大先輩から「高速道路走行していたら、変な音がする」と連絡が入りました。どうやら足回り付近からウォーンともオーンともいえる音がしているようです。今回は、ハブベアリング交換に挑戦してみました。作業内容や挑戦してみてわかったことなどを解説していきます。
ハブベアリング異音が発生した車の情報
引用:筆者撮影画像
先日「トランクが開かない修理」で登場して、今回は2回目となります。
平成25年のモデルなのですが、実は150,000kmも走行していたのを前回は知りませんでした。約7年近くで150,000km走行とは結構な距離を走行していますね。ドライバーさんに聞くと、毎日片道40km以上の通勤に使用していたとのことです。
計算してみると
- 40km×2回=80km
- 80km×22日=1,760km
- 2,200km×12ヶ月=21,120km
- 26,400km×7年=147,840km
少し大雑把では有りますが、ルート営業の車くらいの走行距離ではないでしょうか。
「ウォーン」・「オーン」の原因を探る
引用:筆者撮影画像
まずは異音の原因を探るために、筆者が助手席に同乗して音の再現を行いました。走り始めてすぐに、「ウォーン」という音が始まりました。この時点では多分前側の足回り付近からの異音です。
窓を開けて、再度異音を確認してみます。やはり運転席前側の方から異音がします。停止中は異音はしません。
走行に起因して発生している音であることが判明しました。この時点で、筆者は過去に聞いたことのある音でしたので、「ハブベアリング不良?」の可能性を疑い始めます。車をリフトアップさせて、疑わしい方をタイヤごとゆすってみます。「あらら!」ガタガタと遊びが出ています。
引用:筆者撮影画像
確認のため、ゆすってガタがでているところで写真を撮りました。黄○の中の赤○部分でガタが出ているのがわかります。典型的なハブベアリング不良の症状がでています。
とりあえず不良箇所の確認が出来ましたので、パーツの注文を行い、パーツが整ってから作業することにします。フロント側のハブベアリングを2セット注文しました。→この発注があとで、苦労する発端のなります。
ハブベアリング交換作業開始
引用:筆者撮影画像
各部のパーツを外して、ナックルアームを車から分離します。
①キャリパーごと外します。17㎜のボルト2箇所でしまっています。外したキャリパーは針金などで吊るしておきましょう。
引用:筆者撮影画像
ショックとナックルアームが接続されている2本のボルトを外します。この際にABSの配線やブレーキ配線がショックについている場合は、コレもはずしておくと作業がラクでしょう。
引用:筆者撮影画像
注意しないとならないパーツの中で、ABSセンサーの取り外しがあります(上記画像の黄○)。こちらは、10㎜のボルトで止まっているのですが、潤滑スプレーなどで固着を取っておきましょう。コレが外れないと作業が進みません。
引用:筆者撮影画像
タイロッドエンドとナックルアーム、ロアアームとナックルアームを分離していきます。
引用:筆者撮影画像
ボールジョイントを外すのに有効な工具!それは、ボールジョイントプーラーです。
ただ筆者は、この工具の音が苦手です。ボールジョイントが外れるときに、結構な大きな音で「バキーン」といいます。
引用:筆者撮影画像
全てのパーツが外れると、ナックルアームが外れてくれます。これでナックルアーム分離が終了します。
悪戦苦闘の作業に突入(ハブベアリングはずし)
引用:筆者撮影画像
上記画像を見てもらえるとわかるのですが、平成25年車のわりには錆が酷い状態です。これがのちのちの作業に影響してくることになります。
引用:筆者撮影画像
ハブベアリングをナックルアームから取り除きたいのですが、中に入っている大きいスナップリングが、既にナックルアームと錆で同化してしまっています。スナップリングを外して作業するという状況ではないと判断しました。
引用:筆者撮影画像
修理の方法転換をして、ハブボルト側プレートとナックルアームを分離して、ナックルアーム側は新品に全交換するという方法に変更しました。
そこで必要となるのは、圧入や抜き取りをするのに便利なプレス機です。今回は、この工具を用いて分離します。
引用:筆者撮影画像
予想はしていたのですが、ベアリングの一部がハブボルト側のプレートに残ってしまっています。これを外すのに2個で1時間かかりました。
手順紹介(重鎮整備士の方法)
- ベルトサンダーで、残った部分をうすく削る
- 潤滑スプレーをつける
- タガネを使って、叩きながら回し外す
時間はかかりますが、以外とできるものです。
引用:筆者撮影画像
慌てて再注文したパーツ
ナックルアーム(左右) 10,000円×2個
スナップリング2個 300円×2個
ブレーキローターのバックプレート 1,500円×2個
予備のハブベアリング1個→合計3個分 3,000円×3個
次の日にパーツが入荷してよかったです。
引用:筆者撮影画像
新品パーツと故障パーツを比較したら凄い差ですね。画像では、ナックルアームにハブベアリングを圧入した状態です。
ドライバーの方に聞くと、ほとんど洗車をしないそうです。豪雪地帯の塩カリなどによってかなり酷い状況に成るといえますね。
ハブベアリングの圧入方法
引用:筆者撮影画像
圧入は、先ほどのプレス機を使用して行います。
圧入の注意点
- 水平にして作業をする。
- 一定の圧力がかかるようにする
- 力を入れなくても新品は圧入されます
- 奥まできちんと圧入する
引用:筆者撮影画像
スナップリングをはめ込み、きちんと凹部分にはまっているかを確認します。
引用:筆者撮影画像
この作業が終わったら、ハブボルトプレートとナックルアームを圧入します。こちらもプレス機で作業をしますが、基本的にハブベアリング圧入と同じです。写真は、錆の具合を見るためにハブボルトプレートに塗装などを施していません(取り付けの最終段階で軽くさび落としをしてシャーシブラック塗装をしました)。
引用:筆者撮影画像
左右のナックルアーム関連パーツが組み終わったら、車に取り付ける作業を外した時の逆の手順で行います。
引用:筆者撮影画像
パーツ取り付けを元通り行い作業の終了です。
ドライブシャフトとナックルアームを止めるセンターボルトは、新しいものに交換しています。
タイヤを装備して試験走行をしてもらい、異音も解消したということで作業終了です。
今回は、ハブベアリング交換をしましたが、久々に合計作業時間8時間という悪戦苦闘になりました。
まとめ
走っていたら「ウォーン」と異音、ハブベアリング交換に悪戦苦闘!まとめると
- 錆びている車なら、まるごとパーツ交換がおススメです。
- プレス機がないと作業できないので、DIYをする際は注意しましょう
今回の作業は、筆者も悪戦苦闘しました。とにかく錆びている状態だと作業が中々進まないことを実感しました。こういった足回りも定期的に整備してあげることで、大掛かりな修理でも作業しやすくなると思います。