事故車オークションとは
読んで字のごとく、事故車の取引をするオークションです。そもそも事故車がオークションするほどの価値と取引量があるのか?という疑問があるかもしれません。しかし、例えボロボロで廃車寸前の事故車であっても、クルマには必ず値打ちが付くということを覚えておいてください。
取引された事故車はパーツを取り出して売買、または修理して再度販売される場合が考えられます。一般的なユーザーに取ってみればよっぽどの事情がない限り、わざわざ事故車をほしがるということは少ないかもしれません。ただし、自動車を扱う業者にとって、事故車はいわば”宝の山”です。国外の輸出先の税関関係や輸送コストなど、事情によっては、車体を小さくカットしてコンテナに詰め込んで現地で溶接して組み立てるという方法が取られる事があります。自分で事故車以上にバラバラにしてしまうのですから、このような輸出をする業者にとっては評価額が下がった事故車の方が、都合が良いのです。
事故車の相場はどうやって決まるの?
当然ですが、事故車オークションではオークション形式で取り引きが行われます。つまり、車種や事故状況によって相場は常に変動するため、具体的な金額は決まっていません。ただし、中古車の相場には、いくつか見極めるためのポイントがいくつかあるので、押さえておきましょう。
①中古車相場価格の算出
新車と中古車が決定的に違う部分は1つ。ナンバープレートが付いているかどうかです。自動車登録番号が決定した瞬間、そのクルマは新車価格からおおよそ3~5割ほどが引かれた中古車の価格となります。(下落率は車種によってはこの限りではありません)。この新車同然の中古車価格から経年、走行距離、状態、人気の度合いなどによって最終的な中古車相場が決定します。
②事故車現状から修理し、中古車として売却した場合の相場を算出
次に事故車現状から、事故車を修理した中古車が一体どのくらいの相場となるのか、見積もりを行います。事故から修理された中古車は、①の価格から損傷具合や故障具合によって2~3割程度(こちらも損傷具合によってはさらに割合が大きくなる場合があります)値段が下落します。業界ではこのことを「事故落ち」と呼んでいます。見積もり後、実際に修理するかどうかを決めるのですが、修理する場合はその修理費用を事故落ちから減算。事故落ち価格より修理費用がかかる場合は、赤字となってしまいますので修理せずにパーツで取り引きします。
③買取店の利益と仲介店利益の決定
事故車を買う業者の利益と仲介手数料も考慮しなければなりません。②の項目で差し引かれたクルマからさらにこの2つも差し引かれて、最終的に残った金額が事故車の相場価格、つまり我々ユーザーがクルマを手放したときにもらえる金額となるのです。
オークションにおける中古車の相場価格決定のポイント
「オークションにおける中古車の相場価格」を決定するポイントにも触れておきましょう。まずは「需要がある=高値でも売れる」という需要と供給における法則は事故車オークションでも当てはまります。思った以上の値段が付く事故車というのは「既に生産終了していて修理部品すら不足している」「年式が古くても愛好家が存在する人気があるモデルだ」などのケースが考えられるでしょう。
例えば日産の初代フェアレディZ(S30型)の場合は、そのシリーズそのものが北米において人気があり、ビンテージカーとしての価値があります。ファンの要望で過去にはメーカーである北米日産もレストア販売を企画したこともあったほど。仮に事故車であってもパーツ単位で欲しがるユーザーがいるのは明白であり、仮にオークション出品がなされれば高値で落札されたとしても不思議ではありません。
また、バイクなど、二輪の場合も同様で、事故バイクや不動状態バイクを買い取りをする業者が存在し、オークションも行われています。取引後のバイクの流れも同じで、パーツ取り・修理販売・海外輸出など様々です。
事故車オークション会社一覧
USS:主に中古車をメインとしたオークションですが、事故現状車での出品がなされています。
株式会社 リプロワールド:上記のUSSの子会社です。USSそのものは中古車を取り扱う業者専用会場ですが、事故車を買い取りしてUSSへの出品などを行っています。
JBA ジャパンバイクオークション:こちらはバイクオークション。事故バイクもオークション対象となっています。
日本初の事故車特化オークション、リンカ―ダイレクト
さて、ここまでは一般的な中古車オークション会社を紹介してきましたが、日本初となる事故車に特化したオークションである「リンカーダイレクトオークション」についてもお話ししておきましょう。リンカ―ダイレクトは事故車・故障車・廃車などを専門に扱う会員制オークションサイトです。最大のメリットは、先ほど述べた仲介店手数料が一般的な値段と比べて安いという点にあります。事故車の相場価格が決定されても買取店利益と仲介手数料に多くのマージンが割かれ、結局手元に残る金額はわずか……ということがほとんどです。しかし、リンカーは売り手と買い手が直接取引するため、中間手数料も消費税もなく、通常よりも高値で事故車を売ることができます。
また、通常だと中古車オークションは一般の方が立ち入り禁止で出品や入札ができないのですが、リンカーダイレクトオークションでは個人での出品も可能となっています。
【関連項目】