工場の片隅や草むらにうち捨てられた廃車の姿は、時折車好きの心をわしづかみにします。今では見ることのできないスタイリング、ぼろぼろになった姿は、私たちに過ぎ去った時代の哀愁を感じさせます。今回はそんな哀愁を感じさせる廃車の画像を集めてみました。
- 1. スチュードベーカー・チャンピオン(1950)
- 2. 日産・フェアレディZ(1978~1983)
- 3. マツダ・T2000 (1957~1974)
- 4. ランドローバー・レンジローバー(1970~1996)
- 5. GMC・ダンプトラック(1951)
- 6. ダットサン・トラック(1979~1985)
- 7. キャデラック・フリートウッド(1953)
- 8. フォルクスワーゲン・T1(1950~1967)
- 9. フォルクスワーゲン・タイプ1(1938~2003)
- 10. BMC・ミニ(1959~2000)
- 11. ポンティアック・テンペスト(1964)
- 12. オペル・オリンピアレコルト(1953~1957)
- 13. 廃車の背景を知ると、より哀愁を感じられる
スチュードベーカー・チャンピオン(1950)
こちらは名前もメーカーも聞いたことがないという方も多い車ではないでしょうか? この車両はアメリカの自動車メーカー「スチュードベーカー」が製作していたチャンピオンというクルマです。
スチュードベーカーは1852年に創業し、当初は馬車の製造をしていました。1897年より、自動車生産の事業に着手。先進的なデザインで、世に数々の名車を生み出します。そんなスチュードベーカーの評価をさらに高めたのがこのチャンピオン。上記の画像からでも存在感を放つ大型エンブレムを中心とした独創的なフロントフェイスや流麗なスタイリングを見て取ることができます。エンジンは3.7L直、6.94馬力を発生し、最高速度145kmを誇りました。残念ながらGM、フォード、クライスラーのビッグスリーとの競走に負け、1967年自動車事業から撤退。会社も1979年に合併により消滅してしまいます。
日産・フェアレディZ(1978~1983)
西部警察に登場した「スーパーZ」など、テレビでも活躍した2代目日産 フェアレディZです。ロングノーズ・ショートデッキの伝統的なスポーツカーのスタイリングはそのままに初代からサイズは若干ワイド化されています。L型直6 2.0Lおよび2.8Lエンジンを採用し、アメリカでは2.8Lターボもモデル末期にラインアップに加えられました。
マツダ・T2000 (1957~1974)
マツダが東洋工業と呼ばれていた時代に販売されていた3輪トラック。その1台がこのT2000です。ダイハツのミゼットなどオート三輪の人気が絶頂のころに販売された一台で、10年以上にわたって生産されました。そのため今オート三輪の中でも現存している個体が多く、時折こうしてかつての姿を目にすることができます。
エンジンは空冷2気筒および水冷4気筒の2種類を採用、後に水冷4気筒エンジンは2.0Lに排気量が拡大され、それと同時に車名もT1500からT2000へと変更されました。
ランドローバー・レンジローバー(1970~1996)
イギリスの老舗自動車メーカーであり、現在はインド・タタ自動車の傘下に入っているランドローバーの傑作高級SUVです。フルタイム4WDを採用した本格的なオフロード性能と、高級車と同等の乗り心地・質感・快適性を両立させるべく開発された、革新的な一台です。
2017年現在流行しているホンダ・ヴェゼルやポルシェ・カイエン、トヨタ・ハリアーといったクロスオーバーSUVの元祖というべき車です。1970年に初代が販売されて以降、代を変えながら現在も初代のコンセプトをそのままに、製造・販売が続けられています。
GMC・ダンプトラック(1951)
GMCはアメリカで商用車やピックアップトラック、SUVなどの販売を北米や中東で行っている、GM(ゼネラルモーターズ)の1ブランドです。写真の画像はそのGMCがかつて販売していたピックアップトラックのダンプ仕様です。1950年代特有の流麗なボディラインを身にまとった車両でして、その個性的なデザインから現在でも一部のファンなどによってレストアされた車両が見ることができます。
ダットサン・トラック(1979~1985)
かつて日産に存在していた小型乗用車ブランド「ダットサン」。そこから販売されていた和製ピックアップトラックがダットサン・トラックです。1935年に登場以来、2002年まで70年近くにわたって販売され続けた息の長いモデル、その間にダットサンというブランド自体は消滅してしまいましたが、車両にはダットサンという名称がそのまま使用され続けました。
写真の車両は1979年~1985年に販売された8代目に当たります。シックなえんじ色に染め上げられていて、趣味の車として愛されていたことを感じさせます。
キャデラック・フリートウッド(1953)
GMの高級車ブランドキャデラックから1950年代に販売していた高級2ドアクーペです。全幅は2m、全長は5mを超える巨体を誇り、リアのフィン形状から押しだし感がものすごいフロントマスクまで、2017年現在まで続くアメ車の魅力をすでに完成させていました。
フォルクスワーゲン・T1(1950~1967)
ドイツの国民車構想に基づき設計されたタイプ1(ビートル)をベースに開発された商用車がT1です。名称自体はなくマニアの間では型番で呼ばれることが多いためT1と表記していますが、日本の車好きにはワーゲン バスと言うと通りが良いかもしれません。
フェルディナント・ポルシェによって開発されたタイプ1のシャシーは非常に汎用性に優れており、軍用車のキューベルワーゲンや水陸両用のシュビムワーゲンはもとより、往年の名スポーツカーポルシェ356のベースにも採用されました。そうした汎用性を活かして写真のように、キャブオーバーボディを仮装した商用車がT1です。
フォルクスワーゲン・タイプ1(1938~2003)
T1のベース車両となった、ナチスドイツによる国民車構想により生み出された名車です。RRのエンジン・駆動レイアウトを採用した小型乗用車で、特にその卓越したデザイン性から今でも高い人気を誇る一台です。1938年から2003年まで、モデルチェンジされることなく70年近くにわたり販売され続け、2000万台以上の車両を生産。世界でもっとも生産・販売されたモデルです。
その優れたRRレイアウトは現在のポルシェ911に、デザイン性はフォルクスワーゲンのニュービートルへと、現在もその流れは受け継がれています。
BMC・ミニ(1959~2000)
イギリスのBMCから販売されていたFFレイアウト採用のコンパクトカー。現在でもミニの名称で親しまれている1台です。現在のコンパクトカーを先取りしていたかのような、使い勝手の良いパッケージングは、登場当初は革命的とまで言われました。
現在のミニはBMWの1ブランドという形で販売され続けています。その特徴的なデザイン性は、一目でミニと分かり、現代でも十分通用する魅力にあふれていますね。
ポンティアック・テンペスト(1964)
画像は、GMの1ブランド、ポンティアックから販売された4ドア FRセダンのテンペストです。画像の車両は2代目にあたり、搭載される6.6L V8エンジンは最大330PSを発揮。全長も5mを超える迫力のアメリカンセダンとなっています。草ムラにたたずむその姿は、威風堂々としています。
オペル・オリンピアレコルト(1953~1957)
ドイツの乗用車メーカー オペルが第二次世界大戦後に販売したオリンピアの後継車種で、4年の間に58万台も生産されたベストセラーです。40馬力を発生させる1.5Lエンジンを搭載し、最高速度は120km/h、デザイン性の優れたスタンダードモデルです。1950年代特有の押しだしの強いフロントフェイスや、クロームのモールディングといった特徴は、廃車画像からも見て取れます。このレコルトの名称は1986年でオメガに改名され、現在レコルトの名称は残っていません。
廃車の背景を知ると、より哀愁を感じられる
廃車はそのうち捨てられた姿だけでも哀愁を感じさせますが、その車の背景や過去の栄光、活躍していた姿や開発の背景などを知ると、過ぎ去った時代にまで思いをはせることができるのではないでしょうか? こうした廃車が自分の愛車のものだったなら、そこから巻き起こる感情は、さらに高まることでしょう。
【関連項目】
これはすごい!細部まで表現されたカプセルトイ「廃車コレクション2」を全種集めてみた