ホンダアコードといえば、最近の日本人の感覚からすると「おじさんが乗る車」「昔流行ったセダンタイプの車」「最近走っているところを見ない車」など、日本では影の薄い存在です。
ところが現在アメリカでは、累計販売台数が1,300万台を超えるほどの国民的人気車なのです。
直近の話題では10代目ホンダアコードが、2018北米カーオブザイヤーを見事獲得するという快挙を成し遂げます。
ちなみに2018北米カーオブザイヤーのファイナルには、トヨタカムリ、韓国の起亜自動車のスティンガー、セミファイナルにはスバルインプレッサ、レクサスLC500などがエントリーされていました。
ところでファイナルの相手であるトヨタカムリは、アメリカでは2002年以降、乗用車部門で15年連続販売台数ナンバーワンの記録を持つというメガモンスターレベルの人気車です。
そのトヨタカムリをファイナルで破ったことで、10代目ホンダアコードのアメリカでの評価は確かなものとなりました。
では10代目ホンダアコードとは一体どんな車なのでしょうか。
今回は10代目ホンダアコードについて詳しくご紹介します。
10代目ホンダアコードのカテゴリー
10代目ホンダアコードのカテゴリーは「アッパーミドルクラスセダン」というカテゴリーです。
ベースとなっている「セダン」とは「3ボックス4ドアカー」のことです。
「3ボックス」とは、ボンネット(エンジンルーム)、キャビン(居住スペース)、トランクルーム(荷室)が独立した形ということです。
「4ドアカー」とは、フロントシート、リアシートのそれぞれのシートの左右に合計4つのドアがある車ということです。
次に「アッパーミドルクラスセダン」とは、欧州規格では「Dセグメントセダン」となります。
「アッパーミドルクラスセダン」のポイントは、全長が約4.6m~4.8mの範囲、価格が350万円~600万円の範囲の車が該当します。
ちなみに該当車は「レクサス・IS」「トヨタ・カムリ」「ダイハツ・アルティス」「マツダ・アテンザ」「スバル・レガシィB4」などです。
これらのことから10代目ホンダアコードは「アッパーミドルクラスセダン」カテゴリーに属することになります。
ホンダアコードのアメリカ、中国での評価
現在ホンダアコードは日本での人気はさっぱりです。
ところが2大超大国であるアメリカや中国では、全く真逆の現象が起こっています。
こちらではアメリカや中国におけるアコードの評価についてご紹介します。
現在ホンダアコードはアメリカがメインターゲット
2020年2月、ついに10代目ホンダアコードが日本で発売されることになりました。
ところで、2017年10月にはアメリカで先行発売されています。
現在のホンダアコードのメインターゲットはアメリカです。
アメリカから順にグローバル展開していくという流れです。そのため日本はアメリカよりも2年以上も遅れての市場投入ということになります。
また現在ホンダアコードは、ホンダのアメリカ人ユーザーの中では「シビック」→「インサイト」→「アコード」のリレーパターンが構築されています。
これらはユーザーがよりハイグレードモデルにバージョンアップしていく、いわゆる「出世魚方式」ということです。
ホンダアコードは、3モデルの中のバージョンアップでのハイエンド(最高位)モデルとして位置づけられています。
現在ホンダアコードは、生まれ故郷の日本よりも、育った場所であるアメリカで高評価を受けています。
アメリカでの累計販売台数が1,300万台を超えていることが何よりの証拠といえます。
アコードは初代モデルからアメリア人に愛された車だった
初代アコードが登場したのは1976年5月です。
初代アコードは、中型3ドアハッチバック車として市場にデビューします。
翌年にはノッチバックの4ドアサルーンが追加発売されます。
また当時から全く現在と同じで、初代アコードはシビックの1クラス上のモデルとして位置づけられていました。
実はシビックと共に、ホンダの大黒柱を担う稼ぎ頭になるべく開発されたのです。
初代アコードはその期待に見事応えます。そして輸入車としてアメリカに乗り込み大人気になります。
ところがその人気が逆にアダとなります。あまりの売れ行きに、日米貿易摩擦のターゲットにされたのです。
1982年、この時ホンダはアコードを日本車で初めてアメリカで現地生産することを決断します。
アメリカでの現地生産を機にアコードは、アメリカ人ユーザーに、より愛される存在になります。
その後アコードは日本からの輸入車ではなく「自分たちが造った車なのだ」という認識に変わります。
オハイオ州メアリズビルにあるホンダの工場は、現在でもアメリカで販売されるほぼ100%のアコードをこの工場で生産しています。
中国市場では数世代前のアコードでもすぐに買い手がつくほどの人気
中国市場は日本市場とは比べ物にならないほど巨大で、変化が激しい市場です。
そのため去年まで人気があった車が、今年は全く誰からも見向きもされなくなることがよく起こります。
実は2019年は米中貿易戦争のあおりを受け、中国で販売された外国車は軒並み売り上げを下げ大惨敗します。
ところが日本車だけは、売れ行きが伸びます。
特にホンダは1月から5月までの累計販売台数が32万3167台となり、前年同期比18.3%増といううれしい結果でした。
ホンダのアコードは日本よりも先に、2017年にアメリカ、2018年には中国でフルモデルチェンジされて先行発売されます。
中国での10代目アコードの5月の車種別販売台数は、前年同月比149.4%増の1万8264台、アコードハイブリッドは同227.9%増の3731台という日本では想像がつかないほどの売れ行きをみせています。
中国市場でのアコード人気は盤石です。数世代前のアコードでも、すぐに買い手がつくほどの人気なのです。
中国人からみたアコードの評価は「アコードの由一の欠点は故障しないことだ。壊れないから買い替えることもできない。」という高評価の意見なのです。
10代目ホンダアコードのボディデザインの特徴
10代目ホンダアコードのボディデザインの特徴は「ワイド&ローボディー」「コンパクト&ライトウェイトボディ」「9灯フルLEDヘッドライト」の3つの特徴があります。
①ワイド&ローボディー
10代目ホンダアコードは、9代目ホンダアコードの余韻を残しつつ、流れるように美しいワイド&ローなボディデザインが誕生しました。
実は10代目ホンダアコードのボディデザインのベースは、デザイナーが直接テストドライバーが運転する試作車に乗り込み、走行しながらディテールを創り上げてできたものです。
②コンパクト&ライトウェイトボディ
10代目ホンダアコードは、前モデルよりもコンパクト&ライトウェイトボディ化が実現しました。
新型シビックに採用された「ホンダ・グローバルスモールプラットフォーム」を採用したことで、シビックのサイズにより近づけることが実現できたからです。
またボデイパーツのアルミニウムの使用量を増加したことで、ライトウェイト化にも成功しました。
これにより機敏で、切れのある走りが期待できます。
③9灯フルLEDヘッドライト
10代目ホンダアコードのアクセントになっているのが「9灯フルLEDヘッドライト」を搭載した点です。
「9灯フルLEDヘッドライト」のデザインは、人目を引く切れ長な目が、他車との大きな差別化に成功しました。
10代目ホンダアコードのインテリアの特徴
10代目ホンダアコードのインテリアの特徴は「高級感あふれる室内空間」「余裕のあるシートスペース」「シンプルなインパネ」の3点です。
①高級感あふれる室内空間
10代目ホンダアコードは、フラッグシップモデルのレジェンドに次ぐ高級セダンであることから、インテリアは高級感にあふれた室内空間に仕上がっています。
②余裕のあるシートスペース
大柄なアメリカ人をターゲットにしていることと、リアシートにはVIPを乗せることを前提にしていることから、余裕のあるシートスペースが採用されています。
③シンプルなインパネ
10代目ホンダアコードは高級車ではありますが、インパネは意外にもシンプルなデザインが採用されています。
実はこれ、ホンダ車の高級車の全てに当てはまります。
コマンドのほとんどは、ハンドル周辺に集められており、シフト周辺は全てボタン系に切り替わっています。
これらのことから、ソフトで扱いやすい車になっています。
10代目ホンダアコードのパワートレインの特徴
10代目ホンダアコードの日本仕様車のパワートレインは「スポーツハイブリッドi-MMD」が採用されています。日本仕様車はハイブリッド車のみです。
10代目ホンダアコードの「スポーツハイブリッドi-MMD」の内訳は「2.0L 直列4気筒DOHC i-VTECエンジン」+「駆動用モーター」+「発電用モーター」を組み合わせたものです。
元々「スポーツハイブリッドi-MMD」は、2013年にアコードに初めて搭載されたホンダの中型車用のハイブリッドシステムです。
i-MMDとは「intelligent Multi-Mode Drive」の略です。
ホンダには現在フィットなどの小型車用の1モーター「i-DCD(Intelligent Dual Clutch Drive)」、アコードなどの中型車用の2モーター「i-MMD」、レジェンドとNSX用の3モーター「SH-AWD(Super Handling All- Wheel-Drive)」の3つのハイブリッドシステムが存在しています。
中でも10代目ホンダアコードに採用されている中型車用の「i-MMD」は、最もエネルギー効率が高く、EVに最も近い技術といわれています。
10代目ホンダアコードに採用されている「i-MMD」の特徴は「マルチ・モード・ドライブ」です。
「マルチ・モード・ドライブ」とは「EV DRIVE(電気自動車モード)」「HYBRID DRIVE(モーター+エンジンでの発電モード)」「ENGINE DRIVE(エンジン駆動モード)」の3つのモードが走行状況に応じて、対応してくれるというシステムです。
わかりやすいシーンとしては「坂道」「急発進」などパワーが欲しい時にエンジンが始動して、発電用モーターを回したり、走行用モーターに電気を送ったりします。
極力エンジンは発電用のモーターを回すことに専念させています。
これらの仕組みが最もEVカーに近いといわれている理由です。
10代目ホンダアコードのサイズ・スペック
こちらでは10代目ホンダアコードのサイズとスペックについてご紹介します。
全長×全幅×全高
4,893×1,862×1,449mm
駆動方式
2WD(FF)
最高出力
107 kW(145ps)/6,200rpm
最大トルク
175Nm(17.8kgm)/4,000rpm
トランスミッション
電気式無段階変速
JC08モード燃費
33.0km/L
※先行公開されている情報を元に記載させていただいています。発売後は若干変更点があることをご了承ください。
まとめ
今回は10代目ホンダアコードについてご紹介しました。
日本でのアコードの2018年の国内販売台数は年間1902台、月平均でわずか159台という完全に「オワコン車」「終了した車」です。
ところがアメリカや中国での評価は全く真逆で「今、最も欲しい車」「トレンドな車」なのです。
現在10代目、発売から通算44年目になるホンダアコードですが、これからもグローバルを中心にして、とてつもない販売台数を上げるのではないでしょうか。