photo by TOYOTA公式サイト
一歩街に飛び出してみると色々なクルマが走っていますが、特に多いのがトヨタ・カローラ。クラウンやランドクルーザーと並ぶ同社のビッグネームで、日本で最も成功した小型乗用車であることは皆さんご存知の通りです。今年はカローラ生誕50年ということで、それを記念した限定車が発売されていますね。ここでは、そんなみんなに愛されたカローラの歴史について振り返っていきましょう。
- 1. 「プラス100ccの余裕」が印象的な初代(1966〜1970)
- 2. 高級志向を目指した2代目(1970〜1974)
- 3. モデルは将軍?2代目と併売された3代目(1974〜1979)
- 4. ユーザーフレンドリーが特徴の4代目(1979〜1983)
- 5. 大きな路線変更が成功した5代目(1983〜1987)
- 6. ハイソ路線がついにカローラに!6代目(1987〜1991)
- 7. まさに「ベビーセルシオ」な7代目(1991〜1995)
- 8. 当時の話題書「清貧の思想」を体現したような8代目(1995〜2000)
- 9. -New Century Value- 9代目(2000〜2006)
- 10. さらにオーナーに寄り添った10代目(2006〜2012)
- 11. 日本の道を、これからも走り続けるために。11代目(2012〜)
- 12. 次期モデルはTNGA採用?3ナンバー化の噂も!?
「プラス100ccの余裕」が印象的な初代(1966〜1970)
photo by Mytho88(CC BY 3.0)
初代モデルは、当時トヨタの最廉価モデルであったパブリカと、ミドルクラスであったコロナの中間的な存在として企画されました。開発途中で日産・サニーが排気量1,000ccで発売されることを知った販売側の意向で、急遽1,100ccに排気量がアップされた話は有名です。安定した供給を実現するため、トヨタは専用工場を建設する力の入れようでした。
高級志向を目指した2代目(1970〜1974)
2代目は排気量をアップし、さらにデラックス感を高めた仕様に。今もなお人気の高いカローラ・レビンは、この時代に生まれました。前輪にストラット式のサスペンションや、一部グレードには前輪ディスクブレーキを採用。なお、ダイハツ・シャルマンは兄弟車になります。
モデルは将軍?2代目と併売された3代目(1974〜1979)
3代目はその後のカローラのネームバリューを盤石にするため、江戸時代に天下泰平の世を築いた元となった人物である徳川家光を研究して誕生しました。排ガス規制などが厳しい時代でしたが、大きく高められた質感と高い安全性が人気となり、国内外で大ヒットを飛ばします。
ユーザーフレンドリーが特徴の4代目(1979〜1983)
「総合特性に優れた、80年台をリードする高級大衆車」をコンセプトに掲げたのが、4代目です。省資源・省燃費などが大きく謳われた時代に、新開発の1,500ccエンジンである3A-U型エンジンで対応。時代の流れはFF(前輪駆動)化に向かっていましたが、カローラはFR(後輪駆動)を維持して信頼性の高さで応えました。
大きな路線変更が成功した5代目(1983〜1987)
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大きく流れが変わったのは、5代目からです。FFの実験的な意味合いを含んで販売されたターセル/コルサがヒットし、カローラもついにFF化されたのです。イタルデザインによるボクシーなデザインは、同時にクリーンな印象もありました。また、FF2ボックスのカローラFXも登場。今も人気の高いAE86レビンのみ、FRのままでした。
ハイソ路線がついにカローラに!6代目(1987〜1991)
photo by Kuha455405(CC BY 3.0)
FFとなって2代目となる6代目は、先代で表現し切れなかった「分かりやすい高級感」を前面に押し出すことを開発のテーマに掲げました。カラードバンパーやメッキモールの採用拡大、新開発のハイメカツインカムエンジン搭載がそれです。内装もマルーンのカラーが選べるなど、上級感をイメージさせることに成功。ちなみに、この代からレビンもFF化されます。
まさに「ベビーセルシオ」な7代目(1991〜1995)
photo by Toyotacoronaexsaloon(CC BY 4.0)
キープコンセプトとなった7代目ですが、クオリティはさらに磨きがかかります。「本質的な豊かさ」を目指し開発された時代は、バブル真っ只中。配線に金メッキ加工を施すなど、見えない部分も質感を高めました。空力性能を磨いたボディに、最上級の「GT」にはヤマハ発動機と開発した5バルブヘッドを持つ4A-Gエンジンを搭載。このエンジンを搭載したレビンが、全日本ツーリングカー選手権(JTC)に出場。モデル末期には、セダンも新生・全日本ツーリングカー選手権(JTCC)に参戦しました。
当時の話題書「清貧の思想」を体現したような8代目(1995〜2000)
photo by Mytho88(CC BY 3.0)
バブル崩壊の煽りを受けた自動車業界。トヨタも例外ではなく、8代目は行き過ぎた高級感を廃して自動車としての本質を極める方向へ舵を取ります。トータルコストオブオーナーシップ、つまり「手のかからないクルマ」を目指したのです。しかし、安いだけでは消費者は振り向いてくれるはずもなく、販売的に成功したとは言い難いモデルでした。一方レビンはスポーツ性能に磨きがかかったクルマとなりますが、残念ながらこの代で歴史に幕を閉じます。派生車種のプチミニバン、スパシオが発売されたのはこの代からです。
-New Century Value- 9代目(2000〜2006)
photo by Mytho88(CC BY 2.5)
「カローラの名前を忘れて開発しよう」「NCV(ニュー・センチュリー・バリュー)」をコンセプトにした9代目は、その名の通り新世紀にふさわしいクルマのあり方を考えて市場に送り出されました。これまでのカローラでは考えられないロングホイールベース、キャブフォワードのデザインで、快適な居住空間を実現。また本革シートをグレード別に設定するなど、カローラの枠を超えたクルマとなりました。また、派生車種としてワゴンのフィールダー、ハッチバックのランクスがラインナップに加わります。
さらにオーナーに寄り添った10代目(2006〜2012)
広いバリエーションを誇った9代目ですが、10代目発売当初はセダンとフィールダーに集約。この代から、セダンは「品質」を意味するギリシャ語にちなんだ造語「アクシオ」を名乗ります。インパクトのある先進性を持ちながら安心感のあるスタイルで、団塊世代にターゲットを絞ったモデルです。この代から1,300ccモデルがカタログ落ちし、販売のメインは1,500ccとなります。このアクシオをベースとしたモデルは、スーパーGTにも参戦しました。派生車種は、遅れて登場したルミオンやオーリス、ブレイドなどがあります。
日本の道を、これからも走り続けるために。11代目(2012〜)
photo by Turbo-myu-z(CC BY 4.0)
現行モデルとなる11代目は、大型化していった先代の反省から小型化が図られ、ヴィッツなどと同じプラットフォームが用いられています。海外向けモデルもありますが、名称が同じだけで国内モデルは日本の道路事情に特化したものになっており、それぞれが独自の路線を歩んでいます。モデル途中からは待望のハイブリッド車が追加、初代プリウス以来の5ナンバーハイブリッドセダンとして、発売以来高い人気を維持しているのが特徴です。
次期モデルはTNGA採用?3ナンバー化の噂も!?
初代発売から50年という大きな節目を迎えたカローラ。こうして見てみると、世の中の流れにいち早く反応し、時代を作り出していったクリエイティブなクルマであることが分かります。次期型の噂もちらほらと聞こえてきていますが、真相はまだ闇の中です。
欧州モデルの新型カローラ
photo by CARVIP
ただ、昨年発売のプリウスから展開を始めているトヨタの新しいプラットフォーム「TNGA(Toyota New Global Architecture)」を用いるならば、カローラセダン系史上初となる3ナンバー化は避けられないでしょう。今後の動きにも、要注目ですね。
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