愛車を廃車に見せるカスタム、海外で人気を誇る「RAT STYLE CAR」に迫る!

     
   

 高速道路を走る廃車同然のプリウスが、一時期ネット界隈をにぎわせました。「見たら幸せになれる」なんて噂も流れたこの車、その正体はカーラッピングを手掛ける業者が造った驚きのデモカーでした。痛車をはじめ、現代の車いじりになくてはならないラッピング、その新たな潮流ともいえる「廃車ラッピング」の世界について、今回はお送りしようと思います。

「廃車ラッピング」廃車プリウスから注目を集める新カスタム

photo by CARAPP

まずは廃車ラッピングの注目を集めるきっかけとなった「廃車プリウス」についてから。高速道路で度々目撃されたこのプリウスは、ボディの至る所にサビが浮かび、まるで廃車のような雰囲気を醸し出しています。樹脂製パーツであるはずのフロントバンパーなどにもサビが浮かんでいたり、サイドにサビで文字が描かれていたりと、わかる人がよくよく見ると「おや?」と疑問が浮かぶのですが、それでもこの廃車然としたスタイルは見事です。

この「廃車プリウス」の正体は、福島県で唯一のカーラッピング専門店、「CARAPP」のデモカーです。専用フィルムにサビ模様をプリントし、プリウス全体に施行。その自然な廃車然としたスタイルで「CARAPP」の技術力を証明し、立派にデモカーとしての役割を果たしています。

ルーフなどボディの一部をスポーツグレード風に見せるカスタムや痛車など、車のボディをカスタム手法として、カーラッピングは今やなくてはならない存在です。新車時の塗装をそのままに大胆な仮装を施せるカーラッピングの世界において、廃車プリウスは新たなカスタム手法の可能性を感じさせる、画期的な1台と言えるでしょう。

「RAT STYLE CAR」海外で新たな広がりを見せています

新たな潮流を感じさせる「廃車ラッピング」ですが、海外のカーマニアの間で、すでに広がりを見せています。「RAT STYLE CAR」と呼ばれる海外の「廃車ラッピング」施工車を、ここでいくつか紹介していきましょう。

2代目フォルクスワーゲン・ゴルフ(その1)

photo by PROJorn Idzerda

画像とボディ全体に廃車ラッピングを施したフォルクスワーゲンの2代目ゴルフ、もはや旧車の域に達したボディと廃車ラッピングの親和性は抜群で、違和感がまったくありません。ボンネットやグリル、大径ホイールなど一部をあえてキレイなままにしているのが海外の廃車ラッピング。ラッピングだけでなく大径ホイールやローダウン、フェンダー加工といった定番のカスタムを組み合わせ、ボロいくせにカッコイイゴルフを作り上げています。

2代目フォルクスワーゲン・ゴルフ(その2)

photo by Eurodubs

2代目ゴルフからもう1台、ローダウンにフェンダーからあふれんばかりの大径ホイールなどを装備しつつ、ボンネットにサビ模様のラッピングを施しています。この車のポイントはフロント下部に鎮座する、パワーアップの代名詞・大型インタークーラー、廃車然としたスタイルをとりつつ、底知れない走りを予感させる、妖しい魅力をかもし出しています。

フォード ファルコン

photo by Sicnag

廃車ラッピングではないようですが、錆びたボンネットを突き破っているアメリカンV8エンジンの存在感はあまりにも絶大。単なるぼろ車をエンジン1つでここまで妖しく、魅力的な1台に仕立て上げるセンスは素晴らしい。さりげなくピカピカに整えられているフロントのグリル・クロームバンパーもポイントですね。「RAT STYLE CAR」においては、ボロボロのボディと、一部異質なパーツとの絶妙なバランスが、ユーザーの腕の見せ所なのでしょう。

ホットロッド

photo by  Hugo-90 

ホットロッドとはアメリカで古くから愛される、カスタムカーのジャンルの1つ。フォード・モデルTなど1920~1930年大の車体をベースに、ローダウンやボディ軽量化、高性能エンジンへの載せ替えといったカスタムを行うのが主流。アメリカの伝統文化と言っても過言ではないジャンルです。画像の車両は、そうしたホットロッドに廃車然としたスタイルをプラスした1台。ギラリと異様な存在感を示すクライスラー製HEMIエンジンが、暴力的な加速を予感させます。

ラッピングの費用はボディ全体で約45万円から

冒頭に紹介した廃車プリウスを製作した「CARAPP」では、ボンネットやドアミラー、ルールなどボディの一部からボディ全体、さらには内装までラッピングのメニューを取りそろえています。ボディ全体のラッピングとなると費用はコンパクトサイズの車でだいたい45万円から、廃車プリウスの場合は約70万円の費用が掛かったそうです。

費用だけ聞くと割高に感じますが、カーラッピングを施せば、ラッピングの下の塗装は新車時のコンディションをキープでき、下取りに出したときの査定額が有利になることもあるかもしれません。特に限定モデルなど希少な車に乗っている場合はオリジナルの塗装色が下取り額に大きく影響することもあるので、そうした希少車にお乗りで、ボディの保護をしたいという方に、カーラッピングはおすすめです。

ミラーやボンネットだけなどボディの一部だけなら費用は数万円ほどと、それほど高額ではありません。先に紹介した「RAT STYLE CAR」を参考に一部廃車ラッピングを取り入れるなら、ボディ全体のラッピングほど費用は掛からないでしょう。

社名:CARAPP(カラップ)
住所:福島県郡山市菜根3-22-12(STUDIO)
営業時間:9:00~19:00
定休日:不定休
URL:http://www.carapp.jp/

無限の可能性を秘める「廃車ラッピング」

「RAT STYLE CAR」を見ていると、廃車ラッピングの可能性を感じずにはいられません。少し考えただけでも、痛車やケンメリGT-Rなどの旧車との組み合わせ、内装に廃車ラッピングを施してみるなど、様々なアレンジが可能です。よくよく考えればダメージジーンズやジオラマ製作、引いては安土桃山時代の曲がりねじれた茶器など、マイナス面を取り入れたファッションは大昔から評価され、新たな価値を生み出してきました。CARAPPの造ったデモカーは、カスタムカーの新ジャンルを日本に広める切っ掛けとなるのかもしれません。

 

カスタム&パーツカテゴリの最新記事