バブルとは、経済活動が実力以上に膨れ上がって、好景気になったことを指します。日本でもこのバブル景気が、1986年ごろから1990年ごろまで続きました。戦後の好景気は数度発生した日本ですが、バブル時代の景気は、株価も38000円越えとなり国内最大好景気と言ってよいでしょう。
バブル時代に設計・製造された車には、時代背景に沿ったモデルも多く登場しているといえます。ここでは「第一弾」として、バブル時代だから企画・製造されたであろう車を、筆者の独断でご紹介していくコーナーとさせていただきます。
トヨタ 初代セルシオ(1989年-1994年)
引用:https://global.toyota/jp/mobility/toyota-brand/gallery/celsior.html?_ga=2.131950282.416663058.1599374377-1927467614.1598691926
初代セルシオは、バブル時代の絶頂期に販売開始されたトヨタのフラッグシップモデルです。レクサスブランド立ち上げモデルの1台としても企画されています。ワールドワイドに展開できるハイパフォーマンス・ラグジュアリーカーを基本理念において開発されました。
セルシオでは、A・B・Cのグレード展開が行われましたが、最上級グレードのCの人気が高かったようです。これはセンチュリー同様に後席に乗車することを前提に作られているグレードでもあります。
後席におもてなしのくつろぎをがテーマになっている装備達
- 後席パワーシート:クッションが電動スライドする専用パワーシートは、疲れをいやすためのバイブレーション機能&ヒーターまでも内蔵。
- 助手席コントロール機能:後席にいながら助手席をコントロールすることで、リヤスペースをさらに広くできる仕様。
- リヤエアコン:空調やオーディオ類も後席に最高のものを提供できる仕組みに
主要諸元と価格など
- 全長×全幅×全高=4,995×1,830×1,435㎜
- 型式 E-UCF21
- 最高出力 265ps(195kW)/5400rpm
- タイヤサイズ 225/60R16
- 車両販売価格:510万円~654万円
現在の高級車には、装備されている内容でもありますが、セルシオはバブル時代ならではの装備が、豊富に採用されたモデルであるといえます。
日産R32 スカイラインGTR(1989年-1994年)
引用:https://nissan-heritage-collection.com/NEWS/publicContents/
バブル時代には、いろいろな車がメーカーからラインアップされていますが、日産からは16年ぶりに復活したR32 スカイラインGTRを紹介していきます。初代と同様にレースで勝つために開発された車両は、2.6Lという中途半端なエンジン排気量も当時のグループA規定に合わせた仕様でした。直列6気筒 DOHC 24バルブ ツインターボエンジンは、最高出力280psとなっていますが、チューニング次第では600psのポテンシャルを有しているといわれています。
アテーサE-TS(電子制御アクティブトルクスプリット型フルタイム4WD)を導入することで、パワーを余すことなく路面に伝えることを可能にしています。さらに後輪操舵(そうだ)機構のスーパーHICASなどのハイテク機能も搭載することで、当時のレース界をけん引したモデルとなっています。
車内は、当時のサニークラスの広さという空間ながらも、絶大な人気となったのが特徴でもあります。R32 スカイラインGTRの販売以降、GTRという称号を与えられたモデルが現在も継承されているのもポイントです。現存するR32 GTRは、中古相場が非常に高騰するほどの人気となっています。新車価格の4倍以上になる2000万円といった価格がついているモデルもあります。
主要諸元と価格など
- 全長×全幅×全高=4,545×1,755×1,340㎜
- 型式 E-BNR32
- 最高出力 280ps(206kW)/6800rpm
- タイヤサイズ 225/50R16
- 車両販売価格 4,450,000円
R32 スカイラインGTRは、レースの世界を圧巻させるためにバブル時代に登場したモデルです。また当時の日産のハイテク技術をふんだんに盛り込んだモデルでもあります。
マツダ ユーノスコスモ 20B
引用:https://www2.mazda.com/ja/100th/cars/detail_017_eunoscosmo4th.html
マツダは、バブル時代に多チャンネル化に大きく舵を振ったメーカーの1つです。日本のバブルが頂点を迎えるころに多チャンネル化を行った点も特徴です。ユーノス店、アンフィニ店、オートザム店、オートラマ店に既存のマツダ店という5チャンネル展開をしていました。
ここではユーノスコスモ20Bが、バブル期だからこそ販売されたモデルの一つとしてご紹介していきます。当時のマツダは、とにかく高級路線を目指して製品開発を行っているモデルが多くありました。その中でも同モデルは、3ローターツインターボ搭載の大型クーペフォルム、内装はイタリア製のウッドパネル、本革仕様という贅沢を極めたモデルに仕上げています。まさにバブル時代の賜物であるともいえます。
とにかく3ローター仕様というのが非常に魅力的でしたが、渋滞時3㎞/Lという燃費もバブル時代だからこそ許されたといっても良いのではないでしょうか。また年間生産量が2000台未満という少なさは、メーカーの開発費や製造費に対して赤字であったと考えます。
主要諸元と価格など
- 全長×全幅×全高=4,815×1,795×1,305㎜
- 型式 E-JCESE
- 最高出力 280ps(206kW)/6500rpm
- タイヤサイズ 215/60R15
- 車両販売価格 4,200,000円~5,300,000円
バブル時代だからこそ市販化できた3ローターツインターボモデルであるといえます。また当時の大型ラグジュアリークーペとして、とにかく高級路線を貫いた内装などが特徴的です。
ホンダ NSX
引用:https://www.honda.co.jp/hondafan/meisha/
当時はフェラーリやポルシェ、ランボルギーニがスーパースポーツとして君臨している中、日本車で初めてといえるスーパースポーツモデルがNSXであるといえます。各国のスーパースポーツに負けないオールアルミモノコックボディや3.0Lエンジンをミッドシップにマウントしたりと、当時のホンダ技術をふんだんに注いだモデルとなっています。ふんだんに注げたのは、バブル絶頂期という好景気も多分に影響していたと考えます。
バブル絶頂期の1990年に販売された同車は、バックオーダーが3年分まであったとされています。また高級スーパースポーツというカテゴリーの中では、日本車らしくゴルフバックが積載できたりと、日本の細やかな工夫も垣間見えているモデルです。
主要諸元と価格など
- 全長×全幅×全高=4,430×1,810×1,170㎜
- 型式 E-NA1
- 最高出力 280ps(206kW)/7300rpm
- タイヤサイズ フロント 205/50ZR15・リア 225/50ZR16
- 車両販売価格 8,003,000円~8,603,000円
まとめ
- バブル時代は、各メーカーが自社の特徴をふんだんに盛り込んだモデルを投入しています。
- バブル時代ならではの「背伸びした感じ」が車にも投影されています
- 当時のハイテク技術や高級志向が、惜しみなく使用されているのも特徴的です
- マッサージ機能、電動カーテン、ドアミラーワイパー、電卓機能、運転席から助手席を倒せる、加湿器、冷蔵庫、衛星電話などの装備が施されたモデルも登場しています。
バブル時代の車を4車種ご紹介しました。筆者もご紹介をしながら気づいたのですが、今回ご紹介のモデルは、すべて当時の自主規制出力上限の280psのモデルとなっていました。ターボによるモアパワー時代でもあったバブル期は、ターボ搭載モデルも豊富になっています。また機会がありましたら、バブル時代のモデル紹介をしていきたいと思います。