三菱が日産の傘下企業に?!いったいどうなる、日本の自動車メーカー

     
   

燃費性能に関する虚偽申告と、過去に重ねた不祥事などもあわせて、もはや単体の力だけでは汚名を払拭することが難しくなってしまった三菱自動車。そんな三菱自動車が、日産の傘下となることが事実上決定しました。

今回は、三菱と日産の提携にある背景、そして今後について考えていきます。

三菱と日産が提携……その経緯はいかに

悲惨な事故の原因となった大型トラック車両のリコール隠しに始まり、度重なる不祥事でユーザーの信頼を失墜させてしまった三菱自動車。今回の燃費性能に関する偽装によって、とうとうトドメを刺してしまった感があります。

もはや単独での信頼回復は絶望的になった背景もあり、日産自動車の傘下となることを決定した三菱自動車。もともと、何度も業務提携がウワサされていた二社だけに、このタイミングでの傘下企業化はセンセーショナルなニュースとなりました。

提携後の二社は、どんな未来展望のために結託することとなったのでしょうか。今回の一件には、様々な人物の思惑による複雑な事情がありそうです。

トップの繋がり、三菱グループ内の事情がカギか

特筆すべきは、三菱グループのキーマンともなっている三菱自動車の代表取締役会長である益子修氏と、日産自動車CEOのカルロス・ゴーン氏の連携かもしれません。

もちろん、これだけの大企業同士の合弁化に個人の裁量がウエイトを占めるということは考え難いことです。しかし実際のところ、この二人の考えによるところも大きいのではないかと言われています。

アジアでのグローバルな商圏拡大を担った益子氏は、海外企業の経営者との太いパイプを持っており、特に自動車商戦での敏腕ぶりは世界トップクラスと言えるでしょう。

度重なる不祥事からの三菱自動車再興を任されることとなってしまった益子氏ですが、大変に語学堪能な人物。同じく語学堪能でマルチリンガルのゴーン氏と親睦を深めるようになったのは、必然的な運命と言えるかもしれません。

その他に、三菱グループ内の意見の不一致も今回の提携の一因と言われています。グループ内では三菱自動車を重要な事業と考え、徹底的に保護していくべきという派閥と、不祥事を立て続けに起こしているお荷物と考え、切り離しをはかる派閥に分かれているそうです。

どこかの企業に自動車部門を引き取ってもらいたいと考える者もグループ上層部に数多くいたそう。そういった人々にとって、今回の日産との提携体制の打診は、願ってもないチャンスとなったわけです。

傘下とはいえ、リスクの高い合弁化は日産側としても慎重説を採る者も多かったはずです。特に、ルノーとの提携時に社内政治による闘争や騒動を経験した日産には、かつての傷口を抉りながらの決断だったことでしょう。

それだけに、期待の高まる事業提携であることは間違いないとも言えます。

吉と出るか凶と出るか…自動車業界に与えるインパクトは大!

日産はルノーとの提携協力を円滑に進め、お互いに高め合い、弱みを薄めるという協力体制を確立しました。

今回も、三菱のブランド力と日産の開発力を高めつつ、日本の自動車業界全体を盛り上げてくれる結果となれば、まさに怪我の功名と言えるのではないでしょうか。

三菱には電気自動車やハイブリッドカーなどの高度な技術もあり、人気車種となった「アウトランダーPHEV」などは非常に優れたSUVです(もっとも燃費偽装のラインナップに並んでしまっているので、引き合いに出すのは好ましくないかもしれませんが……)。

日産も自動運転技術の開発を始めとして、様々な先進的技術を有しています。「リーフ」など電気自動車の開発も旺盛に行っていますし、三菱開発部との協力が今後の車両開発技術の推進剤となってくれれば、目覚ましい成果を上げてくれるかもしれませんね。

どうしてもトヨタの一人勝ちになってしまっているのが日本の自動車業界事情と言えますが、三菱と日産が、トヨタやホンダに比肩するくらいの存在になってくれば、これからの自動車業界は大いに盛り上がってくるはず。ぜひともこの二社には頑張ってもらいたいですね。

突然決まった日産と三菱の提携でしたが、自動車業界内では波紋が広がっており、今後さまざまな問題も出てくるでしょう。工場などの生産ラインなどを見直すことになれば、職を失う人も現れるかもしれません。

誰もがwin-winというわけにはいかないのが、世の常というもの。ですが、出来るだけ多くの人が幸せになる形に収まるといいですね。

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