出典元:https://autotrader.ne.jp/heritage/uk/category/アストンマーチン/
アストンマーティンのリバーシブルEV換装キットとは?
出典元:https://autoweek.com/article/green-cars/aston-martin-offer-ev-conversion-classic-models-just-gattaca
愛するクラシックカーが街中を走れなくなる日が来る?
悪化していく地球環境を考えると、近いうちにエンジン車が電気自動車へと切り替わっていくのは仕方がないことともいえます。時代に置いていかれる形になったクラシックカーは消えてゆくしかないのでしょうか。そんな不安を解消するようなニュースを今回はご紹介しましょう。
イギリスの高級スポーツカーメーカー、アストンマーティンが自社のクラシックカーをEV化できるという「リバーシブルEV換装キット」をリリースすると発表しました。
クラシックカーユーザーには是非知っていて欲しい、この「リバーシブルEV換装キット」について詳しくご紹介してゆきたいと思います。また、レトロでノーブルな雰囲気がたまらないアストンマーティンの代表的なクラシックモデルについても特集していますので、どうぞ最後までお楽しみください。
アストンマーティンワークスが開発、カセット方式でエンジンに戻すことも可能
「リバーシブルEV換装キット」はアストンマーティンのクラシック担当部門アストンマーティンワークスが開発したもの。安定した使用感を味合うことができるでしょう。
画期的なのは「リバーシブル」な点。EV化した後であっても内燃エンジンにいつでも戻すことができるのです。その秘密は「カセット方式」であること。A面の再生が終わったカセットテープをラジカセから取り出し、裏返してB面を再生させるように簡単にEVとエンジンを切り替えることができます。
技術ベースとなったアストンマーティン・ラピードEとは?
出典元:http://www.m-auto.co.jp/blog/astonmartin/2017/09/29/post-6775/
「リバーシブルEV換装キット」が誕生した背景にはアストンマーティンが初めて開発したEV車「ラピードE」の存在があります。4ドアハッチバックセダン「ラピードS」のEVタイプなのですが、「リバーシブルEV換装キット」は同モデルの開発中に得た技術を活かしているのです。
「ラピードE」は残念ながら限定155台しか生産されないと発表されましたが、思わぬ形でその成果が継承されることとなったわけですね。
同車の強みはバッテリーが800Vであること。電圧を通常のEV車よりも倍にすることで、充電時間がグッと短くなっています。(400km航続させるために20分以下の充電でOK)ちなみに、最高出力610ps以上、最大トルク950Nmを発揮する電動モーターが搭載されています。
まずはアストンマーティン・DB6用キットを2019年より発売
一番最初にキットが提供されるのは「1970年型アストン マーティンDB6 Mk2 ヴォランテ」。2019年より発売予定です。「DB6 Mk2 ヴォランテ」といえばチャールズ皇太子の愛車であり、ウィリアム王子の結婚披露でも使用されたという格式のあるモデル。アストンマーティンの本気がうかがえますね。
内装についてはバッテリーの残量確認ができるモニターが付く以外、今までと変わらないものを維持できるので安心してください。クラシックカーの魅力を損なわずにEV化することができます。
それでは、アストンマーティンがこれまでに発売してきたクラシックモデルをおさらいしてみましょう。
アストンマーティンのクラシックモデルといえば?
台数限定で復刻生産もされたアストンマーティン・DB4
1958年から1963年に製造・販売されたモデルです。75台しか生産されていないというレアな名スポーツカーとして未だに人気があるため、2017年には25台限定で復刻生産もされました。150万ポンド(約2億2000万円)という高値でリリースされています。
ボンドカーで有名なアストンマーティン・DB5と後継のDB6
出典元:https://uncrate.com/jp/article/goldeneye-1965-aston-martin-db5/
映画好きな方にはお馴染みの車かもしれませんね。『007ゴールドフィンガー』等6作品の『007』シリーズに登場する「DB5」もまた、25台限定の復刻生産が発表されています。2020年に納車予定で、価格は275万ポンド(約3億8800万円)なんだとか。
後継車である「DB6」は前述した「DB6 Mk2 ヴォランテ」の前身となったモデルです。1965年から1970年にかけて製造・販売されていました。生産台数は1300台程の上、日本での流通も少ないレア車です。
V8モデルが登場したアストンマーティン初代DBS
1967年から1972年に製造・販売された「初代DBS」。映画『女王陛下の007』のボンドカーです。1969年には5.3L水冷V8エンジンを搭載したモデルも追加されました。
このモデルはデヴィッド・ブラウンが経営者だった時代において最後の「DB」シリーズとなります。この後、しばらくの間デヴィッド・ブラウンのイニシャルを冠した同シリーズのモデルは登場しません。
ジョニーイングリッシュでも登場するアストンマーティン・V8
1972年から1989年に製造・発売されました。『007 リビング・デイライツ』に登場しているほか、『Mr.ビーン』で有名なローワン・アトキンソン主演のスパイ・コメディ映画『ジョニーイングリッシュ』にも登場。
アストンマーティン以外でもクラシックカーをEV化する動き
ジャガー・Eタイプ ゼロの市販化を決定
出典元:https://www.leon.jp/lifestyle/8027
同じくイギリスの高級車メーカー、ジャガーが人気の高いクラシックカー「Eタイプ」をレストア&EV化した「Eタイプ ゼロ」を販売することを発表しています。このモデルはジャガー初のEV車「Iペイス」と完全レストア車「Eタイプ REBORN」の技術を活かし開発されました。2020年に納車予定なんだとか。
既存の「Eタイプ Series 1」をレストアしたものとなりますが、タッチスクリーン式のインフォテインメントシステムをオプションで搭載可能で、LEDヘッドライトを使用するなど最先端の技術もつぎ込まれています。運転席のパネル部分も現代風に変更されることに。
バッテリーは最大蓄電40kWhのリチウムイオンを使用し、6~7時間の充電で270km航続可能です。モーターは最大出力300hpを発揮。
ジャガーはオリジナルの「Eタイプ」ユーザー向けに既存車のガソリンエンジンをEV化するサービスも提供予定と公表。また、EVからガソリンエンジンへ戻すことも可能だとか。
国内でも300万円~でEV換装する業者が増加中
日本国内でもクラシックカーのEV換装を行う業者が増えてきているのはご存知でしょうか。親から受け継いだクラシックカーをEV換装して乗り継ぐ…そんな例も多数あるようです。日本人の「もったない」精神とも合っているのでしょう。今後も需要は増えていきそうです。
クラシックカーをEV化する利点とは
燃費が悪くてガソリン代がかかってしまう、パーツがすでに手に入れられなくなっていたり、修理代が高くついてしまう…そういった悩みもEV化することで解消することができます。部品点数がエンジンと比べ3分の1であるため、故障が少ないという利点も。
そして、環境に優しいという最大の長所。これは、クラシックカーのみならずエンジン車やディーゼル車に乗る全てのユーザーが今後強く意識してゆきたい点ですね。
以上、アストンマーティンが発表した「リバーシブルEV換装キット」と、これまでに同車が発売した代表的なクラシックカー…そして、クラシックカーのEV化の現状についてご紹介させていただきました。
愛車のEV化を考えている方、乗っていないクラシックカーがガレージに眠っている方のお役に立てたのなら幸いです。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。