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トヨタ、WRC復帰記念! ラリー挑戦の軌跡を振り返る

2017.01.16

いよいよ2017シーズンより、トヨタがWRC(世界ラリー選手権)に復帰します。実はトヨタのモータースポーツ活動の原点は、ラリーにあることはご存知でしょうか。ここでは2017シーズンの活躍の期待を込めて、過去のトヨタのWRC参戦車両を詳しく見ていくとともに、2017シーズン参戦マシン、ヤリスWRCにも迫ります。

トヨタ初の海外モータースポーツ挑戦は、クラウンから

 

1955年、トヨタは長年の夢であった完全国産乗用車「クラウン」を発売開始。その乗り心地の良さから、タクシーなどで広く用いられます。そして1957年、このクラウンをベースに国産車としては初めて「オーストラリア一周 モービルガスラリー」に参戦。17,000kmを19日間で走る、当時最も過酷なラリーといわれていました。参加102台中50台がリタイヤする中、クラウンは47位で完走。ここから、トヨタのラリー挑戦は始まったのです。

1973年、WRC開幕

photo by AUTOCAR

 

1973年、これまで世界各地で単独に開催されていたラリー選手権を一本化する目的で、WRCが始まりました。トヨタも初年度よりTA22型セリカで参戦。最高出力を135馬力にまでアップし、戦闘力を高めていたのが特徴です。同時にTE20型カローラ・レビンでもトヨタはこの世界選手権に挑み、早くも第11戦プレス・オン・リガードレスではウォルター・ボイスのドライブによりWRC初優勝を記録します。

突然の活動休止、そして

photo by webrally

 

幸先のいいスタートを切ったかに見えるトヨタでしたが、世界を見渡すとオイルショックによる不況が蔓延しており、モータースポーツ活動を継続するのは困難でした。1974年、トヨタはモータースポーツ活動中止を正式に決定、モータースポーツを統括していた第17技術部は解散してしまいます。

一方、WRCが始まる前から精力的にラリー活動を行っていたチームがありました。これがオベ・アンダーソン氏率いる「アンダーソン・モータースポーツ」です。このチームの活躍がトヨタの目に止まって、トヨタは1972年より資金や技術支援を開始。トヨタワークスが撤退した1975年にはトヨタの公認を受け、チーム名を「TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)」と改めてベルギーに拠点を構えます。その年のWRC第7戦1000湖ラリーで、TTEはTE27型カローラ・レビンを駆るハンヌ・ミッコラが優勝。レベルの高さを見せつけました。

サファリ最強として君臨したGr.Bマシン

写真は東京オートサロン2017より

 

1980年代前半のWRCは、よりハイパワーなGr.B(グループB)と呼ばれるマシンで選手権が争われていました。トヨタもこの波に乗り遅れまいと、TA64型セリカ・ツインカムターボを製作。1983年の第9戦1000湖ラリーでデビューを飾り、第11戦アイボリーコーストでは初優勝を記録しています。

このクルマの性能が最も活かされたのは、サファリラリーでした。毎年春にケニアの大草原で繰り広げられるこの過酷なラリーで、セリカ・ツインカムターボは前人未到の3連覇を達成(1984~1986年)。「ラリーのトヨタ」復活を大きくアピールしたのです。

幻の「Gr.S」マシン、222D

 

Gr.Bマシンで争われていた1980年代前半のWRC。FISA(国際自動車スポーツ連盟)は、Gr.Bより過激なGr.Sと呼ばれるマシンで1980年代後半の世界選手権を想定していました。このレギュレーションに則りトヨタが開発したマシンが「222D」です。初代MR2のようなボディ形状をしていますが中身はまったくの別物で、ミッドシップで4輪駆動という出で立ちでした。「ミッドシップ+ハイパワーターボ+4WD」という、当時最強のスペックを誇っていましたが、Gr.Bで行われた1986年のWRC第5戦ツール・ド・コルスでのヘンリ・トイヴォネン(ランチア)の事故死をきっかけに、Gr.S構想は白紙に。幻のマシンとなってしまいます。222Dは11~15台製作されたとされる説がありますが、真相は定かではありません。

市販車最強ラリーカーの誕生

 

Gr.S構想がなくなったことを受け、WRCは1987シーズンからより市販車に近いGr.A規定で争われることになりました。トヨタはここにMA70型スープラで参戦しますが、思うような結果が残せず、惨敗を喫します。翌1988年の第5戦ツール・ド・コルスより、よりコンパクトなST165型セリカを投入。1989年の第10戦オーストラリアラリーにて見事優勝を果たしました。

セリカの快進撃はまだまだ続きます。1990年には「エル・マタドール(闘牛士)」の異名を持つ、カルロス・サインツがドライバーズチャンピオンを獲得。彼はマシンがST185型セリカに代わった1992年にも、ドライバーズチャンピオンの座に就いています。そして1993年、ユハ・カンクネンのドライブによりドライバーズ・マニュファクチャラーズのダブルタイトルに輝きました。日本車のWRCマニュファクチャラーズタイトル獲得は、トヨタが初になります。翌1994年もディディエ・オリオールがドライバーズタイトルを射止め、マニュファクチャラーズも2年連続で獲得。セリカは最強ラリーマシンの名声を欲しいままにしたのです。

活動休止を経て、新世代のフィールドへ

photo by ultimatecarpage

 

好調な走りを見せていたトヨタですが、1995年の第7戦カタルーニャラリーでレギュレーション違反(エアリストリクター径に関するもの)が発覚。重大かつ悪質なものと判断したFIA(国際自動車連盟)は、トヨタのそのシーズンの全獲得ポイントをはく奪、1年間の出場停止をいい渡します。トヨタは2年間の活動自粛を表明、表舞台から去ってしまいました。

その間に、ラリーカーはGr.Aより改造の自由度が増したWRカーが登場、トヨタも再挑戦の機会を伺うべくテストを行います。そして1997年のフィンランドラリーにて、ニューマシンであるカローラWRCがデビュー。1998シーズンからの本格参戦に向け、テスト参戦を行いました。そして1999年には、マニュファクチャラーズチャンピオンを獲得。トヨタはF1参戦準備に専念することから、この年をもってWRCを撤退しました。

そして2017年。トヨタ、WRC復活

 

2015年1月30日、東京・お台場。トヨタはここで、2015シーズンのモータースポーツ活動について発表を行いました。ここで豊田章男社長から「2017年よりWRCに参戦する」という驚くべき発表がなされたのです。復帰の理由は「トヨタの『もっといいクルマづくり』をアピールするためには、WRCこそがもっともふさわしい場所と判断した」というものでした。この発表の後、参戦マシンである「ヤリス(日本名ヴィッツ)WRC」は世界各地で精力的にテストをこなしていきました。

そしてこの発表の後、ファンはさらに驚くことになります。過去三菱で4年連続ワールドチャンピオンに輝いたレジェンドである、トミ・マキネンがチーム代表として招き入れられたのです。18年ラリーの檜舞台から遠ざかっていたトヨタにとっては、これ以上にない助っ人となることでしょう。

ヤリスWRCとは、どんなクルマなのか?

トヨタ WRC
写真は東京オートサロン2017より

 

2016年12月13日、フィンランド・ヘルシンキにてトヨタはヤリスWRCの最終バージョンを公開。以前のパリサロンやTGRF(トヨタ・ガズー・レーシング・フェスティバル)で公開されたものとは大きく異なり、よりアグレッシブなフォルムになったのが印象的です。ボディは2017年から採用されるWRカーの新規定で定められている1,875mmまで幅が拡大され、トレッドなども広げられていることが伺えます。また近年のラリーはハイスピード化が著しく、空力面も重要な要素になるため大型のカナードや特殊な形状の大型リアウイングが装備されている点も見逃せません。

このヤリスWRCを手掛けたのは、元Mスポーツ(フォード)のサイモン・キャリアーやトム・フォウラーといったラリーの世界で知らぬものはいない超実力者たち。彼らが特にこだわったのは足周りのデザインで、サスペンションの設計にはかなり時間を要したといわれています。

ヘルシンキでのお披露目後もヤリスWRCはテストを行い、数パターンのフェンダーやエアロパーツを用い走行していたという情報があります。今後もホモロゲーションの取得などで、最適なマシンに進化していくことは間違いありません。

まずは今季1勝、再来年ぐらいにはチャンピオン争いが見たい

photo by ptm-autosport

 

絶対王者であったフォルクスワーゲンが2016シーズンをもってWRCを撤退し、2017シーズンはどのマニュファクチャラーが優勝するのか、まったく予想がつかなくなってしまいました。ドライバーにも動きがあり、トヨタは前年チャンピオンであるセバスチャン・オジエの獲得こそは叶いませんでしたが、ヤリ‐マティ・ラトバラを招き入れることに成功。開発能力の高い彼のパフォーマンスを十分に発揮することができれば、ヤリスWRCの戦闘力はシーズン途中から飛躍的に向上するでしょう。そのためには、今シーズンまず1勝することが最大の目標といえます。

2017シーズンのWRCは1月19日のモンテカルロラリーからスタート、全13戦が行われます。今年からWRCは、スマートフォンアプリ「Red Bull TV」でも配信されることが決定しているので、興味を持った方は是非チェックしてみるといいでしょう。

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