普段どおりの整備のはずが、大事の修理に!?

     
   

いつもお世話になっている大先輩から相談の電話が入りました。「最近急に暑くなってきたので、エアコンを作動させたら風が出てこない」とのこと、さらに風量の調節も1~4まであるうちの1しかでなく、他は全く反応しないとのことでした。

本来であれば、伺って症状を見てから状況判断するのですが、先方も時間がないことから電話からの症状で、一般的な「ブロアファン」と「レジスター」の可能性が高いとお話しました。後日「部品購入したから、交換して」と連絡が入り、交換してみるが「直らず」、あれという結果に。

今回は、「一番重要な車両データやドライバーへの症状の聴取」って、本当に大事であることをお話していきます。

故障車両の情報等

引用:筆者撮影画像

  • 100系ハイエース
  • 380,000km

第一印象は、結構ボロボロなハイエースだなと感じました。それもそのはず380,000km以上走行していたのです。この時点で、故障の原因特定に不安を感じました。380,000kmといえば、普通はブロアファンやレジスターの交換は行われているだろうと感じるからです。

また今回は、既に部品が来ているとのこと、ドライバーさんがいないので「詳しい聴取」も出来ていないことから、とりあえず部品交換を先にしてしまうことにしました。

先ずは、新品部品に交換

引用:筆者撮影画像

ハイエースのブロアファンやレジスターは、助手席ダッシュボードの裏側にあります。この部分を分解していきます。この部分のパーツを外してしまえば交換は比較的簡単です。

引用:筆者撮影画像

アンダーカーバー・ダッシュラゲッジ・スピーカーカバーを外すとこんな感じになります。あとは、ステーを外せばブロアファンが交換できます。所要時間30分ほどです。

引用:筆者撮影画像

ブロアファン、レジスターパーツが取り外せました。商用車なのでこういった消耗パーツは比較的簡単に作業できるといえます。

引用:筆者撮影画像

取り除かれたパーツは、結構状態悪化していました。やはりレジスターとブロアファンの交換自体は行ってよかったと思われます。

引用:筆者撮影画像

新品部品です。よく出る部品のようで、常時在庫があり注文したらその日のうちに入荷したようです。

レジスター1,320円

ブロアファン20,600円くらいです。

とりあえず、元通りに取り付けをして、稼動試験を行います。

さて「稼動試験スタート!」→「症状が同じままです」

これは、困った状況です。最初から原因を調べなおす必要があります。

ハイエースのエアコン不調の原因をもう一度探る

引用:筆者撮影画像

この車は、既に380,000km走行しています。

ドライバーは、数人入れ替わっているようです。現在乗っているドライバーさんからの報告では、「エアコンをつけたら風が出なくなった」という点と「1から4の調節のうち1しか出なくなった」とのことでした。

そこで筆者は、まずこの380,000km走行のハイエースの整備状況を確認しました。実は、170,000kmほどの時点でブロアファンとレジスターは交換しているとの事です。但し現在380,000kmなので、再度交換しても良い部品であることはわかりました。➡今回の故障原因でないです。

次に複数のドライバーが、入れ替わっているとのことで、他のドライバーさんにも話を伺うことにしました。実はこのハイエースは、最初のころはすごくエアコンも効いて快適であったが、数年前から4調整のうち、1と4しか反応していないことが判明しました。

ドライバーさんのお話を総合すると、「風量調節のスィッチの接点不良」でないかという疑いが浮上しました。

  • 全てのヒューズ切れを確認し、切れていないことがわかりました。
  • 風量調節スィッチを1から4まで順番に動かすと、2.3.4のところでは、リレーが2回「カチっ、カチっ」とします。2回鳴っているということは、「入って、切れて」がこの2.3.4では起こっています。
  • 風量スィッチ内の接点不良の疑いが濃厚になりました。

重要なことは、やはり普段乗っている人などからきちんと情報を収集することと、車を実際に見てから症状を確定することが大事であると感じました。

取り急ぎ、「風量調節スィッチ」の部品を注文しました。実はこの部品も多く出る様で、次の日には到着しました。

風量調節スィッチの交換

引用:筆者撮影画像

エアコンなどのパネルにアクセスするためには、フロントのダッシュカバー全体を外す必要があります。まるごとメーターパネルからセンターコンソールまでを外すことで、エアコンパネルにアクセスできます。実は結構大変な作業のため、外したところの写真を撮り忘れてしまいました。

引用:筆者撮影画像

風量調整スィッチを交換しました。実は筆者もビックリしたのですが、交換前のスィッチもタイラップで固定されています。そして新しいスィッチもタイラップ止めのようです。

交換にかかった所要時間は、60分ほどです。スィッチASSY部品は、4,000円くらいでした。

※実は、取り付けられていた社外オーディオも故障していて、今回新しいのが調達できるまで取り外すことにしました。

故障した風量調整スィッチを調査してみる

引用:筆者撮影画像

一目瞭然でもありますが、火災に至らなくて良かったという状態です。ショートして焦げてしまっているのがわかります。コネクター部分も溶けて穴が空いています。これは、きちんと故障位置を把握できて交換してよかったと思いました。

まとめ

普段どおりの整備のはずが、大事の修理に!?をまとめると

  • 不具合を見つけるためには、きちんとした調査と現車確認が大事
  • エアコンの風が出ない原因は、ブロアファン・レジスター・風量調整スィッチの可能性が高い
  • 該当車両では、ブロアファン+レジスターの交換は、40分ほど、風量調整スィッチの交換は、60分ほどです。

今回の作業は、筆者も非常に反省しています。しっかりとした予見と原因究明を行うには、しっかりとした調査と現車確認が大事であることを再認識しました。

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