この初代RX-7は、連休を利用して十勝(帯広方面)にあるサーキットで試走行しました。目的は、セッティングを煮詰めることでした。低回転から全開走行までを行い調整したかったようです。順調に周回を重ねていたようなのですが、途中から5速に入りづらくなってしまう現象と、油圧がきちんと上がらなくなったトラブルが起きてしまいました。
エンジンの調子自体は、そんなに悪くはなかったようなのですが、油圧が上がらない理由が計器類の異常でない場合には、エンジンブローになってしまう可能性もあります。そこで、サーキット走行を途中で終了し、整備場に戻り早々に原因を突き止めることにしたようです。ここでは、原因究明と修理について解説していきます。
エンジンとミッションを降ろしてしまう
引用:筆者撮影画像
ドライバーさんの話を聞いてみると、油圧が一定のところまでは上がるのですが、回転が上がると油圧計が動かなくなる状態で、エンジンに何らかの問題がある可能性が高いことや、ミッションの5速が入りずらいということから、とにかくエンジンとミッションを降ろす作業を行うことにしました。
降ろしたエンジン&ミッションを調査
引用:筆者撮影画像
エンジンとミッションを分離してそれぞれを検査していきます。この時エンジンやミッションの詳細な仕様などもわかったので、少しご紹介していきます。
エンジンに関して
引用:筆者撮影画像
マツダは、2020年に100周年記念を迎えています。2020年には、コマーシャルなどでも100周年であることが公開されていますね。
①1920年に東洋コルク工業としてマツダの源流となる企業として設立されました。
③1927年に東洋工業㈱に改名しています。
②1984年にマツダと改称し現在に至っています。
東洋工業㈱時代が半世紀以上あったということですね。上記の写真をみると13Bロータリーで東洋工業のコーションプレートがついています。これは、初代RX-7が、1978年から1985年まで製造されているのですが、1984年から海外モデルとして、13B搭載モデルも製造しました。
このRX-7には、マツダに改称される前の東洋工業製の海外輸出向け13Bハウジングが使われているということですね。
引用:筆者撮影画像
サーキット仕様にするために、ペリ加工などもエンジンハウジング内部では施されています。吸気から排気までの一連の加工パーツなどもワンオフで作成されていて、きれいに作り上げられているのがわかります。
油圧の上がらない原因
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ドライバーさんは、何度かこの油圧があがらないという現象を経験していたようです。上画像の赤丸の部分にOリングが使用されているのですが、このパッキンが悪さをすることで油圧があがらない現象が起きるということです。直径1.5㎝くらいのOリングが切れてしまっていたようです。
エンジンを降ろしたのには、ローターやハウジングの状態の確認もしたかったようです。これらは、異常なかったので一安心といえます。
ミッション&ミッション不良の原因
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筆者は、あまりRX-7のことは詳しくないのですが、このミッションは、初代RX-7が全盛の時に、国内レースなどで使用されていたものだそうです。
そのミッションが、かなり昔に販売に出されていたものをオーナーが運良くゲットできたと仰っていました。当時の方しかわからないことかもしれないのですが、巡り合えたこと自体が、幸運であったとのことです。
ミッション不良の原因は、5足のギアが金属疲労で欠けてしまった為でした。年代物のパーツのため、こういった破損も考えれるということでしょう。
他にも破損個所を発見
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筆者が後ろ周りを見ていくと、マフラー部分に大きな穴が開いていることを確認しました。ドライバーさんも途中で気づいていたようなのですが、サーキット走行中に突然排気の音が変わったとのことです。疲労破損のように穴が開いていました。こちらは、中の状態を確認すると状態がかなり劣化していました。後日新しいものに交換する事となりました。
エンジン及びミッションを再度車に載せる
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原因究明と修理が終了したので、エンジンから車に載せていきます。さすがに軽いエンジンです。比較的簡単にマウントすることが出来ました。スペースも広いので、エンジンを載せるのは簡単であるといえます。載せるのに約15分で済みました。
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ミッションは、2人が抱えながら載せることが出来ました。こちらも現代のFR用ミッションよりも2回りほど小さいので、比較的軽いパーツであるといえます。オーナー曰く、雪が降る前に再度サーキットに行ってセッティング走行をしたいとのことです。
まとめ
サーキット走行を終えて、不具合個所を修理!をまとめると
- 小さな部品で不具合が出ても油圧があがらないなどの原因になります。
- ミッションは、ギアが欠けるとかなりの確率で入りづらくなります。
- 古い車は、パーツ疲労による破損も発生することが多いです。
今回は、エンジンブローなどの大掛かりな故障に発展しなくて良かったといえます。大きなトラブルに発展する前に、サーキットで車の状態を細かくチェックできたことが吉に繋がったのではないでしょうか。旧車を乗り続けるためには、いろいろな整備や故障を乗り越えていかないとならないのだと感じました。