車は、日々騒音や雑音にさらされやすい乗り物ですね。
エンジン自体や外からの音など、ありとあらゆる音に囲まれているといっても過言ではないかもしれません。
日産は、ラスベガスで開催(2020年1月6日)されたCESトレードショーブース内で、車のキャビンを静かにし、エネルギー効率を高めることができる新しい素材を展示しました。
この新しい遮音材の登場によって、いったいどのくらい人や車にとって、プラスになるのかを筆者なりに検証していきます。
CESトレードショーで展示された遮音材とは?
今回日産で開発された遮音剤は、一般的に使用されているゴム材質とは違い、周期的格子ディテールとフィルムを組み合わせた非常にシンプルな構造です。
日産では、「音響メタマテリアル」という名称で発表されました。
構造と素材によって音が伝わる際に起こる、空気の振動自体を制御することで、エンジン音やロードノイズなど、車内に入ってくると騒音となる広い周波数帯(500から1200Hz)の音を効果的に遮ることが可能な材料です。
構造上シンプルな遮音材となるので、量産化が実現したならば、従来のゴム材質と同等かもしくはそれ以上に価格競争力も備えた「遮音材」となるとのことです。
市場に広く出回ることへの期待も高まりますね。
「音響メタマテリアル」開発のきっかけとなったのは?
2008年当時から日産は、電磁波領域で使用されていた高感度アンテナに利用されていたメタマテリアルの技術に注目していたようです。
EVモデルのトップランナーとして、初代リーフを2010年にリリースした後、ユーザーから「静かな空間が、快適な移動を生む」という多数の声があったことから、開発することになったようです。
やはり筆者は、ユーザーの声って大事であると考えます。また受け止めるメーカーも重要といえますね。
この遮音材を使用した場合の効果は?
これから量産体制が整い、広く普及することを前提に、日産が新しく開発した遮音材がどのような効果をもたらしてくれるのかを検証してみます。
・通常使用されている遮音材は、通常(500から1200Hz)の周波数帯の遮音には、ゴム材質のものが多く使用されています。
ゴム材質を使用した場合の1/4の重量で、同等の遮音効果が得られます。
ということは、
①車両重量が、少なくなる可能性が高く、燃費向上や環境に寄与してくる可能性が高まります。
②1/4の重量ということは、仮に2倍の量を使用して、効率よく遮音性を高めても、車両が軽くなる可能性も秘めていますよね
③モデルによっては、重量の加算される遮音材を使用できなかったモデルにもこの「音響メタマテリアル」を仕様できる可能性が高まります。
実際にどのように遮音してくれるの?
ロードノイズやエンジン音などに反応して、メタマテリアルがタイミングよく振動してくれることによって、音を効率的に跳ね返して、遮音してくれるという原理です。
音の透過自体を減少させることで、騒音の原因となる500から1200Hzの音を、結果的に遮ってくれる仕組みとなっています。
エンジン搭載モデルでは、エンジンの音とロードノイズが複合的に発生しています。
この音を効率的に減少させることも大事ではありますが、日産としては、エンジンの無いEVモデルでのロードノイズ音を消すことがが、非常に難しかったようです。
引用:https://global.nissannews.com/en/releases/release-713f3fa78eb391fe47dff6a23b007acd-nissan-shows-new-lightweight-noise-reducing-technology-at-ces
現在の遮音ってどうなっているのでしょう?
今回日産が開発に成功した音響メタマテリアルは、近い将来に向けて量産化の可能性を探っていく状況です。
では現在の遮音ってどうなっているのでしょうか?
マツダ ロードスターを例にとって解説してみます。
マツダ ロードスターは、日本のオープンカーを代表するモデルですね。
オープンカーであっても、マツダは乗っている二人が、楽しく会話できるレベルの遮音を目指しています。
ロードスターでは、車内空間で透過する音を最小限にするために、ボデーパネルにフェルト材を3次元形状化し全面に配置しています。
またリヤ側などには、不織布成形品を採用することで遮音を上げる工夫が施されています。
素材の重さを考慮しながら、効果的な遮音材を効果的な場所に採用することで、車両本体重量の過度な増加にならないように遮音しているのがうかがえます。
どこのメーカーも、静かな車を作ろうとすればするほど、車体重量全体が、どんどん重くなるという現実があるのではないでしょうか?
まとめ
日産が開発した軽量新素材の遮音材をまとめると
①開発名は、音響メタマテリアル
②重量は、従来のゴム材質に比べて1/4程度で、同等の遮音効果がでる
③量販化し、いろいろな車に搭載することで、燃費や環境に寄与する
④今まで重量の関係で、充分な遮音の出来ないモデルにも、この遮音材なら装備可能に
日産は、「音響メタマテリアル」を静かな車で快適な移動したいというユーザーの声で、開発しています。
自社製品からどんどん採用できるようになって行くと予想します。