ワイドフェンダー化というカスタムの方向性は共通していますが、ロケットバニーはビス留オーバーフェンダー仕様、パンデムはさらに大型のブリスターフェンダー仕様を採用しています。
ロケットバニーのキットが国産車のみの設定であるのに対し、パンデムはフォルクスワーゲン・ゴルフやBMW・3シリーズ、ポルシェ・ケイマンのキットもラインナップしています。
出展元:http://www.pancross.jp
出典元:https://cacaca.jp
TRA京都は、1995年に設立されたエアロメーカー。限界まで落とした低車高とワイドフェンダー、深リムのアルミホイールを特徴としたカスタムは、懐かしさの中に新しいセンスを取り入れたネオクラシック系のドレスアップにもってこいのスタイルです。
ロケットバニーは、TRA京都が展開するエアロブランドの主力。元々は軽自動車用ブランドでしたが、1970~1980年代の不良テイストを取り入れたワークス仕様のオーバーフェンダーが評判に。その独特のスタイルは日米はもちろん、世界で知られています。
2017年に公開されたハリウッド映画のワイルド・スピード ICE BREAKに登場した青いスバル・BRZは、ロケットバニーのオーバーフェンダーを装着していました。ちなみに、ファミリーの辣腕メカニック、テズの愛車です。
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TRA京都の代表も務めるエアロパーツデザイナー三浦慶。TRA京都を立ち上げたのは、弱冠22歳のとき。旧車向けのレース用ワンオフパーツを経て、ドリフターをターゲットに」レーサー風のオリジナルエアロの製作を始めるようになりました。
ロケットバニーが当初から取り入れていたのは、純正のオーバーフェンダーの上からかぶせるように設計したパネルをビスで留めるだけという手軽な手法です。ノーマルのフェンダーパネルをわざわざ交換しなくてもいいというメリットに着目したのです。
そのメリットとは、フェンダーパネルを取り外す手間とコストを省けるというもの。さらに、ドリフトなどの過酷な走行で歪みが生じている場合もあるクルマの個体差に関係なく、ぴったりフィットするエアロを供給できるということでした。
もちろん、かぶせて留めるだけの手法で、いかにも後付けしたような違和感を覚えさせないのは相当な技術を要します。ロケットバニーが世界中で賞賛される理由は、まさにそれ。ハイクオリティーなデザインを実現しているという点にあります。
ダウンフォースという空力性能を純粋に追求したGTウイングとは一線を画すのが、ワークススタイルのエアロにマッチするダックテイルのリアウイング。1970年代の富士グランドチャンピオンレースのマシンを彷彿とさせるクラシカルなデザインです。
不良テイストに欠かせないダックテイルは、ロケットバニーがリバイバルブームの火付け役となりました。
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ロケットバニーが世界で注目されたのは、世界最大のカスタムカーショーであるSEMA2012でのこと。国内チューニングメーカーのトラストとのコラボレーションで発表したトヨタ・86とスバル・BRZ用のワイドボディキットが脚光を浴びました。
フロント片側40mm、リア片側65mmのオーバーフェンダーという迫力満点のスタイリングでありながら、取り付けの手間は最小限。もちろん、コストも低く抑えることもできるため、世界中からオーダーが集まるようになったのです。
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SEMA2015では、ロケットバニーの兄弟ブランドであるパンデムから、1969年に発売された初代フェアレディZである240Zのカスタムを発表。ブリスターフェンダー仕様のオーバーフェンダーの迫力と完成度の高さに目を奪われます。
ノスタルジックでありながら、最新のセンスも取り入れたパンデム240Zは、SEMA2015で見事にBest Asian Importを獲得しました。
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もともとは軽自動車向けのブランドだったロケットバニー。ビスで留めるオーバーフェンダーを自在にデザインするというコンセプトをスポーツカーに持ち込んだのが、6666(フォアシックス)カスタムズというブランド。2007年に誕生しました。
スポーツカーのエアロキットという現在のロケットバニーのイメージを形成したのは、実は6666カスタムズでした。しかし、アメリカではロケットバニーの名が定着。結果的に、ロケットバニーの世界進出の基礎を固めたブランドが6666カスタムズだったのです。
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2018年にリリースされた最新作は、サバンナRX-7(FC3S)用ワイドボディキットです。サバンナの名を継いだ2代目RX-7のFC3Sが登場したのは1985年ですが、まだまだ現役で活躍しているクルマです。
そんな名車をドレスアップするキットがパンデムブランド発売されました。パンデムのキット発売は、サバンナRX-7の中古車価格を押し上げる可能性まで指摘されています。
ラリーで活躍したイタリアの名車、ランチャストラトスを思い起こさせるフロントバンパーの4連フォグは、存在感たっぷり。ノーマルから65mmもワイドになったオーバーフェンダー、ダックテイルのリアスポイラーも目を引きます。
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法律上、カスタマイズにより車幅が20mm以上ワイド化するとなると、構造変更申請が必要です。もともと5ナンバーサイズのFC3Sは、ノーマルの全幅が1690mm。65mmのワイドフェンダー化で1700mmを超えるため、3ナンバー登録も必要となります。
さらに、大型のブリスターフェンダー仕様のキットにはサイドウィンカーが付属していません。サーキット専用なら問題ありませんが、公道を走行、つまり車検を通そうとする場合はサイドウィンカーを改めて装着する必要があります。
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ワイドフェンダー化というカスタムの方向性は共通していますが、ロケットバニーはビス留オーバーフェンダー仕様、パンデムはさらに大型のブリスターフェンダー仕様を採用しています。
ロケットバニーのキットが国産車のみの設定であるのに対し、パンデムはフォルクスワーゲン・ゴルフやBMW・3シリーズ、ポルシェ・ケイマンのキットもラインナップしています。
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ピュアスポーツのRX-7(FD3S)のワイド&ローのスタイリングを、より強調するデザインです。純正ボディへの後付けを感じさせません。FD3Sの特徴であるボディラインの流麗さを、さらに際立たせる加工技術は芸術的なレベルに達しています。
フロントは50mm、リアは100mmものワイド化を実現したキット。前後ともオーバーフェンダーの後端をカットし、極太タイヤの存在感までエアロの表現に組み込む工夫を施しました。ボディラインを整える上で、サイドステップが効果を発揮しています。
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そしてこちらが、RX-7(FD3S)用のパンデムキット。リトラクタブルヘッドライトが取り払われたフロントマスクを一目見ただけで、このクルマがRX-7(FD3S)だと識別できる人は少ないかもしれません。
実はこのフロントマスク、1970年代に人気を博したマツダの名車、RX-3(サバンナ)に着想を得たデザイン。市販のアメリカン・マッスルカーを思わせるほど自然な出来映えに驚かされます。
ブリスターフェンダー仕様のオーバーフェンダー、フェンダーミラー、チンスポイラーのどれもが、旧車のスパルタンな雰囲気を再現しています。
出典元:https://clicccar.com
東京オートサロン2019には、パンデムブランドでカスタムされたブリスターフェンダー仕様のメルセデスベンツ・190Eを出展。カスタムカーの世界にまたしても新風を吹き込みました。
ワイドフェンダーという手法にこだわり、自動車カスタムの可能性を追求するTRA京都。ベース車の選択を含め、三浦慶の独創的なセンスがどう具現化されていくのか、今後の展開が楽しみです。