【新型インプ・試乗レポート】技術者の良心を形にした、スバル・インプレッサの歴史を徹底解説

     
   
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今年の10月25日に待望の5代目がデビューした、スバル・インプレッサ。名車であるレオーネの後を継ぎ、今やスバルのみならず日本を代表するCセグメントカーへと成長を遂げました。ここでは、そんなインプレッサの歴史を振り返りながら、新型インプレッサがどんなクルマなのかも見ていきたいと思います。多くの人に愛されているこのクルマ、どんな歴史があるのでしょうか。

モータースポーツフィールドの要求から生まれた初代

1992年秋、スバルのブランニューモデルとして1台のクルマがデビューします。それが、インプレッサです。これまでのスバル車にあったような「泥臭さ」が徹底的に排除された初代レガシィに通じるスタイルと、購入しやすい価格からヒットモデルとなります。特にハッチバックとワゴンのいいトコ取りをしたような「スポーツワゴン」は、若い女性を中心に人気を博しました。またモデルライフが8年と歴代の中で一番長く、きめ細やかな改良が毎年のように行われたことも初代の特徴です。

そしてこの初代モデルには、もうひとつの目的がありました。それがWRC(世界ラリー選手権)の制覇です。当時スバルと組んでラリー活動を行っていたイギリスのプロドライブ社は、それまでのレガシィRSよりも軽量でコンパクトなラリーマシンを求めていました。このためインプレッサは、そのようなプロドライブ社の声も念頭に置いて開発が進んでいったのです。

迎えた1995年のWRCシーズン。インプレッサ555は全8戦中5勝を飾り、マニュファクチャラーズタイトルを獲得。同時に、コリン・マクレーがドライバーズタイトルに輝きました。ここからスバルは、1997年まで3年連続でWRCマニュファクチャラーズタイトルを防衛します。それを記念した「22B STiバージョン」も1998年に400台限定で発売。1997年シーズンのWRカーレプリカとなったこのモデルは、現在もインプレッサマニア垂涎の的となっており、中古車市場でも高値で取り引きされています。

スバル混沌の時代を印象付けた2代目

大きくイメージが変わったのは、2000年に登場した2代目でした。これまでの切れ長でスタイリッシュな目の造形から、同じ水平対向エンジンを搭載するポルシェを連想させるような丸目2灯式のデザインへと変わったのです。そしてセダン系はすべて「WRX」へと名称が改められ、3ナンバーサイズへワイドボディ化。一方、ワゴンは5ナンバーのみというラインナップになりました。しかし、この路線はマーケットに受け入れられず、わずか2年で方針転換を迫られることになります。

2002年、中期型となり大幅なフェイスリフトが行われました。不評であった丸目は、ティアドロップ形状のライトに変更。また見た目だけでなく、グレードの見直しやエンジン、シャシー性能の向上が図られました。WRX系は特に顕著で、エキゾーストマニフォールドが等長化され、スバル特有のボクサーサウンドは鳴りを潜めることになります。

そして2005年には、後期型へとマイナーチェンジ。フロントフェイスが再び大変更されます。「スプレッドウィングズグリル」と呼ばれるこのフロントフェイスは、航空機メーカーを起源とするスバルが飛行機の翼をモチーフにしたデザインアイコン的なものでしたが、初期型の丸目同様、消費者の反応はいまいちでした。

STIによるコンプリートカーが多く生み出されたのもこの頃で、特にGT性能を極めた「S203」やサーキット性能を高めた「RA-R」などは今でも人気の車種となっています。

新しいスタイルを築き、ラインナップを拡充した3代目

「新快適スタイル」と銘打って登場したのが、3代目です。ラインナップが大きく変わったのも特徴で、これまでのスポーツワゴンに代わって本格的な5ドアハッチバックが登場。インプレッサの販売のメインとなります。なお、セダンモデルの「アネシス」は1年遅れて日本デビューを果たしました。デザインは、アルファ ロメオ・147などを手掛けたことでも有名なアンドレアス・ザパティナス氏によるものです。

前出のハッチバックやセダン、クロスオーバーモデルの「XV」やスポーツモデルの「WRX STI」など、インプレッサ史上最も多くのラインナップを誇ったモデルとしても知られています。そしてWRX STIには、待望の2ペダルATモデル「A-Line」が登場。イージードライブとスポーツドライブの両立を実現しました。

なお、この代を最後にスバルはWRC活動から撤退。活動の主軸を、SUPER GTやニュルブルクリンク24時間といったサーキットレースに移していきます。

「安心と愉しさ」を最大限に訴求した4代目

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「New Value Class」をコンセプトに掲げ、内外装の質感を向上し、走りの愉しさや環境性能を徹底的に追及したモデルが4代目です。ハッチバックには「スポーツ」、セダンには「G4」というサブネームが添えられました。

「新世代BOXER」と呼ばれる新設計のエンジンが採用され、トルク・燃費とも大幅に向上。CVT「リニアトロニック」もインプレッサ用にチューニングして搭載。滑らかで気持ちの良い走りを実現したのです。また後期型からは、待望のハイブリッド車もラインナップに加えられています。

安全面においても、ボディ構造を刷新して高い衝突安全性能を実現。そしてスバルが誇る衝突回避技術「アイサイト」も初期型ではVer.2を投入。中期型からVer.3を導入して、後期型からは採用グレードが増えていきました。

「愛でつくるクルマ」新しい道を踏み出した5代目

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「ここ数年での、スバル一番の革新」といわれる5代目。その理由は、新たに採用した「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」にあります。2014年5月に「際立とう2020」という富士重工業の中期経営ビジョンにて発表されたこのプラットフォームは、操縦応答性と操縦安定性が飛躍的に高められ、力を適度に分散させるマルチロードパス構造にすることで衝突安全性能やボディのねじり剛性の向上も同時に目指したものになりました。また「動的質感」を向上すべく、骨格部分のスポットとスポットの間、合計7mの長さにわたる範囲に接着剤を使用。これにより、突起部乗り越え時の収まりの良さを実現しています。

エンジンも「レスポンス良く、気持ちよく回ること」「音と加速の一体感」「実用燃費の良さ」の3点を徹底的に追及し、慣性力を軽くすべくピストンやクランクシャフト、クランクプーリーなどの部品を軽量化。結果、慣性力は15%軽減され、レスポンスは大幅に改善。レシオカバレッジ(変速比幅)の広がったリニアトロニックとともに、燃費の更なる向上に寄与しています。

そしてアイサイトはもちろん、国産車初の歩行者用エアバッグを採用。安全面でも、一歩先を行くクルマへと仕上がっているのです。

「今年一番の話題作」その乗り心地はいかに?

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さてこの新型インプレッサ、筆者も実際に試乗をしてみました。まずはデザインですが、コンパクトでありながら全体的にどっしりとしており、スバルが提唱する新デザインコンセプト「ダイナミック×ソリッド」を上手く表現できていると感じました。内装も質感が抜群に上がり、シートの座り心地やスイッチの操作性の高さは特筆すべきものがあります。またAピラーが細くなることで、広い視界を実現。安全性にも寄与している部分です。

実際に走り出してみると「(ボディの)剛性が上がったな」とすぐに感じることができます。段差の収まりがとても良いのです。これはやはり、新設計のSGPが効いているのでしょう。NV(ノイズ、バイブレーション)は先代でも上手く抑えている感じがしましたが、今回のSGPの導入によりH(ハーシュネス)もより抑えることに成功しているといえます。タイヤは17インチと18インチが用意されていますが、18インチでも当たりがしなやかで極端に不快な乗り心地になるということはありません

コーナリングも安定しています。リアがダブルウィッシュボーンとなったことで追従性が向上、またサスペンションの取り付け部の剛性が上がっているのでダイレクトなステアフィールを愉しむことができます。コーナリングの愉しさにおいては、絶対重量が軽いのでWRXにも引けを取りません。またそのナチュラルなコーナー姿勢は、ベンチマークであるフォルクスワーゲン・ゴルフにまた一歩近づいたといってもいいでしょう。ただパワーステアリングの操舵感に関しては、今後の改善課題といえるかもしれません。もう少し初期のタッチが軽い方が、万人向けでいいでしょう。

エンジンとトランスミッションのフィーリングは、とても気持ちよく仕上がっています。スバル独創のCVT、リニアトロニックもステップ制御の導入によってラバーバンドな感じが少なくなり、より洗練された走りを提供してくれます。CVTはちょっと…という方でも、運転が楽しめる仕上がりになっているのが印象的です。

乗ってみて思ったのは「プラットフォームで、こんなにもクルマというものは変わるのか!」ということです。スバルが掲げる「動的質感の向上」というものは、決して数値だけでは現れないものもあります。しかし乗ってみると、スペックにはない、数値だけでは語れない良さが確実にあるのです。クルマ好きを自称する方には、是非一度乗って頂きたいスバル渾身の「技術者の良心が詰まった、今年一番の話題作」といえるでしょう。

今後のスバルを占う、重要なクルマ

スバルの基幹車種として、多くのユーザーに受け入れられているインプレッサ。スバルをメジャーなブランドに押し上げた、その功績はとても大きいといえるでしょう。新型も、発売早々好調なセールスを記録しているようです。この新型で採用されたプラットフォームから次期レガシィやフォレスターなどが生まれ、近い将来のクルマの電動化も視野に入れている予定ということから、今後のスバルを占う試金石とも呼ばれているインプレッサ。今後も注目していきたいクルマですね。

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