ハイエースバンのエンジンが、たまにかからないという症状が起きているとの連絡を頂きました。
連絡をいただいた時点では、何が原因か全くわからない状況でした。まずは現車を確認してからの修理ということになりました。
今回は、働く強い見方でもあるハイエース バンの不調症状を探って解決してみます。
不調症状のでているハイエース バンの車両情報
引用:筆者撮影画像
- トヨタ ハイエース
- 2010年式
- 3.0Lディーゼルエンジン
- 走行距離148.000㎞
- マニュアル5F
さすが働く車です。走行15万㎞近く走行しているのですが、まだまだ走行できそうな感じです。
不調症状の原因を探っていく
引用:筆者撮影画像
「エンジンがかからない」って聞くと、まずはオルタネーター不良やセルモーター不良を最初に疑ってしまうのも無理はないのですが、筆者の考えでは少し違いました。
そこで、今回の不調症状の原因を探っていくのに、普段運転している「ドライバー」さんからの情報が非常に重要であると考えました。
ドライバーさんからの証言
- 何気なく朝、エンジンをかけようとキーをひねっても全く反応しない
- 何度か繰り返し作業を行っていると、キーが反応してエンジンがかかる
- 毎日起きるのではなく、たまに起きてしまう症状
この3つのお話をお伺いし、今までの整備記録を参考にして不調症状を探っていきます。
じつはこのモデルは、10万㎞くらいのときにオルタネーターをリビルトに交換していました。さらにセルモーター
も最近交換されていました。
このことから、キーシリンダーの奥についているイグニッションスィッチ不良ではないかと推察しました。
またこのパーツから交換してみるのが、1番費用がかからないという予測もしました。
イグニッションスィッチの交換作業
引用:筆者撮影画像
イグニッションスィッチを交換するために、邪魔になるトリムやステアリングコラムカバーを外します。
ハイエースは、比較的作業がしやすいようにステアリングコラムカバーだけを外すことができますが、作業のしやすさを考えて周辺のトリムも外してしまいます。
引用:筆者撮影画像
キーシリンダーの裏側についているのが、イグニッションスィッチです。裏側から2箇所のボルトで止まっています。裏側から止まっているので、短いドライバーを使用して作業します。
トリムを外しておいて、作業スペースを確保したのはこのためです。
引用:筆者撮影画像
無事にイグニッションスィッチが外れました。
ワンポイント!
先ほどから何回か、イグニッションスィッチという言葉が出てきていますよね?これっていったい何のパーツなのでしょうか。
キー差込のキーシリンダーには、OFF→ACC→ON→スタートと表記されています。この表記されている状態にスィッチしているパーツが、イグニッションスィッチです。
ドライバーさんからの聞き取りでは、エンジンがかからない状態の場合はACC(オーディオやエアコン)なども作動していないというのを後から聞きました。
多分このパーツの不具合で間違いないでしょう!
引用:筆者撮影画像
イグニッションスィッチが外れた後は、上記のような感じになります。キーシリンダーは、シリンダーとイグニッションスィッチを組み合わせて機能する部品であることがわかりますね。
新品パーツに関して
引用:筆者撮影画像
イグニッションスィッチの新品価格は、定価で3,000円でした。
先ほどお話しましたが、もしオルタネーターを疑えば、リビルトでも70,000円くらいはかかりそうですし(ディーゼルなので)、セルモーターでも数万円かかってしまいます。
今回部品を注文した際にイグニッションスィッチの注文状況を部品屋さんに聞いたところ、結構頻繁に注文が来ると聞けたのですこし目利きが間違っていなかったのかなと安心しました。
まずは、安価なパーツを疑っていくのがお財布にもやさしいのではないでしょうか。
引用:筆者撮影画像
外したパーツを少し調べてみました。赤丸で囲ったところは、本来ツメで止まっていて前後に動かない仕組みになっているのですが、経年劣化の為にカクカク動いています。
筆者の想像でもあるのですが、このカクカクの状態がイグニッションスィッチが、きちんと作動してくれない理由ではないかと判断しました。
引用:筆者撮影画像
上記は、新品パーツです。古いパーツと違い、ぐらつきなどもなくしっかりしてます(当然ですが)。
新品パーツを外す時と逆の手順で取り付けし、コネクターなどを取り付けます。この時点で一度エンジンがかかるか検査します。
※筆者の失敗
このモデルは、マニュアル式です。ニュートラルでキーを回したら「あれ?エンジンがかからない・・・」。
そうなんです最近の車は、クラッチを踏まないとエンジンがかからないんですよね。古い人間ですみません。
無事にエンジンがかかりました。
その後、ステアリングコラムカバーやトリムを元に戻して終了です。
じつはこの時点では、完全に直ったかどうかの判断が出来ません。「ドライバーのたまにエンジンがかからない」という点からです。
ドライバーさんに一週間ほど様子を見てもらい、問題なくエンジンがかかっているとの報告を受けてイグニッションスィッチが原因であったとわかりました。
まとめ
キーを回しても全く反応しない!?をまとめると
- 普段運転している人に、かからないときの状況をなるべく詳しく聞くことで、原因を絞ろう
- できるだけ作業しやすい環境にした方がイグニッションスィッチは交換しやすい
- 交換した後に、運転している人に問題ないか確認してから修理完了かの判断をしましょう
今回は、筆者も非常に悩みながら1番費用対効果の高いであろう部品の不良にたどり着きました。多額なパーツを交換する前に発見できたことが良い結果になりました。
こういった不調症状もあることをご参考にして戴ければとおもいます。