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世界的な高級SUVブーム
日本車も火付け役に
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世界的な高級SUVブームが始まったのは、2000年頃のこと。1990年代後半に発売されたトヨタ・ハリアー、トヨタ・ランドクルーザー100なども火付け役となりました。2000年にはBMWが5シリーズをベースに開発したX5で高級SUV市場に参入します。
高級SUVブームは、社会が成熟した中で、クルマの存在もフォーマルとカジュアルをアクティブに行き来するツールへと進化したことの表れのかもしれません。ユーティリティに優れた初代X5のトップグレード、4.8isは360馬力を絞り出しました。
マーケットの拡大を見据える中で、SUVとは縁がなかった世界の高級車メーカーも参入の機会をうかがうように。2002年、それは現実のものとなります。しかも、世界を驚かせたのは異色のマーケット参入だけではなく、そのマシン性能でした。
初代カイエンターボから始まったSUVのパワー競争
驚きのポルシェ参入
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2002年、高級SUV市場に参入したのは、高級スポーツカーメーカーのポルシェでした。ポルシェにとって初のSUV、5ドア車の名前はカイエン。上位モデルは928以来となる縦置きの4.5リットルV型8気筒エンジンを搭載していました。
カイエンがそれまでの高級SUVとは違っていたのは、スポーツカーのイメージをそのまま持ち込んだこと。カイエンターボの最大出力は450馬力。車体は2480kgの重量級ながら、0~100km/h加速は5.6秒を誇りました。
ひと目でポルシェと分かるエレガントなデザインも受け入れられ、初代カイエンは世界的に大ヒット。この成功が、高級SUVのパワー競争を加速させます。そうした流れは、ランボルギーニやロールスロイスといった高級車メーカーを大いに刺激しました。
市販ハイパワーSUVのパワーウェイトレシオ、コストパフォーマンスが良いモデルはどれ?
アルファロメオ・ステルヴィオ クアドリフォリオ
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アルファロメオにとって初のSUVモデルがステルヴィオ。クアドリフォリオは最上級グレードで、日本では2018年11月に受注が開始されました。
フェラーリと共同開発した2.9リットルV型6気筒直噴ツインターボエンジンの最高出力は510馬力。最高速度は283km/hを誇り、0~100km/h加速はわずか3.8秒です。
車両重量は1910kgで、パワーウェイトレシオは驚異の3.75kg/ps。2018年12月現在の新車価格は1167万円(消費税込み)です。
ポルシェ・カイエンターボS
2代目958型の後期モデルで最も新しいグレードがカイエンターボS 。4.8リットルV型8気筒ツインターボエンジンを専用チューンしたパワートレインは、最高出力570馬力、最高速度284km/hのスペックをたたき出します。
車両重量は2310kgで、パワーウェイトレシオは4.05kg/ps。クアドリフォリオにはわずかに及びませんが、十分な性能を備えています。2018年12月現在の新車価格は2251万円(消費税込み)です。
マセラティ・レヴァンテ トロフェオ
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マセラティ初のSUVが,2016年に発売されたレヴァンテ。3.0リットルV型6気筒エンジンのみだったレヴァンテに、3.8リットルV型8気筒ツインターボエンジンを搭載したモデルがトロフェオです。電子制御式の4輪駆動システム「Q4 」を組み合わせています。
2018年11月に登場したトロフェオは、マセラティ自身が「究極のSUV」と胸を張るほど。最大出力は590馬力。2340㎏の車両重量をものともせず、最高速度はF1マシン並みの304km/hに達します。
パワーウェイトレシオはクアドリフォリオに迫る3.97kg/ps。2018年12月現在の新車価格は1990万円(消費税込み)です。
ランボルギーニ・ウルス
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1980年代後半から1990年代前半にかけ、クロスカントリー4WDのLM002を生産していたランボルギーニ。初のSUVであるランボルギーニ・ウルスは、4.0リットルV型8気筒ツインターボエンジンを搭載、ランボルギーニにとって初のターボ車でもあります。
最大出力は驚愕の650馬力。最高速度はSUV史上最速の305km/hに到達しました。車両重量は2220㎏で、パワーウェイトレシオはクアドリフォリオを上回る3.42kg/psを達成しています。
2018年12月現在、国内正規販売代理店の新車価格は2816万1795円(消費税込み)です。
エスカレードが安く感じられるハイエンドSUVのパワーウェイトレシオ、コストパフォーマンスは?
キャデラック・エスカレード プラチナム
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米国の大統領専用車「ビースト」にヘッドライト部品が使われていることでも知られるキャデラック・エスカレード。ラグジュアリー感あふれるフルサイズのアメリカンSUVで、プラチナムは最上級グレードに当たります。
6.2リットルV型8気筒エンジンの最高出力は426馬力。4WDの車体の重量は2670kgで、パワーウェイトレシオは6.26kg/psとまずまずです。スピードを競うというより、大排気量ならではのトルクフルな走りを楽しむクルマといえます。
2018年12月現在の新車価格は1360万円(消費税込み)です。
ロールスロイス・カリナン
高級車メーカーの最高峰ともいえるロールスロイスが満を持して高級SUV市場に送り込んだのが、カリナンです。2018年6月に日本初公開されたモデルは、史上最も豪華なSUVとして注目を集めています。
6.75リットルV型12気筒ツインターボエンジンは、最大出力571馬力を発揮。最高速度は250km/hです。車両重量は2660kgで、パワーウェイトレシオは4.66kg/psです。
日本国内では2019年4~6月のデリバリーが予定されているカリナンの新車価格は、2018年12月現在で3894万5000円(消費税込み)となっています。
メルセデスマイバッハ・G65ランドレー
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群雄割拠の高級SUVの中でも、最も手が込んだ作りといえるのが、メルセデスマイバッハ・G65ランドレー。メルセデスベンツ・Gクラス(ゲレンデヴァーゲン)をベースにした、マイバッハ初のSUVです。
特筆するべきは、電動開閉式のソフトトップを装備し、キャビン後席の頭上をオープンにできるという点。オットマンが付いた後部座席には、快適なマッサージ機能まで備わっています。
ラグジュアリーでありながら、パワートレインも超強力。最大出力630馬力を発揮する6.0リットルV型12気筒ツインターボエンジンを搭載しています。最高速度は230km/h。2017年秋から、世界限定99台が販売されました。
車両重量は2505kg。ヘビーですが、パワーウェイトレシオは3.97kg/psと立派なもの。当時の新車価格は63万ユーロ。2018年12月現在の為替レートで換算すると、日本円で約7900万円になります。
高級SUV市場の行方
さらなる新規参入も
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衰える気配を見せないどころか、ますます過熱する世界の高級SUV市場。2019年以降には、フェラーリ、そしてアストンマーティンの参入も計画されています。
世界の高級SUV市場は新興国で急増する富裕層など、伝統と格式のある高級車メーカーにとって新たな顧客を獲得する機会にもなっています。そうした意味からも、各メーカーが高級SUVの開発にますます力を入れるのは必至といえるでしょう。
長い歴史で培ってきたスポーツカーの製造技術を駆使しながら、スタイリングを含めてどんな新しいSUVを創造してみせるのか。各メーカーの戦略が注目されます。
まとめ
レクサスも
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欧州を中心とした高級車メーカーの独壇場となっている高級SUV市場ですが、日本車も黙ってはいません。2018年1月、米デトロイトモーターショーでレクサスがコンセプトカー「LF-1リミットレス」を世界初公開しました。
日本刀をモチーフとしたデザインで、クーペのようにスタイリッシュ。レクサスのフラッグシップSUVとして、次期のレクサス・LXとしてのデビューが期待されています。