フォード、日本市場撤退…!いま振り返りたい、日本で愛されたアノ名車たち

     
   

そのニュースは、年初に突然舞い込んで来ました。フォード、日本市場撤退…。

自動車の大量生産を初めて実現したことでも知られる同社ですが、日本ではコアなファンが存在していることでも有名です。ここでは、日本で一時代を築いたフォードブランドのクルマについて振り返っていきましょう。過去を遡るとかなりの台数がありますので、ここではかつてのフォードディーラーであった「オートラマ」設立以降のクルマについて見ていくことにします(マツダ車のバッジエンジニアリング含む)。

目次

■多くの顔を持ったコンパクト、フェスティバ

廉価な小型車を意味する「バジェットカー」の位置づけでデビューしたクルマが、フェスティバです。オートラマの看板車として据えられ、初代はキャンバストップや商用バン、スポーツモデル、セダンなど多彩なラインナップが魅力でした。中でも限定発売された「GT-A」は、旧き良きイタリアのホットハッチをイメージしたルックスが話題を呼びました。

初代フェスティバ

photo by Tennen-Gas(CC BY 3.0)

GT-A

photo by Ypy31(CC0)

■先進のメカニズムが特徴的な、レーザー

マツダ・ファミリアをベースとしたベーシックなコンパクトが、レーザーです。日本国外でも販売され、アジアやオセアニア諸国では現地生産も行われた実績があります。ターボやフルタイム4WDなど、先進のメカニズムで市場にアピールしていきました。5代18年に渡って生産された長寿モデルとしても有名で、現在でも見かけることが出来ます。

初代

photo by User:Two hundred percent(CC BY 3.0)

5代目

photo by Tennen-Gas(CC BY 3.0)

■国産としては珍しく、5ドアが似合ったテルスター

こちらもマツダ車がベースになっており、選ばれたのはカペラでした。3代目FFカペラをベースとした初代テルスターは、1982年に発売を開始。4ドアと5ドアのラインナップでした。2代目のディーゼル車には、量産車で2番目の例となる排気の圧力波を用いた「PWS(プレッシャーウェーブスーパーチャージャー)」が採用されました。なお、3代目はクロノス/MS-6がベースとなり、4代目からは再びカペラの姉妹車となります。

マツダ3代目FFカペラ

photo by CptnLanky (CC BY 3.0)

テルスター(初代)

photo by User:Two hundred percent(CC BY 3.0)

■偉大なる名車の後継車、プローブ

80年代、アメリカでは「セクレタリーカー」と呼ばれる、比較的手に入れやすい価格のクーペが人気を集めていました。このクラスでのフォードの代表的な車種が、プローブです。マツダとフォードが共同で開発したクルマで、欧州市場では名車「カプリ」の後継車として販売されました。2代目からはよりアメリカナイズされたデザインになり、GT色が強まります。もちろん日本でも初代〜2代目が販売されており、三菱・エクリプスなどがライバルとして挙げられます。

カプリ

photo by AmosWolfe(CC BY 3.0)

プローブ(初代)

■アメリカ生まれの大らかさ、トーラス

名車「LTD」の後継車として企画されたクルマで、ホンダ・アコードやトヨタ・カムリなどを研究して造られたのがトーラスです。空力を重視したボディが特徴的で、アメリカ本国では価格と装備のバランスが良かったことから、一躍大ヒットモデルとなりました。日本でも1988年より輸入開始、本国ほどではありませんでしたが「アメ車」に憧れを持つユーザーを引き付けることに成功し、ロングセラーモデルとして君臨し続けました。

LTD(Crown Victoria)

トーラス(セダン)

■現在もコアな人気を誇る、サンダーバード

「T-Bird」という愛称でも知られる、フォードを代表するスペシャリティクーペがサンダーバードです。それぞれの代に別称があることも有名で、日本に正規輸入されていたモデルは10代目の「スーパー・バーズ」でした。4輪独立懸架サスペンションを採用するなど、先進性も見受けられましたが、その根本となるものは旧き良きアメ車そのもの。大味な加速性能やハンドリングが魅力のクルマで、カスタムベースとしても人気があります。

サンダーバード(初代)

photo by Morven(CC BY 3.0)

スーパー・バーズ

■RVブームの火付け役となった、スペクトロン/フリーダ

じわじわと人気が高まりつつあったステーション市場に投入されたクルマが、スペクトロンです。3代目ボンゴがベースとして選ばれました。多彩なラインナップを誇り、RVブームにも乗じて販売台数も安定していたのが特徴です。1995年には、後継車となるフリーダが登場。スペクトロンも併売されますが、販売のメインはフリーダに譲る形となります。フリーダにはベースとなったボンゴフレンディ同様、ダイキョー・ベバスト製の「オートフリートップ」と呼ばれるルーフテント機能が用意されていました。

スペクトロン(初期型)

photo by order_242(CC BY 2.0)

フリーダ(前期型)

photo by Tennen-Gas(CC BY 3.0)

■コンパクトさでインパクトを与えた、イクシオン

マツダ初のコンパクトミニバン「プレマシー」をベースにしたクルマが、イクシオンです。基本的には通常のバッジエンジニアリング車同様、外観にオリジナリティを見せた以外はプレマシーとほとんど見分けがつきません。しかしプレマシーのベースの良さが光り、多彩なシートアレンジメントやコンパクトな車体からは想像がつかない室内の広さなど、アピール点は十分にあったクルマでした。

イクシオン

photo by CEFICEFI(CC BY 3.0)

プレマシー

■抜群の信頼感を誇る、働き者のJシリーズ

ボンゴシリーズがベースのクルマですが、こちらはバンやトラックというふうに、商用車のみのラインナップとなります。ちなみに、ボンゴベースのものが「J80」、ボンゴブローニィベースのものが「J100」と呼ばれました。専用設計であったのはほぼフロントフェイスのみでしたので、それ以外の部分はほぼ100%ボンゴでした。このため信頼性が大変高く、街のあちこちで働く姿を見ることが出来ました。

J80

J100

photo by BE FORWARD

■偉大なる「ポニーカー」、マスタング

スポーティな外観と手頃な価格、巧みな広告戦略が功を奏し「アメ車」の代表格ともいえるクルマが、マスタングです。日本でも、トヨタ・セリカがこの販売方法を倣ったことはよく知られています。日本で最も見られたモデルは5代目で、当のフォードもこのモデルの日本での成功には並々ならぬ情熱を注いだといわれています。現行モデルは、2.3L4気筒ターボエンジンにダウンサイジング。それでも熱い走りへの情熱は、かつてと変わりません。

マスタング(初代)

photo by Kroelleboelle(CC BY 3.0)

マスタング(5代目)

photo by Karrmann(CC BY 3.0)

■あの俳優も乗っていた!?エクスプローラー

長年北米売上げナンバーワンを誇る、フォードのSUVがエクスプローラーです。3代目までは従来のブロンコのようなワイルドな泥臭さがあり、それもまた魅力のひとつでした。2012年から販売される4代目からは、都会的な垢抜けたルックスで登場。モノコック構造のボディを採用するなど、メカニズムも大幅に進化して軽量化も達成しています。また韓流ドラマブームの火付け役「冬のソナタ」では、ペ・ヨンジュン氏扮するイ・ミニョンの愛車としても話題となります。

エクスプローラー(初代)

エクスプローラー(4代目)

■欧州フォードの戦略サルーン、モンデオ

長らく欧州フォードの主役であった「シエラ」の後継車として生み出されたクルマが、モンデオです。デビュー当初は、没個性的なデザインから消費者の間ではあまり話題にはのぼりませんでしたが、1994年度の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど、ジャーナリストの間では大変評価の高いクルマでした。初代モデルはツーリングカーレースにも積極的に参戦、まずまずの成績を残します。このスポーティなイメージが、のちのハイパフォーマンスモデル「ST220」につながり、日本ではマニア垂涎の存在となりました。

モンデオ(デビュー車)

photo by Rudolf Stricker(CC BY 3.0)

ST220

■ライバルに負けない実力派、フォーカス

それまでのエスコートの後を継ぐ形で、1998年にデビューしたのがフォーカスです。角を効かせながらも丸みを帯びた、今までにない造形は「ニューエッジデザイン」と呼ばれ、新世紀のフォードのデザインアイコンとなりました。内装も個性的で、ライバルであったフォルクスワーゲン・ゴルフなどとの差別化は十分に図られています。ラリーフィールドでも大活躍し、その技術を市販車にフィードバックさせた「ST」や「RS」シリーズは人気車種となりました。日本にも、STシリーズが正規輸入された実績があります。

フォーカス(初代)

photo by Attribution-Share Alike 3.0 Unported

フォーカス(ST)

photo by Axel Schwenke(CC BY 2.0)

■名は体をあらわす、Ka

フォードの最も小さなレンジを担当するクルマが、Kaです。その名の通り「クルマ」を意味するこのクルマは、小さいながらもフォードのこだわりが十分に感じられた質の高いものでした。ニューエッジデザインを採用し、コストを抑えながらも走りの質感に妥協は見られませんでした。日本では小室哲哉氏率いる「globe」とのコラボモデルがネット販売されるなどの話題がありましたが、マニュアル車のみのラインナップというところがネックとなり、販売は伸び悩みました。

Ka(初代)

photo by Sfoskett~commonswiki(CC BY 3.0)

Ka(2代目)

■多くの国で愛されている小さな巨人、フィエスタ

フォルクスワーゲン・ポロやオペル・コルサなどがライバルとして挙げられる、Bセグメントのハッチバックがフィエスタです。140以上の国と地域で販売される、文字通りフォードの世界戦略車となります。ホットハッチである先代「ST」などに目が行きがちですが、現行の1L エコブーストエンジンも燃費特性や低速トルクの立ち上がりの良さなど侮れない部分が多くあります。軽い車体も相まって、ワインディングではスポーツカー顔負けの高い走行性能を見せてくれます。

フィエスタ(初代)

photo by Attribution-Share Alike 3.0 Unported

フィエスタ(4代目)

photo by Aero777(CC BY 3.0)

■マニアには珍重された、ギャラクシー

かつてはフルサイズのノッチバックモデルとしてその名を轟かせていたギャラクシーですが、1990年代に入るとミニバンの名称として復活します。このクルマはフォルクスワーゲンとの共同開発プロジェクトで生まれたもので、フォルクスワーゲンでは「シャラン」と名乗っていました。ボディサイズは幅が1,810mmと大柄で、日本での取り回しはあまり良いとはいえないものでした。しかし室内は大変広く、知名度の低さからコアな輸入車ユーザーには好まれたクルマです。

ギャラクシー(初代)

photo by Lars-Göran Lindgren Sweden(CC BY 3.0)

ギャラクシー(復活したミニバン型)

photo by Rudolf Stricker(CC BY 3.0)

■アメ車じゃないのにアメ車っぽい、エスケープ

マツダ・トリビュートの姉妹車として販売されていたのが、エスケープです。モノコックフレームを採用したことが話題となりましたが、これはエスケープ/トリビュートのために新規設計されたものです。姉妹車とはいえ、外板はトリビュートとは全く違うものを採用し、オリジナリティに富んだエクステリアとなっているのも特徴です。このエクステリアは年を追うごとにアメリカナイズされ、ワイルドさが増していきました。

エスケープ(初代)

photo by Tennen-Gas(CC BY 3.0)

エスケープ(3代目)

photo by Explorationofspace(CC BY 3.0)

■侮れない高い走破性が売りの、エコスポーツ

中南米専売モデルであった初代と異なり、グローバルカーとして販売された小型SUVが2代目エコスポーツです。フォードのSUVラインナップとしては最もベーシックなレンジにあたり、廉価なことから日本でも話題になったモデルでした。デザイン的にはフィエスタに似通ったものになっており、空力性能にも優れています。日本では1.5L+パワーシフト(DCT)を採用したモデルが、販売のメインに据えられました。走りの性能も高く、特に悪路走破性は特筆すべきものがあります。

エコスポーツ(初代)

photo by Rkt2312(CC BY 3.0)

エコスポーツ(2代目)

photo by AVIA BavARia(CC BY 2.0)

■欧州フォードを代表する小型SUV、クーガ

ニューエッジデザインをさらに進化させた「キネティックデザイン」をモチーフに開発されたSUVが、クーガです。オフロードの高い走破性はもちろんですが、このキネティックデザインによるファッショナブルなエクステリアこそが、クーガの最大の持ち味といえるでしょう。生産はドイツで行われ、欧州フォードの看板SUVとして君臨しています。ダウンサイジングエンジンであるエコブーストも採用され、環境にも十分配慮されたクルマとなっている点もポイントです。

クーガ(初代)

photo by Tx-re(CC BY 3.0)

クーガ(2代目)

photo by M 93(CC BY 3.0) 

■好事家以外にも是非アピールして欲しかったブランド

ここで挙げた以外にも、アメリカの高級車の代名詞であるリンカーンブランドも取り扱っており、フォードディーラーが扱う車種は実に多様だったことが分かります。しかし、日本市場では本来欧州フォード扱いの車種まで一般の顧客には「アメ車」と思われ、欧州車としての素性の良さを好事家以外には十分にアピール出来ていたとはいえませんでした。ここが、日本市場で今ひとつ受け入れられなかった一番の要因かもしれません。すでに今後の車両サービスの受け入れ先も決まっている、日本のフォード車。再上陸の予定はもちろんまだ未定ですが、魅力的なクルマが多いブランドだけに是非もう一度日本で走る姿を見てみたいものですね。

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