自動車のクリープ現象の基礎知識!メーカーやミッションによって速度や強さが違う?電気自動車にクリープはある?

自動車のクリープ現象の基礎知識!メーカーやミッションによって速度や強さが違う?電気自動車にクリープはある?
     
   

さて、今回はAT車では当たり前の「アクセルを踏まなくても車がゆっくり動く現象」についてご説明します。

この「アクセルを踏まなくても車がゆっくり動く現象」を専門用語ではクリープ現象と呼びます。AT車を運転したことのある方なた皆さんご存知のこの現象、実はクリープ現象が起きないAT車もあるってご存知ですか?

今回はこのクリープ現象の仕組みやエンジン・ミッションの違いによるクリープ現象の違いなど、普段はあまり気に留めることの少ないクリープ現状にスポットを当てていきたいと思います。

クリープ現象とは?

では、そもそもクリープ現象とはいったいどのような現象をさしているのでしょうか?

先ほど冒頭で例に挙げた「アクセルを踏まなくても車がゆっくり動く現象」がクリープ現象であることは間違いないのですが、正確には「アクセルを踏まなくても車がゆっくり動く現象」がすべてではありません。

クリープ現象とは車のエンジンの回転エネルギーがミッション装置を伝い、タイヤに届くことで起こっている現象です。

エンジンとミッションの関係性から発生する現象ですので、ギアがバックに入っていればクリープ現象も後ろ向きに動こうと働きます。

クリープ現象の仕組み

それではクリープ現象が発生するくわしい仕組みについて見ていきます。

引用元:車の大辞典

先ほど、クリープ現象はエンジンとミッションの関係性から発生するとご説明しましたが、もっと詳しく言えばミッション装置の中の「トルコンバーター」と呼ばれる機構にエンジンの動力が伝わる事でクリープ現象は発生しています。

「トルコンバーター」とは流体の力を利用して動力を伝える一種の継手で、自動車のトルコンバーターの内部にも専用のオイルが重点されています。

エンジンで発生した動力は軸を伝ってトルコンバーターに伝わります。その時エンジンと可変速装置はトルコンバーターによってつながっていますが、ギアのように機械的な結束はありません。

アイドリング状態などでエンジンの動力(回転)が緩やかにトルコンバーターに伝わると、トルコンバーター内部のオイルが流れを生み出し、その力がギアや如いてはタイヤまで伝わり車が微速移動を開始します。

これがクリープ現象の正体です。

CVT車やDCT車、電気自動車にクリープ現象はある?

では、クリープ現象は車であればどんな車でも発生する現象なのでしょうか?

答えは「」です。

先ほどご説明した通り、クリープ現象はエンジン(動力源)とトルコンバーターによって引き起こされる現象です。そのためMT車のように最初からトルコンバーターの構造を持っていいない車ではクリープ現象は発生しません。

では、ここからは各ミッション方式やエンジン方式の違いによるクリープ現象の有無とその理由を見ていきます。

CVT車のクリープ現象

最初にご紹介するのは、最近のAT車では主流になりつつあるATの形式「CVT」についてです。

結論から言えばCVT車にクリープ現象は発生しません。その理由はCVT車にはトルコンバーターの仕組みが搭載されていない為です。そのため、CVT車では絶対にクリープ現象は起こりえません!

ここまで断言してしまうと「でも、私の車はCVTだけど、自然と前に動く!」ってゆうCVT車のオーナーさんの突っ込みあ機超えそうですが、間違ってはいません。

CVT車に乗ていて通常のAT車のように勝手に車が動き出す現象は、クリープ現象ではなく運転のアシスタント的な意味合いでメーカーが後から強制的にクリープ現象に似たうごきを作り出しているだけなのです。

つまり、偽物のクリープ現象というわけです。

DCT車のクリープ現象

クラッチと呼ばれる動力伝達装置を2つ有する構造のミッションです。このDCT車も基本的にはトルコンバーターを持ていませんのクリープ現象は発生しません。

しかし、一部の車種にはトルコンバーターとツインクラッチを組み合わせた構造のものあり、すべてのDCT車でクリープ現象が絶対に発生しないとは言い切れません。

通常はCVT車と同様に、クリープ現象とにたうごきとなるように自動車をコントロールして疑似クリープ現象を発生させているというのが現状です。

電気自動車やハイブリッドカーのクリープ現象

引用元:COURRUER

こちらも最近見かける機会の多くなった人気の駆動方式です。しかし、電気とガソリンエンジンを併用する多くのハイブリッド車の場合、電磁式クラッチが採用されているためクリープ現象は原則発生しません。

普段乗りなれたハイブリッド車がクリープ現象にちかい現象を見せるのは、あくまでもこれまでご紹介してきたCVTなどと同様に、運転のアシストとして、強制的に追加された機能です。

クリープ現象の速度や強さは車によって違う?

クリープ現象はエンジンとミッション(トルコバーター)の複雑な関係によって発生していることは説明済みですが、では実際のクリープ現象はすべて同じなのでしょうか?

実はクリープ現象を引き起こしている原理は非常に単純です。しかしその反面様々な外部や内部の状況の変化によって大きく影響を受ける傾向にあります。

その原因は、トルコンバーターの動力伝達手段が液体であることに大きく関係しています。

トルコンバーター内部の液体はオイルです。オイルは熱や劣化などによって絶えずその粘度が変化しています。

このオイルの状況の変化は、クリープ現象の変化に直結します。

この他にも車はエンジンやミッションなど様々な機構が運転やその他の環境の変化などによって、それぞれの機構の状況は刻一刻と変化を続けています。

そうした様々な変化が、クリープ現象の変化に繋がっていきます。

同じ車でもクリープ現象が強くなることがある?

例えば、同じ車でもクリープ現象が変化することはよくある事象です。では同じ車でのクリープ現象の変化にはどのような要因が関係しているのでしょうか?

クリープ現象の変化の原因には次のようなものが考えられます。

・エンジン始動時のアイドリングアップ

・冷間時のオイルの粘度上昇

・消費電力の変化

冬の寒い朝などはエンジンを始動すると車は早くエンジンを温めようとアイドリング時の回転数を意図的に上昇させます。もちろんエンジンが勢いを増して回転するわけですから、その力はトルコンバーターに伝わり、クリープ現象はつよく発生します。

また、同じように寒い日の朝などはトルコンバーター内部のオイルの粘度が上昇し、オイルが硬くなることでトルコンバーター内部の動力伝達効率がアップし、結果としてクリープ現象を強く引き起こすことに繋がります。

消費電力の急な変化でもクリープ現象の強弱は変化します。

例えば、夏場に使用する機械の増えるエアコン。

エアコンは作動していると、コンプレッサーと呼ばれる機構を動かしたり、止めたりを繰り返しています。この時コンプレッサーのオンオフに関連してエンジンの回転数も大きく変化します。

エンジンの回転数が変化することで、結果としてクリープ現象が変化するのです。

追突事故などクリープ現象の注意点

運転する上で、何かと便利なクリープ現象現象。渋滞中などはアクセルに足を掛けることなくブレーキ操作のみで前の車を追従している!なんてかたも多いかと思います。

しかし、常に一定の速度や加速だと思い違いをしていると、追突事故や思わぬトラブルの原因となってしまいます。

前項でお話ししたように、クリープ現象の発生状況は車の状況や外的要因によって常に変化を繰り返しています。

非常に便利な機能であるクリープ現象ですが、その特徴や原理を理解して適正に使用することが一番です。

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