もしかしたらあなたは、ホイールナットをただクルマにホイールを取り付けるためのパーツだと思っていませんか。ホイールナットは、用途によって様々なタイプのものが存在します。盗難防止の「ロックナット」ドレスアップを目的とした「カラーナット」や運動性能向上を目的とした「軽量ナット」などがあります。これ以外にも、素材別の特徴や、ロックナット種類、取り扱い方についてご紹介していきます。
ホールナット・ロックナットとは?
ホイールナットは、車体にホイールを確実に取り付けるための重要なパーツです。通常のナットは6角形をしているものが一般的です。ホームセンターなどで売られているタイヤレンチなどの工具があれば、簡単に取り外すことができます。
簡単に取り外しできるということは、メリットだけではありません。高価な社外ホイールに交換している場合、通常のナットのままですと盗難の被害に遭うリスクが高くなります。
そこで、大切なホイールを盗難のリスクから守るために「ロックナット」の取り付けがおすすめです。
ロックナットは、複雑な形状になっていて、ロックナットごとに専用のソケットがついてきます。形状にあったソケットでないと取り外すことができません。
ホイールは多くの場合4個から5個のナットで取り付けられているのですが、そのうちの一つをロックナットに交換することで、盗難を防止します。
スタッドボルト・ナット
スタッドボルトは、一般的なボルトとは違い、6角形の頭のない形をしています。
両端にネジが切られているものや、片方がネジ山で、もう片方がスプラインといって、縦溝を切ってあるものがあります。
ナット留めを採用している国産車のハブは、縦溝の切られたスタッドボルトを使っていることが多いです。
ベンツやBMWなど輸入車のほとんどはボルト留
もし、あなたが輸入車にお乗りであれば、ホイールがボルトで留まっていることご存知だと思います。
ボルト留めには理由があり、輸入車は高い速度域での使用を想定しているからです。速度域が高くなれば、足回りに負担が増えるので、その分剛性が求められます。
ボルト留は、ハブ穴とボルトの1箇所が結合部なので、ホイールを取り付けた時に「剛性」を出すことができます。
ちなみに「剛性」とは、物体の変形のしにくさ、歪まない性質のことです。
ナット留めは、ハブ穴にスタッドボルトとナットの2箇所に結合部があるため、ボルト留めより剛性が低くなります。
また、ボルト留めは部品点数が少なく、コストを抑えることができます。
デメリットは、ホイールを取り付ける際に、スタッドボルトがないので位置決めがしづらいということです。
ホイールのナット・ロックナットでカスタムを楽しむ
ホイールのナットは、どれも同じだと思っていませんか?
ホイールナットにも色々な種類があります。見た目が同じでも、材質の違うものなど、種類は豊富です。ここでは、手軽に交換できるホイールのナットについて見ていきましょう。
カラーナットでドレスアップ
「クルマのイメージを変えたいけど、費用や手間のかからないカスタムがしたい」
そんなあなたにおすすめなのが、ホイールナットをカラーナットに交換です。アルミのカラーナットは比較的お求めやすい価格で、色も豊富にあります。手軽にクルマのドレスアップができるカラーナットも検討してみてください。
軽量ナットで走行性能をアップ
ナットを軽くすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
実は、クルマの走行性能においては、サスペンションより下の重量(バネ下重量)が大きく影響します。バネ下重量を軽くすると「慣性力」が弱くなり、ハンドリングや乗り心地が良くなります。
ちなみに「慣性力」とは、動いていた物体が止まった時に、前に飛び出ようとする惰性のことです。
手軽にバネ下重量の軽量化をしたいなら、軽量ナットの交換がおすすめです。
ホイールナット・ロックナットの素材はどのようなものがある?メリット・デメリットは?
ホイールナットには色々な素材がありますが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。ここでは、ホイールナットの選び方や素材別に特徴をご紹介します。
ホイールナット選びは強度も重要
ホイールナットを選ぶ上で強度は重要なポイントです。安易にデザインが良いから、軽量で走行性能が上がりそうだからと選んではいけません。
スチールナット
スチールナットは強度が高く加工がしやすいので、製品精度が高いです。また、素材的に安価なので、メーカー純正に多く使われています。デメリットとして、デザインに個性がなく、重くて錆びやすいです。
ジュラルミン(アルミ)ナット
ジュラルミンナットは、社外のカラーナット(アルマイト加工)された綺麗なものが多く、アルミなので軽量です。
アルマイト加工とは、アルミ表面に酸化皮膜を作って金属の腐食を防ぐためのものです。
デメリットは強度が低く、繰り返し使用しているとネジ山が潰れることもあります。特に強度を必要とする、サーキット走行やスポーツ走行には向きません。
クロモリナット
クロモリブデン鋼は強度が高く、耐熱性も優れ、スチールナットよりも軽い素材です。デメリットは、アルミナットに比べ重くコストも高くなることです。スポーツ走行など、高速からのフルブレーキを多用するサーキット走行でも良く使われているホイールナットです。
チタンナット
チタンナットは、軽く・強く・錆びない上に、耐熱性も優れた素材です。ホールナットに最適な素材といえます。ですが、加工が難しく他のスチールナットやジュラルミ、クロモリに比べコスト的に劣ります。予算を気にしないのであれば、ぜひ使っていただきたいナットです。
ホイールナット・ロックナットの種類はメーカーによって異なる_
ホールナットは素材以外にも、違いがあります。ピッチや座面の形状、ホイールやメーカーによって合わないものがあり。確認せずに取り付けてしまうと、破損の原因になるので注意が必要です。
ホイールナットのサイズとピッチ
ホイールナットはサイズ・ピッチ(ネジ山の間隔)もメーカーによって異なります。サイズの表記はサイズ×ピッチ(M 12×P1.5)になります。スタッドボルトのサイズに合うナットを選ぶことが必要です。
多くのメーカーが採用する60°テーパー座ホイールナット
60°テーパー座ホイールナットは、ホイールのナットが接触する面が60°になっているものに合わせたナットになります。トヨタ、ホンダ以外のメーカーや社外ホイールの多くはこのタイプを使っています。
ホンダの球面座ホイールナット
ホンダのホイールナットは、ホイールに接触する当たり面が球面になっていて、R12球面座とも呼ばれています。
トヨタの平面座ホイールナット
トヨタのホイールのセンターだしは、ホイールのボア部分とハブで合わせています。ホイールナット側でセンターを必要がなく、ホイールナットの接触する当たり面は平面になっています。
盗難防止ロックナットの種類と取り外し方は?
あなたは、ロックナットを普通6角形のナットと同じように取り外していませんか。
ロックナットは、複雑な形状をしているものが多いです。そのため、普通の6角形のナットと同じようにインパクトレンチなどを使用して外してしまうと破損につながります。
ここでは、ロックナットの種類と外し方、締め方について紹介します。
ヘプタゴンロックナットの外し方・締め方
ヘプタゴンナットは、名前の通り7角形のデザインを採用しているロックナットになります。取り外し、取り付けは専用ソケットを使います。
外溝タイしてプロックナットの外し方・締め方
外溝ロックナットは、ソケットがホイールナットにはまりづらいのです。ですから、外す時も締める時も、確実にはまっていることを確認してから、ソケットをまっ直ぐ押して力をかけることがポイントです。
内溝タイプの(マックガード)のロックナットの外し方・締め方
内溝のマックガードなどは、ロックナットの溝とソケットの溝が一度はまれば、ずれにくい作りになっています。ですが、複雑な溝が切ってあるので、確実に溝にはまっていることを手で確認してから工具を使いましょう。
盗難防止ロックナットのソケットを紛失した時の対応方法は?
ロックナットを使っているけど、もし、専用のソケットを紛失してしまったらどうすれば良いの?こんな不安はありませんか?
ここでは、ロックナットのソケットを紛失した場合の対処法についてご紹介します。
ロックナットのキー番号や保証書からソケットを作成
ロックナットにはほとんどの場合、保証書にキー番号がついてきます。購入した販売店に問い合わせれば、キー番号から新しいソケットを取り寄せることができます。
キー番号が記載されていない場合でも、保証書があればメーカーに直接問い合わせることで新しいソケットを取り寄せることができるはずです。
ロックナットについてくる保証書やキー番号は、万が一の紛失に備えて保管しましょう。
専門店で特殊工具を使用
タイヤ専門店やディーラーなどであれば、ロックナットを紛失した時のために専用工具を用意しているところもあるようです。
ロックナット取り外しの専用工具は、ロックナットの外側から無理やり咬み込ませて外す方法になります。最悪の場合ホイールに傷がついてしまうこともあるので、最終手段と考えてください。
急ぎでない場合、保証書やキー番号から新たにソケットを取り寄せる方が、賢明です。
まとめ
今回はホイールナット全般に紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか?
ホイールナットは、クルマにホイールを取り付ける目的以外にも、用途によって様々な種類のものがありました。
ホイールナット・ロックナットの特徴を理解して、用途にあったものを選びましょう。