自販連(日本自動車販売協会連合会)と軽自協(全国軽自動車協会連合会)は今月5日、7月度の新車販売台数ランキングを発表しました。そこで、その結果から見えてくる各車の動向を読み解いていきましょう。
それによると、7月の車名別国内新車販売台数は、ホンダのN-BOXが前年同月比11.4%増の14,5031台で4カ月ぶりの首位。フルモデルチェンジの情報がすでに出回っているのにもかかわらず、いまだに好調な販売を続けています。
日産自動車のノートが12,431台で2位、3位も12,137台 で日産の「デイズ」となり、日産車の好調ぶりが目立つ結果となりました。4位はトヨタのプリウスですが56.9%減の102,057台にとどまり、5位は同じくトヨタのアクアでやはり23.8%減の 12,005台と低迷。6位には、6月にマイナーチェンジされたホンダのフィットが 11,908台で久々のベスト10入りをはたしました。
新車販売台数ベスト10
順位 | 車名 | メーカー | 当月台数(台) | 前年比(%) |
1 | N-BOX | ホンダ | 14,503 | 111.4 |
2 | ノート | 日産 | 12,431 | 128.0 |
3 | デイズ | 日産 | 12,137 | 161.4 |
4 | プリウス | トヨタ | 12,057 | 43.1 |
5 | アクア | トヨタ | 12,005 | 76.2 |
6 | フィット | ホンダ | 11,908 | 124.1 |
7 | タント | ダイハツ | 11,710 | 91.6 |
8 | ミラ | ダイハツ | 11,670 | 194.9 |
9 | ワゴンR | スズキ | 10,609 | 152.2 |
10 | ムーヴ | ダイハツ | 9,735 | 136.8 |
登録乗用車 ノート4か月ぶりの首位
トップは2017年3月以来の日産ノート。6月、7月と、各車のマイナーチェンジが相次ぎ、それぞれ順位を上げていますが、ノートは順位が変動しながらも、「e-POWER」の評価が浸透してきた結果、前月比、前年比とも確実に上げ、プリウスやアクアの失速もあって首位に返り咲いたことになります。
ラインナップを充実させたアクアやフェイスリフトを果たしたフィットなど、相変わらず激戦となっているコンパクトカークラスでは、不振が続いていたフィットがマイナーチェンジ後に販売台数を大きく伸ばし、アクアに僅差までせまっています。マイナーチェンジでは見た目の変化は少ないものの、「ホンダセンシング」に代表される安全性能を充実したことをユーザーに訴求した結果の好成績になりました。
この安全性能を充実させて販売が好調に転じた例としては、SUBARUのインプレッサやマツダのCX-3が同じように台数を伸ばしています。
6位以降では、マイナーチェンジ後にヴォクシーが急上昇し、同じくハリアーも順調な販売を続けています。逆に不振なのが、前年比43%台というプリウス。発売後1年半ほどでの危機的状況は歴代で初めて。そして好調だったC-HRも前月を大きく下回っており、ハリアーの好調さの裏で、SUVが並びたたない状況とも言えます。
不振のトヨタの中では、新型カムリが前年比700%超えで26位に初登場したことが好材料。今後の伸び率が期待されます。
日産ではセレナとエクストレイルという「プロパイロット」搭載車のもたつきが気になります。ともに前年比こそ大幅に上回っていますが、これまでの圧倒的な勢いは見られません。
注目のリーフは9月末の発表
登録車最大の話題は9月6日とされるEV新型リーフ。発売日は未定ながら、発表と同時に予約注文は始まるとみられ、他の車種への影響も少なくないと思われます。中でも最も影響があると思われるのが、ノートです。「e-POWER」のノートにとって、その魅力を大きく上回るとみられる新型リーフは、その存在意義さえ左右する驚異となるはずです。
順位 | 車名 | メーカー | 当月台数(台) | 前年比(%) |
1 | ノート | 日産 | 12,431 | 128.0 |
2 | プリウス | トヨタ | 12,057 | 43.1 |
3 | アクア | トヨタ | 12,005 | 76.2 |
4 | フィット | ホンダ | 11,908 | 124.1 |
5 | C-HR | トヨタ | 8,069 | |
6 | ヴォクシー | トヨタ | 7,873 | 103.0 |
7 | インプレッサ | SUBARU | 7,645 | 224.7 |
8 | フリード | ホンダ | 7,399 | 465.2 |
9 | シエンタ | トヨタ | 7,044 | 64.2 |
10 | ヴィッツ | トヨタ | 6,988 | 81.5 |
N-BOX強し、最後までトップで新型にバトンタッチとなるのか
軽自動車の方も見てみましょう。7月の総合の販売台数は149,032台で、前年比111.3%と好調な売り上げを記録しています。ランキングでは、フルモデルチェンジ直前にもかかわらず、ホンダのN-BOXが他車を振り切ってトップを死守しました。
7月のトップ10の顔ぶれはいつもと変わらず、順位が多少入れ替わる構図。2位に入った日産デイズが前年比161.4%と健闘。前月は同じ2位でもN-BOXに7千台近くの差をつけられ、独走を許したものの、7月は2千台にその差を縮めていることから、いよいよN-BOXを追い抜くための射程圏内に入りました。
デイズの場合は、シリーズとしてデイズルークスも含んだ台数なので、同じ条件とは言えませんが、日産としてはあとわずかで登録車トップのノートと並んで、2冠達成という快挙を惜しくも逃しました。しかし、8月末にモデルチェンジするN-BOXは、さすがに8月の台数は落ちるとみられており、日産としては2冠達成の最後のチャンスとして8月は全車をあげての猛セールスを展開するはずです。
その他では、早くもミラが順位を下げていますが、前年比で見れば大幅なアップ。ムーヴは、マイナーチェンジの影響もあって順位を落としていますが、8月にどこまで順位を上げてくるのか注目されます。そして、今後の軽自動車の話題はいよいよフルモデルチェンジされるN-BOXにつきるでしょう。
注目は8月31日発売のN-BOX!
モデルチェンジ直前までトップを独走する現行N-BOXに対して、よりプレミアム感が強まる新型がどのような評価を受けるかが注目されますが、大ヒット間違いなしという下馬評をよそに、現行モデルが今でも売れ続けているのは、購入時に新型の情報を提示してもらってもなお、あえて新型を予約せず現行モデルを選ぶ理由は、新型の変化が乏しいのか、価格が大きく上昇したためなのか。
それでも、8月31日に正式な発売日を迎えるスケジュールとなっており、既に予約受付もスタートしており、多数のバックオーダーを蓄えつつあるようです。
順位 | 車名 | メーカー | 当月台数(台) | 前年比(%) |
1 | N-BOX | ホンダ | 14,503 | 111.4 |
2 | デイズ | 日産 | 12,137 | 161.4 |
3 | タント | ダイハツ | 11,710 | 91.6 |
4 | ミラ | ダイハツ | 11,670 | 194.9 |
5 | ワゴンR | スズキ | 10,609 | 152.2 |
6 | ムーヴ | ダイハツ | 9,735 | 136.8 |
7 | スペーシア | スズキ | 8,172 | 120.8 |
8 | アルト | スズキ | 6,894 | 89.8 |
9 | ハスラー | スズキ | 5,822 | 86.8 |
10 | N-WGN | ホンダ | 4,858 | 78.9 |
【関連項目】
2017年上半期新車販売ランキング発表、王者プリウスを抑えたのはN-BOX!