交通事故にあうと、高い確率でむち打ちになってしまいます。
ところで、
実はむち打ちという名前の傷病名は存在しないこと
をご存知でしょうか?
今回は整体師歴20年のこころ整体クリニックの安藝先生に、交通事故と切っても切れないむち打ちについてお聞きしました。
目次
・むち打ちなんて傷病名はありません
・むち打ちになるとどうなってしまうのか
・自己判断は難しい
・治らないと言われているが、実際のところ治る
・疑わしい時は安静&冷やすのが正解!
・まとめ
今回教えてくれたのはこころ整骨院総院長で、整体師歴20年の安藝先生です。また、交通事故の治療や倍賞などの悩みをサポートするジコサポにも所属している交通事故対処のプロフェッショナルでもあります。
※写真は江戸川橋院前にて
公式サイト | http://kokoro.sub.jp/ |
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場所 | 江戸川橋院 中井院 高田馬場院 大山院 中板橋院 |
むち打ちなんて傷病名はありません
-本日は交通事故と切っても切れない怪我「むち打ち」についておうかがいします。
安藝先生:まず、多くの方が誤解している事実として「むち打ち」という傷病名はありません。
正確にはむち打ちとは首の捻挫の事なのです。首の捻挫ですから、交通事故以外でも首や頭を捻ってしまった時になります。
交通事故は首や頭が大きく振り動かされます。この時の動きが鞭の動きに似ている事から、むち打ちという名前がつけられたそうです。
また、交通事故にあった際には大抵の場合むち打ちになります。
※以下の文中では、首の捻挫のことをより一般的に呼ばれる「むち打ち」と表記しています。
むち打ちになるとどうなってしまうのか
Photo By Jack Miller※画像はイメージです
-むち打ちが起こす症状は具体的にどんなものがあるのでしょうか?
安藝先生:人間の体の軸は首から腰にかけての背骨にあります。むち打ちは首の捻挫なので、この体の軸が損傷してしまっている状態です。
そのため、軽傷から重症まで様々な症状を引き起こします。
軽い症状のものでは、肩こりなどがあります。また、重症のものでは手足のしびれやふるえがあり、場合によっては後遺症が残ってしまう可能性もあります。
「むち打ち」の自己判断は難しい
-むち打ちかもしれない、と自分で判断することはできるのでしょうか?
安藝先生:先ほど申し上げたように、むち打ちが原因の症状は多岐にわたります。
そのため、一般の方が自分でむち打ちかどうかを判断するのは非常に難しいと思います。特に、軽い症状の肩こりなどは日常生活でも起こりやすいものですので、実はむち打ちなのに気がついていない場合も多いかと思います。
むち打ちは治らないと言われているが、実際のところ治る
-むち打ちについて、様々な情報がありますがその中でも「治らない」という話も聞きます。実際のところどうなのでしょうか?
安藝先生:適切な治療を行えば多くの場合よくなります。
ですが、むち打ちは骨・筋肉・体全体の3つの視点から総合的に診察しなければいけません。
例えば、骨だけもしくは、筋肉だけを見ている場合。
安藝先生:骨は筋肉に支えられており、筋肉は骨や関節が安定していないと上手く働けません。
ですから、どちらか一方だけ見ても中々良くならないことが多くあります。これが、昔、むち打ちが治らないと言われていた理由のひとつになります。
全身も見なければならない理由
安藝先生:むち打ちは、体の軸の一部である首の捻挫であるため、全身にその影響が広がる可能性があります。
そのため、治療にあたっては全身をチェックする必要があります。
例えば、背骨には目線をまっすぐに保つという機能があります。むち打ちのため、首がおかしくなっていたとしても、無意識に他の部分で補ってしまうため日常生活の中では気づきにくいです。
ですが、弱った部分を庇っているために、他の部分がおかしくなり、首だけの治療では良くならなくなっている場合があります。
これが全身も見なければならない理由です。背骨全体、体全体を見てくれる治療院で対処してもらいましょう。
むち打ちが疑わしい時は安静&冷やすのが正解!
Photo By Barta IV
-もし、不幸にも交通事故にあってしまい、むち打ちの可能性がある時にはどんな対処をすればいいのでしょうか?
安藝先生:むち打ちは捻挫なので、動かしてみる・温めてみるは絶対にしてはいけません。
事故直後にできる応急処置としては、捻挫の対処がそのまま使えます。捻挫の対処はRICEと呼ばれるものがありますが、この中でもRとIが使えます。
R | レスト | 安静にします |
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I | アイシング | 冷やします |
C | コンプレッション | 圧迫します |
E | エレベイション | 患部を心臓より高いところに置きます |
もしも、むち打ちが疑われる時には安静にしながら冷やすようにしましょう。
最後に
安藝先生:交通事故というのは何トンもの鉄の塊が、猛スピードで動いています。つまり、事故の瞬間にとんでも無い力が頭や首にかかるということです。
このスピードとパワーで、頭の周りの神経の回路が切れてしまう事があります。しかし、脳損傷の専門家が言うには、早めに治療すれば治る可能性は充分にあるそうです。
ところが、交通事故の後遺症に苦しむ多くの人が、単なるむち打ちと思ってしまい放置してしまう現実があります。むち打ちは、最初にも言いましたが自覚しにくい傷病の一つです。
交通事故にあったら、むち打ちでないかを調べるだけでもいいので病院に行くようにしてもらえればと思います。
-ありがとうございました!