東京モーターショーで新型発表!?革新的オープンスポーツ、S2000に迫る!

     
   

ホンダの創立50周年記念として1999年から10年間発売されたS2000は、現在でも本格的なFRスポーツカーとして人気の高い車です。ホンダの技術の結晶ともいえるS2000の魅力はどこにあるのか、深く考えていきたいと思います。

s2000にかける、ホンダの情熱

photo by 本田技研工業株式会社

二輪、四輪の両方においてモータースポーツに積極的に参加し、名声を挙げてきたホンダですが、1970年にS800の販売が終了して以来、一般向けの乗用車については殆どFF車を中心に販売してきました。もちろん、現在でもジムカーナ等で活躍しているインテグラ・タイプRやシビック・タイプR、そして国産のMRスーパーカーとして圧倒的なスペックと人気を誇るNSXなど、ホンダの“走る歓び”を追い求める姿勢は健在です。しかし、S500・S600・S800と、“S”の名で受け継がれてきたFRスポーツの再来を、誰もが望んでいました。

ホンダの車を愛する人々の声に応えるように、創立50周年記念として1998年に発表され、1999年に販売を開始したのが、S2000です。「人とクルマと風と光との一体感」を大事にしてきた“S”のコンセプトに、長く積み上げてきた技術と情熱が込められ、新世代リアルオープンスポーツとして誕生したS2000は、2009年までの間、マイナーチェンジにより改良を加えつつ、世界中で累計10万台以上販売されるなど、好調に販売されました。

S2000の魅力とは

ホンダがFR車を生産するのは29年ぶりでしたが、その長いブランクを感じさせないほどに、S2000は洗練されたピュアスポーツを実現していました。S2000はエンジンのマイナーチェンジを境に、大きくAP1型とAP2型に分類できます。その両車の、細部に至るまで研究された走行性能に注目してみましょう。

ホンダの神髄:VTECエンジン

AP1型にはF20C型・2.0L直列4気筒エンジンが搭載されています。自然吸気エンジンで高出力を実現するために、レブリミットは9,000rpmにまで高められ、250馬力を発生します。アクセルに対して機敏に反応し、一瞬で9,000回転まで吹け上がるレスポンス、そして高回転域で作動するVTECによって甲高い排気音を奏でる様は、さながらサーキット専用のレース車両のエンジンであり、ホンダのVTECエンジンの最大の魅力です。

AP2型からはF22C型2.2Lエンジンにマイナーチェンジされ、レブリミットは8,000rpmまで下がったものの、ボアアップによって低速トルクを改善し、乗りやすくなりました。ここまでの高回転エンジンは国産乗用車としては珍しく、F1参戦などを通じて培ってきたホンダのエンジン開発技術がしっかりと活かされていることがわかります。エンジンの高回転域に対応するために駆動系も高い剛性があり、搭載されている6速マニュアルミッションはショートシフトストロークによって高い操作フィーリングを実現しています。

コーナリングに強いボディ設計

オープンカーの欠点として、他の一般的なクーペ等と比べて剛性が劣るというものがありました。しかしS2000は、ハイXボーンフレーム構造と呼ばれる特有のフレームを採用することにより、これまでのオープンカーでは考えられないほどの高剛性をもっています。また、エンジンをフロントミッドシップ配置することにより、50:50の理想的な前後重量配分となっています。さらに低重心、軽量、コンパクトであることも手伝って、S2000はドライバーの操舵に対するレスポンスが非常に高く、他のFR車よりも優れたコーナリング性能を発揮しています。サーキットでS2000よりもハイパワーなFR車に対して、よりスムーズなコーナリングで追い上げていくことのできるS2000は、ドライバーの腕次第で速く走らせることのできる、ポテンシャルの非常に高い車であるといえます。

先進的デザインのコックピット

S2000の走りの醍醐味は、トップをオープンにして風を感じながら走り抜けることにあるでしょう。高剛性フレームのために車内空間はとても快適な広さがあるとはいえないが、しかし逆に、人馬一体となって風を切る感覚は、S2000ならではの魅力です。近未来的な電子メーターはスポーティなデザインであり、シートもドライバーをしっかりとホールドしてくれます。

走行安定性をもたらす最先端システム

S2000にはVSA(車両挙動安定化制御システム)が搭載されています。四輪アンチロックブレーキシステム、トラクションコントロール、旋回時の横滑り抑制機能、これら3つの機能によって安定したドライビングをアシストします。VSAは普段のドライブから、サーキットでの走行まで、幅広くその機能を発揮します。

このように、S2000はFRオープンスポーツカーとしては最高水準の性能をもち、国内外問わず人気が高いこともうなずけます。2007年からは空力とサスペンションを重視して改良された「タイプS」グレードが発売開始され、高速域での安定性と操縦性能が標準グレードと比べてより向上しました。10年間のS2000の販売期間のなかで、大きなフルモデルチェンジこそなかったものの、様々なマイナーチェンジによって少しずつ“走り”を極めていくあたりに、ホンダの強いこだわりを感じます。

S2000後継車の噂!?

ホンダからの正式発表はありませんが、S2000の後継車が開発されるのではといった噂をちらほらと見かけるようになりました。近年S660や新型NSXなど、MRスポーツカーやシビック・タイプRなど、走りを重視した車の開発・販売に再び力を入れ始めたホンダへの、ファンの期待の表れかもしれません。FRかMRか、NSXのデザインを踏襲するか否か、パワートレインはどうなるか、今年の東京モーターショーにて発表されるのか、といった様々な予想がありますが、いまだ確定的な情報はありません。今後ホンダがどのような発表を行うか、S2000を愛した人たちの注目が集まっています。

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