2018年度の自動車販売台数年間ランキングで、堂々の7位を獲得したのがホンダ「フィット」です。
現在「フィット」は、ホンダでは最大の売れ筋モデルといえます。
トヨタでいうところの「プリウス」や「アクア」のような位置づけです。
ちなみに現行モデルである「3代目フィット2013年モデル」は、発売約1ヶ月間で6万2千台以上の受注を獲得する快挙を果たしました。
では「3代目フィット2013年モデル」とは一体どんな車なのでしょうか?
今回は「3代目フィット2013年モデル」と「フィット2017年マイナーチェンジモデル」について詳しくご紹介します。
フィットのカテゴリー コンパクトカーのベンチマーク!
フィットのカテゴリーは、ゴリゴリの「コンパクトカー」です。
元々フィットは初代モデルから「コンパクトカーのベンチマーク」を目指す、という最上級のコンセプトを掲げて開発されてきた経緯があるモデルです。
そのため3代目フィット「3代目フィット2013年モデル」も、初代からのコンセプトを忠実に踏襲したモデルに仕上がっています。
ちなみにコンパクトカーとは、自動車区分でいうところの「小型車」であり「5ナンバーカー」のことを指します。
また3代目フィットは「乗員5人」「5ドア、ハッチバック(リアドアの開閉)」「ホンダ車内最小型車(軽自動車を除く)」という3つの特徴があります。
フィットのボディデザイン エキサイティング ”H”デザイン!
「3代目フィット2013年モデル」は、前モデルとボディデザインを比較するとあらゆる点で一新されました。
本モデルのデザインコンセプトは「エキサイティング ”H”デザイン」が掲げられています。
「エキサイティング ”H”デザイン」の意味を簡単にまとめると「エキサイティングで、ホンダらしい熱い情熱を持ったデザイン」ということです。
そして本モデルでの、ボディデザインの大きなポイントが「ソリッド ウイング フェイス」と「ディテールにこだわった仕上げ」の2つです。
3代目フィットのフロントマスクには、ホンダ車の証明あるアイデンティティ・デザイン「ソリッド ウイング フェイス」が採用されました。
「ソリッドウイングフェイス」とは、ホンダの「H」のロゴマークを中心にして、フロントグリルとヘッドライトが鳥が羽を広げているように見えるデザインのことです。
フィットのエクステリア担当のデザイナー南俊叙氏によると「H」マークを飾る台座のような力強いワイドアンドローの大きな塊とグリルとヘッドライトに一体感を持たせたデザインが「ソリッドウイングフェイス」のポイントだとおっしゃっています。
実は「ソリッドウイングフェイス」は、3代目フィット2013年モデルから始めて採用されたフロントマスクのデザインです。他のホンダ車にもその後随時採用されています。
「ディテールにこだわった仕上げ」とは、フロントマスク以外のサイド、ルーフ、リアデザインなどのディテールにもこだわったデザインということです。
3代目フィットはこれらのデザインを採用したことで、他社の車とは大きく差別化することに成功しました。
フィットの歴史 フィットのルーツはシティ・ロゴ!
フィットの直接のベースモデルはホンダ「ロゴ」です。
そのロゴのベースモデルというのが、1980年代に大ヒットした人気モデルホンダ「シティ」です。
シティは、当時明るくユーモアなテレビCMとトールボーイ・コンセプトという斬新なボディデザインで、日本のコンパクトカー界に一大旋風を巻き起こしました。
ただしシティはあまりにもボディデザインにこだわり過ぎました。その反省を込めて「実用性重視」にコンセプトを切り替え、新たに開発されたのがロゴです。
ところがロゴはそのあまりにも平凡過ぎるデザインから、ユーザーからの評価が低くわずか5年で製造が終了します。
そのロゴの反省点を生かして、2001年6月に発売されたのが初代フィットです。
初代フィットは、走行性能、低燃費、洗練されたスタイル、リーズナブルな価格、ユーザーを選ばない適合性などを実現して発売されます。
そして翌2002年には、国内年間販売台数でこれまで33年間首位を独走していたカローラを始めて破る快挙を成し遂げます。
この時を境にフィットは、ホンダでの稼ぎ頭の地位に位置付けられることになります。
フィットの年表
①2001年6月、初代フィット発売開始。
同年、2001-2002日本カー・オブ・ザ・イヤー、2002RJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞する。
・2004年6月、初のマイナーチェンジ。
・2005年12月、2度目のマイナーチェンジ。
・2007年7月、フィットの世界累計販売台数が、6月末時点で200万台を突破する。
②2007年10月、2代目フィット発売開始。
・2010年10月、2代目フィット初のマイナーチェンジ、フィット ハイブリッド発売開始。
・2012年5月、2度目のマイナーチェンジ。
・2013年4月、日本国内だけでの累計販売台数が200万台を突破する。
③2013年9月、3代目フィット発売開始。
・2017年6月、3代目フィット初のマイナーチェンジ。
④2020年2月、4代目フィット発売予定。
フィットのパワートレイン アース・ドリームス・テクノロジー技術!
3代目フィットのパワートレイン技術は、「EARTH DREAMS TECHNOLOGY(アース・ドリームス・テクノロジー)」です。
この技術のポイントは「CO2の排出量を2000年比で30%の低減を目指す」という目標から開発されました。
簡単にいうと、エンジンがダウンサイジング化(小型、高性能、高燃費、低炭素)されるということです。
具体的には前モデルで搭載されていた「SOHCエンジン」が全て廃されました。
よって3代目フィットからは全て「DOHCエンジン」に入れ換えられました。
ガソリン車のエンジンは、1.3L車用の「L13B型 1.3L 直列4気筒DOHC」と1.5L車用の「L15B型 1.5L 直列4気筒 直噴DOHC 」の2種類が開発されています。
ハイブリッド車のエンジンは、1.5L車用の「LEB型 1.5L 直列4気筒DOHC」が開発されています。
またハイブリッド車のモーターは「H1型 交流同期電動機」が採用されています。
3代目フィットに搭載された、エンジンの質が向上したことで、前モデルに対して小型、高性能、高燃費、低炭素化が実現しました。
フィットのインテリアの特徴 ソフィスティケイテッド・フューチャリスティック・コックピット!
3代目フィットのインテリアが求めているものは、コンパクトカーの枠に納まるのではなく、グローバルカーとしての高いクオリティーを追及していることです。
また3代目フィットのインテリアのコンセプトは「ソフィスティケイテッド・フューチャリスティック・コックピット」です。
このコンセプトには「先進的で質感の高いコクピット」というホンダの願いが込められています。
3代目フィットは、広さと快適性を継承しながらも「上質感」と「操作性の高さ」を同時に実現しています。
先進的な室内で、操作に集中できるコックピット環境、解放感溢れるサブシート、ストレスとは無縁なリアシートなどのスペックやバリューの向上を徹底的に追求しました。
また今回のモデルチェンジでは、インパネ周辺にフィット初の「ピアノブラック」と「シルバーライン」を採用しました。
「ピアノブラック塗装」と「高輝度シルバー塗装」をインテリアに配することで、ワンランク上の高級感を印象付けてくれます。
またシートや内張りにも格別なこだわりを見せています。
シートは、上級グレードのシートを新たに設計することで、サイズダウン化して「ホールド感」「座り心地」「振動吸収性」を大幅に向上させることに成功しました。
さらに操作性と使い勝手を向上させるために、直感的な視認に対応したメーター系統、ストレスのないスマートタッチを実現したスイッチ系統、ユーザビリティーを格段に高めた収納スペースなどが新たに採用されました。
3代目フィットのインテリアは「上質感」「スマート性」「使いやすさ」を実現することに成功しているのではないでしょうか。
フィットのサイズ・スペック
こちらでは3代目フィット2013年モデル「13G(1.3L) ガソリン車」のサイズとスペックについてご紹介します。
全長×全幅×全高
3955×1695×1525mm
車両重量
970kg
総排気量
1317cc
最高出力
73kW
最大トルク
119N・m
燃費(JC08モード燃費)
26.0km/L
フィットのセールスポイント
こちらでは3代目フィットの次の「高効率なインテリアスペース」「コンパクトカー最高レベルの燃費」「デザインと走行性能」の3つのセールスポイントについてご紹介します。
①高効率なインテリアスペース
前モデル以前のフィットも「センタータンクレイアウト」を採用していることで「ミニ・ミニバン」の異名を持つほど、コンパクトカーの限界に挑んだ室内空間を確保していました。
ところが3代目フィットは、全長で55mm、ホイールベースで30mmの延長を実現、これによりさらに室内空間を拡充させることに成功します。
3代目フィットへのフルモデルチェンジは「コンパクトカーナンバー1の広さ」ということを多くのユーザーに印象付けました。
②コンパクトカー最高レベルの燃費
3代目フィットハイブリッドモデルは、コンパクトカー最高レベルの燃費、JC08モード燃費で36.4km/Lを実現しました。
またガソリンエンジン車も26.0km/Lを達成しています。
コンパクトハイブリッドカー、ガソリン車でも最上位の燃費の高さです。
③デザインと走行性能
3代目フィットのデザインは、ホンダのデザイン部門のツートップが担当しています。
エクステリアが南俊叙氏、インテリアが朝日嘉徳氏がそれぞれ担当しています。
彼らは今回フィットに「エキサイティングHデザイン(ホンダらしい情熱的なデザイン)」を導入しました。
走行性能は、搭載エンジンを「SOHCエンジン」から「DOHCエンジン」にダウンサイジング化することで、コンパクトながらも力強い走りを実現しました。
フィットのマイナーモデルの変更点のご紹介
2017年6月に、3代目フィットはマイナーチェンジを果たしました。
このマイナーチェンジでは、安全運転支援システム「Honda SENSING」が採用されました。
エクステリアの変更点は、フロントとリアバンパーのデザインが変更されました。
さらに上級モデルではバンパー、大型テールゲートスポイラー、サイドシルガーニッシュなどを新たに搭載しました。
ベースグレードモデルのフロントバンパーは、ヘッドライトとの一体感を高めて、より洗練されたデザインに昇華されました。
また「S」と「RS」グレードのフロントバンパーは、立体的ではっきりとしたデザインとなり、フォグランプが〇型になったことで、ベースグレードモデルとの違いを際立たせています。
また外観だけでなく、ステアリングフィールや乗り心地なども大幅に改善され、格段に操作しやすく、乗り心地良く仕上がっています。
マイナーチェンジとは思えないような手の込みようです。
フィットのライバル車
3代目フィットのライバル車は、トヨタアクア、トヨタ ヴィッツ、日産ノート、スズキ スイフト、マツダデミオなどです。
2018年度の年間販売台数のランキングでは、1位日産ノート、2位トヨタアクア、7位フィットの順でした。
2020年2月には、フィットのフルモデルチェンジが予定されていることから、また大きく順位が入れ替わることが予想されます。