こんにちは、里美です。高級車に乗った男と結婚したくてこれまで頑張ってきて多くの出会いがあったのですが、結婚するようなお付き合いには至らず。結婚相談所でも「無理です」と厳しい現実を突きつけられてしまいました。しょんぼりしながらも、まっすぐ家に帰りたくない気分だったところに飛び込んできたのは、関川くんからのLINE。しかも内容は「僕、振られちゃいました」というもの。
今回の登場人物
里美…30歳、某IT企業勤務。大学生の頃からセレブな男性とばかり付き合ってきた。そろそろ結婚しないとマズイかなと思い若干焦って婚活中であるものの、生活レベルは落としたくないので難航気味。瀧本美織似。
関川くん…30歳、里美の大学の同級生。学生時代はオタクだったが、起業し現在はテスラに乗るほど成功している。里美の友達のゆかりに片想い中だったが振られる。
失恋といえば……海
私自身が気晴らししたい気分だったこともあり、どうしても海が見たいとお願いして着いた場所は海ほたる。
photo by HOLIHAPI
スターバックスでコーヒーを買って、横並びで座った私たち。ぽつりぽつりと関川くんが振られた経緯を話し始めました。どうやら、意を決して「結婚を前提に」とゆかりに告白したものの「関川くん程度の稼ぎじゃ話にならない」とバッサリ振られたそう。
私はゆかりからも話を聞いていたので事情を知っていたのですが、途中で口を挟むのも野暮なので素知らぬフリで最後まで話を聞きました。実は、ゆかりは関川くんがいい人だからこそきっぱり諦めるように酷い言い方で振ったのですが、それを教えても誰もハッピーにならなそうなので黙っておくことにします。
一通り話し終えた関川くんでしたが、話してスッキリしたのか案外元気そうな顔に戻っています。
関川「恋愛って難しいですね(笑)」
里美「そうだよね、うまく行かないよね。私の婚活も全然だよ」
テスラ男・関川から、まさかの…
関川「吉村さん、それならいっそ僕達結婚しちゃいませんか?」
里美「え、えええっ。関川くん……ゆかりに振られておかしくなってない?」
関川「タイミングがタイミングだからそう聞こえるかもしれないけど、仕事柄僕も一応経営者なんで切り替えと判断は早いんですよ。吉村さんの婚活に付き合って色々出かけたりして、楽しかったし僕が本当に気を遣わずに話せるのって吉村さんくらいなんですよね。吉村さんとだったら、結婚しても自然体でいられそうだし。実は僕、学生の頃は吉村さんにちょっと憧れてたんですよ。僕がLINEしたら心配してすぐにこうやって会ってくれるところとか、グッと来ましたよ」
里美「関川くん……」
実は私も、マキコの結婚相談所で前回ボソクソに自分の市場価値を指摘されてやっと気付いたんです。無理して背伸びしても結局はどこかで失敗するのかもしれない。もっと自分が等身大で付き合える人が本当にいいんじゃないかなって。
正直にいうと、高級車に乗ってる男と結婚した後にもしその人が貧乏になったら離婚すればいいやって簡単に考えていたんです。リーマンショックの頃、外資系金融の男と付き合っていた子達はみんなさっさと見限って別れていたし。すぐに次を見つけていたんですから。
でも、散々婚活に手こずってやっと気づいたのは、意外と世の中甘くないってこと。独身で頑張ってる男達は忙しくて婚活市場になかなか出回らないし、「フェラーリに乗ってるイケメン医師」みたいな男は120%の割合ですでに結婚している。アラサー女をチヤホヤしてくれるのは、暇と、性欲と、家庭では満たされないプライドを持て余した既婚者ばかりでした。
関川くんみたいにオタクっぽくて、真面目でコツコツ頑張っている男性を、正直な話私はずっとバカにしていました。だけど、本当はそういう人が一番安心できるのかもしれない。そして、関川くんはテスラにも乗ってるしそこそこお金持ちです。学生時代に比べたら女の子の扱いにも慣れていて、今ならかなりモテるはず。私にはもったいないくらい。
テスラのモデルSからポルシェのマカンGTSへ
1年後、私たちは結婚しました。
大学の同級生たちからは「関川と吉村が?!」と散々驚かれましたが、落ち着くところに落ち着くと何もかもトントン拍子に進むものですね。こんな展開になるなんて全く考えていなかったけど、来年早々には女の子が産まれる予定です。
出産に備えて車も、テスラのモデルSからポルシェのマカンGTSをオーダー中なんです。試乗したらスポーティーな乗り心地に関川くんもすっかり気に入ってしまい、乗り換え決定。といっても未だに人気が高くて8ヶ月待ちなので2人で今からとても楽しみにしています。
photo by Loadbeta(CC BY 1.0)
あっ……もしかして、テスラのモデルXという選択肢はなかったのかと思いました?残念ながらあのガルウィングは我が家の立体駐車場には入らなかったんです。日本のマンションにはなかなか難しい車ですよね、あれは。カッコいいですけど。
ええ、今はとっても幸せです。もし、タイムマシンで昔の私に会えたら言ってあげたいですね。「お金や車だけで男を選ばないほうがいいよ。幸せの青い鳥は意外と近くにいるよ……」って。
でも、正直いうとやっぱり私はお金も大事。「ダンナさん、クルマ何乗ってるの?」って聞かれて「いまはテスラ、マカンの納車待ちなの」って言ったときの相手の羨ましそうな顔、優越感が満たされますから。
キラキラ女子から勝ち組妻へステップアップできた私は、打算と言われようがこの幸せを逃さないように生きていくつもりです。
--「キラキラ女子とクルマ」終わり。
【関連記事】
【キラキラ女子とクルマ】同級生と再会…ついにテスラでドライブデート!