憧れのオープンカー、マツダ・ユーノスロードスターってどんなクルマ?トヨタ・MR-Sと比較してみる

     
   

皆さんはライトウェイトスポーツというカテゴリーのクルマをご存知でしょうか?

ライトウェイトスポーツとは読んで字の如しで、軽量のボディーをもつスポーツタイプの乗用車です。もう少し補足すると排気量は2,000cc未満のクラスで走行性能に重点を置いて設計されたクルマということになります。

クルマという存在の捉え方は人それぞれで、車の用途、デザイン、性能も実に幅広いバリエーションを持っています。今回はライトウェイトスポーツのカテゴリーの中でも走りとスタイルに特徴のあるオープン2シーター(2人乗りオープントップ)として地位を確立した初代マツダ・ロードスターをピックアップし、その魅力を解説していきます。

スタイリッシュなオープン2シーター、ユーノスロードスターとは?

マツダ・ユーノスロードスターは発売当初から国産オープン2シーターとして脚光を浴び、このクラスでの地位を確立。現在では、初代から数えて第4世代まで登場しています。

しかし、それぞれのロードスターの歴史を語ろうとすると、それだけで長い物語となってしまいます。そこで、ここでは初代のユーノスロードスターに絞って解説していきます。

初代ロードスターの外観はリトラクタブルライトを採用した丸みを帯びたすシンプルかつスタイリッシュなオープンエアタイプのボディーは正に開放感溢れるスポーツカーのイメージそのものです。その走りは軽量化の結果、1,600ccでありながら実に小気味よいキビキビとしたハンドリング感覚を持っています。

実用面では、幌の開閉は手動式であるため、突然の雨や悪路の砂埃、トンネルの排気ガスを避けるためには一旦停車して幌を閉める必要があります。これはオープンカーの宿命ですが、開放感の爽快さからすれば些細なことと言えるかも知れません。

また、ラゲージスペースは狭いながらもリアにトランクルームを備えています。

ロードスターのライバル、トヨタ・MR-Sと比較

マツダ・ユーノスロードスターのライバル車にはどのようなクルマがあるのでしょうか? ライバル候補は何台か挙げられますが、今回ピックアップするのはトヨタのMR-Sです。

この2車種は同じライトウェイトスポーツのカテゴリーにあり、しかもオープン2シーターという特徴的な共通点を持っています。

ユーノスロードスターは発売時にはオープカーとして爆発的な人気を誇り、オープン2シーターの名前を独り占めにした感がありました。

それに対して、トヨタのMR2の後継として誕生したMR-Sはスポーツカーとして理想的なウェイトバランス実現した結果、スタイル自体も機能美と言えるものになっています。

ユーノスロードスターもMR-Sもオープン2シーターであることに加えて、2,000cc未満の排気量で駆動はFRかつ、マニュアル仕様であることは共通ですが、構造上大きく異なる点があります。それはMR-Sがミッドシップである点です。ユーノスロードスターを含め多くの車種がエンジンを車体の前に配置しているのに対し、MR-Sを代表とするミッドシップはエンジンが車体の中央近く(実際には運転席の後ろ)に配置されています。

ユーノスロードスターも極力重心を中心に収める努力をしていますが、MR-Sは重いエンジン自体を車体の中心近くにもってきています。

スポーツカーにとって重量配分はその走行性能、特に旋回性能(ハンドルを切った時の曲がり易さ)に大きく関わってきます。その意味から、重いエンジンをボディーの中央近くに配置するミッドシップはウェイトバランスが有利と言えます。

実用面では、トランクルームと言えるものはなく、シートの後ろに僅かばかりのラゲージスペースが確保されているだけです。(ゴルフバッグが一つ入ると言われていますが・・・)また、エンジンを背中に背負う格好になるため、振動と熱気が直に伝わってきます。正にレーサー感覚を具現しています。

ライバル車としてMR-Sを取り上げた理由もこれらの特徴にあります。

この2車種はオープン2シーターのライトウェイトスポーツという大きな共通点を持ちながらも、その設計思想は大きく異なるのです。その違いを別の言葉で表現するとロードスターは実用性も考慮した格好良くオシャレなスポーツカー、MR-Sは実用性を度外視した機能美をもったマニアックなスポーツカーと言えるでしょう。

マツダ・ロードスターとトヨタ・MR-Sのスペックの比較

注)数値は初代シリーズにおける代表値

  マツダ・ロードスター トヨタ・MR-S
排気量 1,600~1,800cc 1,800cc
最高出力 120-130ps/6,500rpm 140ps/6,400rpm
最大トルク 14.0kgf・m/5,500rpm 17.4kgf・m/4,400rpm
車重 940kg – 950kg(AT車980kg) 970 – 1,020kg
エンジンレイアウト フロントミッドシップ ミッドシップ
変速機 4速AT/5速MT 5速(マイナーチェンジ以降は6速)
動力性能 直列4気筒DOHC16バルブ 直列4気筒DOHC16バルブ

これからの比較から分かるように、この2車種は基本的に類似したスペックをもっています。

この類似に対して相違点としては、ユーノスロードスターはフロントミッドシップを採用することで走りと実用性を両立させ、MR-Sはミッドシップを採用することにより実用性を犠牲にしながらも走りに徹している点と言えます。

ユーノスロードスターの後継車は?

今回ご紹介した車種は初代における仕様を基準に解説をしてきました。そこで、最後にユーノスロードスターのその後について書き添えておきたいと思います。

まずは、ロードスターですが、初代ユーノスロードスターから第3世代ロードスターまでボディー、排気量ともにスケールアップの方向に変化して来ました。しかし、第4世代においてはボディー、排気量ともにスケールダウンし、原点回帰とも言える小型化を遂げています。

初代ロードスター:1989-1998、1,600cc、直列4気筒DOHC16バルブ、マイナーチェンジで1,800ccへ
第2世代ロードスター:1998-2005、1800cc、1,600ccの復活。リトラクタブル廃止
第3世代ロードスター:2005-2015、1,140kg、2,000ccのみ3ナンバーに
第4世代ロードスター:2015- 、990kg、排気量1,496cc、全幅以外は縮小傾向。原点回帰の小型化

今やマツダの伝統となったユーノスロードスター。その魅力は今でも失われず、現在での後継車両に受け継がれていると言えるでしょう。

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