チンスポ・バーフェン・ダックテール、街道レーサー&ワークススタイルが似合う旧車10選!

     
   

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街道レーサー&ワークススタイルとは?

街道レーサー

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街道レーサーとは、1970年代に登場した自動車カスタム。街道(公道)を走るクルマを、レース車両のような外観に仕上げる手法です。1990年代に盛んになった、いわゆる「走り屋」のルーツであると同時に、暴走族が好んで取り入れたスタイルでもありました。

クルマの見た目だけではなく、エンジンにも改造が加えられます。「ソレックス」の高性能キャブレター(燃料噴射装置)に「タコ足」(非等長の高性能エキゾーストマニホールド)を装着するのが定番でした。

ワークススタイル

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1970年代以降、国内のトップカテゴリーレースは、富士スピードウェイを舞台にした富士グランチャンピオンレース(グラチャン)。1971年から1989年まで開催されました。

当時の若者に人気があったのは、グラチャンのサポートレースで火花を散らしていたグループ5カテゴリーのシルエットフォーミュラ。市販車ベースとはいえ、エンジンはレース専用設計。600馬力近いパワーを絞り出すモンスターマシンがアフターファイアを噴き出しながら、サーキットを暴れ回っていたのです。

空力性能を高めるための巨大なチンスポイラーリアウイング、極太タイヤを収める幅広のオーバーフェンダーブリスターフェンダー。マシンのエクステリアの改造レギュレーションも、ほぼ無制限でした。

見た目も走りも過激なシルエットフォーミュラのレースに参戦していたのは、国内外の自動車メーカー。つまり、ワークスと呼ばれるチームでした。シルエットフォーミュラは、メーカーの威信を懸けた戦いの象徴でもあったのです。

「チバラギ仕様」なるカスタム

シルエットフォーミュラがベース

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出っ歯のように前方に延びた巨大チンスポイラーと、槍(やり)のように突き出たマフラー。いわゆる「竹槍出っ歯」という言葉に代表される極端なカスタムが「チバラギ仕様」。ローカルエリアの千葉、茨城で多く見受けられたことから、その呼称が広まりました。

もともとはシルエットフォーミュラのマシンをストリートで真似たスタイルであることは一目瞭然。ただし、シルエットフォーミュラの特徴があまりにもエスカレートした形で取り入れられ、走行性能の向上とは無関係なカスタムであることも分かります。

リアルなレーシングカーではあり得ないコンバーチブルへのカスタム、ボンネットなどから天に突き出た「煙突マフラー」は、その最たる例。本物のレース車両を超えるほどのド派手なボディペイントも、「チバラギ仕様」のマシンには欠かせませんでした。

街道レーサー&ワークススタイルが似合う旧車(トヨタ編)

マークⅡ/チェイサー/クレスタ

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単眼2灯式で愛嬌のあるヘッドライトから、通称「ブタ目」と呼ばれた兄弟車のマークⅡチェイサー。小型の上級車で、チェイサーは日産スカイラインをライバルに想定した若者向けのモデルでした。

2ドアハードトップを擁していたマークⅡとチェイサーが、街道レーサーのカスタムベースとなったのは当然の成り行き。写真のクルマを見ても、ワイドなブリスターフェンダーと、もはや座敷のようなチンスポイラーはインパクト抜群です。

1980年にクレスタが加わったマークⅡ3兄弟は、スポーティなスタイリングが若者にも受け入れられて好セールスを記録。1982年のマイナーチェンジで、ツインカム24バルブエンジンが搭載されます。もちろん、街道レーサーのカスタムベースとしても人気を集めました。

クラウン

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シルエットフォーミュラのベースとなった市販車は、2ドアクーペのスポーツカー。しかし、街道レーサーのカスタムは走りもさることながら、ストリートでいかに目立つかということも重要なポイントでした。大きくて豪華なハイソカーは、その目的を果たすのに適していました。

その代表格がクラウンS120系はスポーティなツインカムエンジンを搭載し、流行の4ドアハードトップもラインナップ。ちなみに、クラウンは日本で初めてスーパーチャージャーを搭載した車種でもあります。

一方、こうしたハイソカーは目立とうとするあまり、外観の装飾に走る傾向が強かったのも事実。チンスポイラーの大型化などが進みました。写真の1台は、まるでロボットのような風貌です。

ソアラ

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スタイリッシュなハイソカーとして一世風靡したソアラ。シャープなスタイリングは都会的で、スポーティなイメージも強く、「ナウい」クルマを求める街道レーサーにとって憧れのカスタムベースでした。

写真のクルマのサイドに見えるフィンのような装飾は、1980年代に多く見られたデザイン。フェラーリ・テスタロッサの影響かもしれません。

セリカ

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ふくよかなボディと、メッキのバンバーが印象的なフロントマスクから「ダルマセリカ」と呼ばれた初代セリカ。セリカの上級車種として登場した直列6気筒エンジンの「セリカXX」(のちにスープラへと移行)を含め、セリカは街道レーサーの人気車種でした。

街道レーサーのカスタムではレーシーな雰囲気を強調するため、オイルクーラーのコア部分をボディ外側に設置し、フロントグリルからエンジンルームにホースを取り込むスタイルも車種を問わず流行。しかし、実際には見た目だけのダミーも少なくありませんでした。

街道レーサー&ワークススタイルが似合う旧車(日産編)

スカイライン

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さまざまな自動車カスタムの世界で、スカイラインほど身近な車種は、そう見当たらないかもしれません。ハコスカケンメリジャパンニューマン鉄仮。街道レーサーのジャンルにおいても、カスタムベースとなったスカイラインは多世代にわたります。

日本のレース界をリードしてきた栄光の日産ワークスのイメージが強いためか、ボディの原型や車種が分からなくなるほどのカスタムが施される例は少ないといえます。ただ、写真のように、角目のヘッドライトを斜めにセッティングして「ツリ(吊り)目」仕様にするカスタムは、車種に関係なく流行しました。

ローレル

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つるりと丸みを帯びたリアの形状から、通称「ブタケツ」と呼ばれたC130型のローレル。リアバンパーにテールランプを組み込んだデザインが斬新でした。写真の1台はノーマル然としたシンプルな外観ながら、ビビッドなパープルのカラーリングが映える車両です。

ローレルは高級車でありながら、チューニングベースとして人気だったL型エンジンを積んでいたのが特徴。フェンダー内側が深い車体構造は深リム、極太タイヤを履くのにも好都合で、走りを愛する街道レーサーたちに人気がありました。

セドリック/グロリア

クラウンと並び、日産を代表する4ドアハードトップの代表格がセドリック・グロリア。写真のカスタムはボンネットがひさしのようにせり出し、逆スラントノーズのように見えるスタイルです。よく見ると4ドアですが、2ドアクーペのような雰囲気を放っています。

5代目の430系は国産の市販車で初めてターボチャージャーを搭載し、走りも満足させる高級車として人気に。6代目のY30系には「ブロアムVIP」のグレードが登場し、平成のVIPカーブームの呼び水となりました。

フェアレディZ

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正真正銘のスポーツカーであるフェアレディZも街道レーサーの人気車種。ラリーからサーキットの耐久レースまで、幅広いフィールドで活躍していたクルマの性格上、走りを志向する層に支持されました。

北米で爆発的にヒットしたことから、このクルマのオーナーは星条旗のデザインを取り入れたのでしょうか。セダン系の仰々しいリアスポイラーとは異なり、クーペのスポーツカーはシンプルで小ぶり、アヒルの尻尾のような形をしたダックテールのウイングが基本でした。

街道レーサー&ワークススタイルが似合う旧車(マツダ編)

サバンナRX-3

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サバンナRX-7の先祖に当たるサバンナRX-3。1971年の発売とともに、レースシーンに斬り込みます。この年は早速、富士ツーリストトロフィ500マイルでスカイラインGT-R(ハコスカ)のレース50連勝を阻止。1972年の日本グランプリでも日産ワークスのGT-Rを打ち破り、ロータリーエンジンの強さを見せつけます。

サーキットで死闘を繰り広げたマシンのイメージからか、レーシングに徹したカスタムが主流。写真の1台も、武骨なまでに硬派なスタイル。フェアレディZなどと同様、後世の「走り屋」につながる系譜が感じられます。

コスモAP

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パワフルなロータリーエンジンを積んだスペシャリティカーのコスモAP。速さだけでなく、高級感と豪華さを併せ持つクルマです。

黄、緑などのストライプは、「ロータリー使い」の異名で呼ばれていたレーサー片山義美のRX-3のカラーリングにならったもの。いわゆる「片山カラー」を再現したカスタムです。ダックテールのラインが美しくキマっています。

まとめ

自動車メーカーと若者の関係性

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過剰なまでに自己主張の強いカスタムは、現代の基準に合わせれば、決してスタイリッシュとはいえないかもしれません。しかし、クルマのカスタムに対する愛着や情熱には、目を見張るものがあるのも事実。そんな時代を懐かしむかのように、21世紀の現在も街道レーサーのカスタムを楽しんでいる人は少なくありません。

シルエットフォーミュラというレースのカテゴリーを盛り上げた自動車メーカーと、それに熱狂しながら新たな文化を生み出した若者たち。いわゆる「クルマ離れ」が進んでいるといわれる昨今、両者の親密な関係性は新鮮に映ると同時に、これからの自動車社会のあり方を考えさせられます。

 

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