株式会社本田技術研究所(代表取締役社長 : 三部 敏宏、以下ホンダ)とトヨタ自動車株式会社(代表取締役社長 : 豊田 章男、以下トヨタ)は、大容量水素搭載を施した燃料電池バスに、可搬型外部給電器・可搬型バッテリーを組み合わせた移動式発電・給電システムとなる「Moving e(ムービングイー)」を企画・構築していくことを公開しました。いつでも・どこでも電気を届けることが出来る仕組みの実証実験が今後開始されることになります。
近年では、台風や豪雨、さらには地震などの災害により送電網自体がダメージを受けてしまい、家庭や避難所に電気が届かないという大きな問題が発生しています。こういった問題に対して、ホンダとトヨタは両社の技術を協業することで移動式発電・給電システムを構築し電気を届けるための実証実験をスタートさせるということです。
ここでは、「Moving e(ムービングイー)」の概要や技術展開などを含めご紹介していきます。
実証実験の概要等
引用:https://www.honda.co.jp/news/2020/c200831.html
実証実験概要
- 開始時期:2020年9月から開始予定
- 派遣可能エリア:燃料電池バス対応の水素ステーションから100km程度までの距離で派遣
- 電力供給量:最大約490kWh(往復200km走行した場合 約240kWh)
移動式発電・給電システム「Moving e」の構成内容
- 燃料電池バス「CHARGING STATION」1台
- 外部給電器「Power Exporter 9000」2台
- 可搬型バッテリー「Honda Mobile Power Pack」36個、「LiB-AID E500」20個
- 充電・給電器「Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Concept」36台
移動式発電・給電システム「Moving e」は、トヨタの燃料電池バス「CHARGING STATION(チャージングステーション)」と、Hondaの可搬型外部給電器「Power Exporter(パワーエクスポーター)9000」、可搬型バッテリー「LiB-AID(リベイド)E500」・「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」、モバイルパワーパックの充電・給電器「Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Concept(チャージアンドサプライ コンセプト)」で構成されています。
「CHARGING STATION」の中に、すべての機材を積み込んで必要な場所へ移動し、電気を供給できる仕組みです。具体的には燃料電池バスを電源とし、可搬型外部給電器・可搬型バッテリーを用いてバスから電気を取り出し、電気製品に電気を供給をしていく方法となっています。
引用:https://www.honda.co.jp/news/2020/c200831.html
トヨタの燃料電池バス「CHARGING STATION」は、従来型の「トヨタFCバス」をベースモデルにして、高圧水素タンクの本数を倍増させることで水素搭載量を大幅に増大させています。高出力で大容量の発電能力(最高出力18kW、発電量454kWh)が搭載されたことで、災害などによる停電時には「Power Exporter 9000」を仲介にして、発電した電気を可搬型の大容量バッテリー「Honda Mobile Power Pack」や「LiB-AID E500」に貯めることが可能です。避難所などの屋内や車内などで電気が使用できるようになっています。
「CHARGING STATION」の車内
引用:https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/33598919.html?_ga=2.93847582.2008415410.1604527374-1833781090.1604527374
「CHARGING STATION」は、車内でも仮眠が取れるスペースが設けられていて、災害発生時には、休憩場所としての活用も可能です。移動式発電・給電システム「Moving e」は、提供条件が整い次第、実証に参画してくれる自治体や企業で実際に活用されることで、フェーズフリーなシステムであることを実証するとのことです。
引用:https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/33598919.html?_ga=2.93847582.2008415410.1604527374-1833781090.1604527374
大型のバスを使用することで、給電に必要な機材を一括で積み込めるだけでなく、休憩所などの一時避難にも使用できる車内に仕上がっているのがうかがえます。またバスという特性上四角いボックス上に機材を仕立てることで、効率的に積載できることにつながっていますね。
引用:https://www.honda.co.jp/news/2020/c200831.html
あくまでも災害時には、救援できる仕組みを作り上げ、普段の平常時にはイベント(野外コンサートやライブなど)多岐なフェーズ利用ができるという部分を構築していきたいと考えているのでしょう。これから色々な実証実験を行い、結果をフィードバックさせて「実際に使えるバスと機材」を証明していくことになりそうです。
まとめ
ホンダは、災害時の移動・給電システムの実証実験を開始をまとめると
- トヨタとホンダが、それぞれの得意部分を協業することで、災害に役立ち普段のライフサイクルの中にも溶け込む「Moving e(ムービングイー)」を計画
- 実証実験を行うことで、この企画の有用性を証明してくことでしょう
昨今日本では、自然災害による停電など人々の生活になくてはならない電気が途絶えてしまう事象が多く発生しています。それだけ私たちが電気に頼っているということでもあります。災害だけでなく、イベントなどにも利用できるシステムの構築を目指した協業作業といえるでしょう。