンジン、1987年のシティSOHCのエンジンをセンタープラグエンジンとしました。

ここで重要なのは、センタープラグ化(吸気&排気の間にプラグが来る)した点です。

このセンタープラグ化によって、バルブを動かすカムシャフトのスペースが広く取れるようになりました。

このエンジンの開発を基に、一気にVTECと名づけられるエンジンの開発が加速しました。

開発スタッフは、カムシャフトに高回転型のカム(バルブを開くパーツ)を、吸気側と排気側の両方に追加設置することで、当時のエンジンの弱点である、低回転と高回転の両立を図ろうとしました。

またこのバルブ機構の完成によって、高出力化や低燃費化をも計画に組み込まれ、同時進行で開発が進んでいきました。

開発すること5年余り、1989年発売のインテグラで、VTECエンジンが初搭載されました。

VTECの正式名称は、Variable valve Timing and lift Electronic Control systemの略で、日本では可変バルブタイミング・リフト機構と呼ばれています。世界初の進化エンジンの誕生となりました。

このときエンジンは、誕生して既に約100年が経っていました。ホンダは、エンジンを革新させる技術を開発したということですね。

引用:https://www.honda.co.jp/tech/auto/vtec/

VTECエンジンの強さとは?

先にもお話したように、VTECエンジンが出来るまでは、低回転・高回転のどちらかにシフトしていた車作りになっていました。

VTECエンジンが開発されたことにより、エンジン特性強調や使用環境によるモデル作りなど、幅広い仕様の車作りが出来るようになりました。

実際にVTEC搭載のインテグラでも、燃費重視のモデルとスポーツ走行重視のモデルの両方が販売され、どちらのモデルも弱点を克服した上で市販されてました。VTECの強みが存分に投入されていましたね。

そして当時の一般的なエンジン出力は、排気量リッターあたり70ps前後となっていました。

これをホンダでは、大幅に引き上げるべく、さらにVTECを進化させていきました。

そして1990年代半ばから排気量リッターあたり、自然吸気エンジンで100psの出力を達成し、ホンダモデルに投入していきました。

こうして、他には叶わないエンジンの強さが、ホンダVTECエンジンに与えられました。

つまりVTECは、エンジンの弱点を克服しながら、燃費改善やスポーツ走行性能など、プラス特性を可能にした点が最大の強さであるといえますね。

VTECエンジンの進化

VTECエンジンは、時代の流れにも沿った形で、現在でも進化を続けています。

開発当時は、低回転&高回転を両立させることから始まり、高出力エンジンの開発に力が注がれました(1990年代前半まで)。

各メーカーも高出力重視の開発をしていましたよね。例えばスープラ、スカイラインなど。

時代が進み、90年代後半ではVTECを進化させ、バルブの吸気側を低回転で休止させ、リーンバーン運転にすることで燃費を改善したシステム等が導入されました(2000年前後まで)。

2000年代に入ると、i-VTECが開発され、エンジンの回転数の合わせてバルブの開きが変わるようになっています。

またリーンバーン機構を進化させたi-VTECなど、モデルや排気量でバリエーションが豊富に開発搭載されました。

現在では、ダウンサイジングターボという時代の流れに合わせて、ターボとVTECを組み合わせてエンジンも登場しています。

(例)シビックタイプRやステップワゴンなどに搭載。

1989年に初めて搭載されたVTECエンジンは、進化を続けながら30年以上搭載され続けていますね。これもVTECの強みではないでしょうか。

まとめ

ホンダ VTECエンジンの歴史と強さをまとめると

①エンジン誕生、100年後の進化として世界初開発されたのがVTECです。

②VTECの強さとは、エンジンの弱点を広範囲で克服できた点と、モデル特性を活かすエンジンが作れる点でしょう。

③VTECエンジンは、現在でも進化しながらホンダモデルに搭載され続けています。

ホンダといえば、エンジンという観点から、VTECの歴史や強さをご紹介しました。

ホンダが苦心して開発したVTECは、エンジンの歴史を変えるほどの新開発でありました。

またVTEC機構が、進化して搭載され続けている点も「ホンダと言えば、エンジン」という概念に辿りつくのではないでしょうか。

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